苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ものの見方

教義体系の三類型

A.A.ホッジは、罪観は神学体系のアルキメデス点であると指摘し、罪認識の深浅によって、三つのタイプの神学体系が形成されてきたと指摘している。罪認識が徹底していれば恩寵救済主義となり、原罪を否定すれば自力救済説となり、罪認識が中途半端であれば神…

聖書そのものを読むこと

神様は、聖書各書が書かれた同時代の言語・文化を器として、これにメッセージを載せて啓示をお与えになりますから、その同時代の言語・文化について理解を深めることは釈義をする上で有用である場合があることは、当然でしょう。しかし、では当時の言語や文…

類似よりもむしろ相違点が大事ーブルトマン、NPP、ウォルトン

聖書の見方に関する大きな枠の話を少し書いてみます。 その昔はブルトマンがギリシャ思想の色眼鏡をかけてヨハネ文書を読んで、今はNPPがユダヤ教の色眼鏡をかけてパウロ書簡を読んでいる。そして、ユダヤ教の言葉とパウロ書簡の中の言葉の類似を見つけると…

人権思想には二つの流れがある

人権思想の根源には二つあって、一つはキリスト教であり、もう一つはジャン・ジャック・ルソーの反キリスト教的思想である。前者は、英国のジョン・ロックの『統治二論』に明白に表現されている。ロックがいう人権とは、創造主が被造物である人間に与えた自…

聖書を読み直す?

「聖書を読み直す」という言い回しをときどき目にする。「これまでは、このように教えられて来たけれど、聖書はほんとうにそういうことを教えているのか読み直すのだ」というのである。 こういう企ては、正しく聖書がほんとうに語っていることに迫る場合と、…

伝道の考え方

今朝は妻と明徳町を福音散歩してきました。福音散歩というのは、苫小牧市の全戸にキリストの十字架の福音について単純に記した『苫小牧通信』特別号を配布することです。教会の中に、ほかに3人ほどこの伝道に加わっている方がいます。なぜ苫小牧福音教会はこ…

牧師の務め、学者の務め

2018年にノーベル生理学賞を授与された本庶佑氏が、その受賞記者会見の前段で、「マスメディアの人たちはその論文がネイチャーだとかサイエンスに掲載されたことを云々するけれども、まあ、ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年たったらま…

地図と現場ー組織神学と釈義神学

今朝は苫小牧の西の端っこ近くの宮前町4丁目を、家内といっしょに福音散歩してきました。いつもgooマップを印刷したものをプラスチックファイルに挟んで、どこまで配ったかを確認しながら歩くのですが、今日はその地図と現場が合致しないのでいささか混乱し…

理性の癖について

デカルトは『方法序説』で、理性の働きは万人に共通のものであり、正しい方法を用いれば真理にいたることができると述べている。『方法序説』は、その理性の正しい使用方法について述べている。この正しい方法を用いるならば、理性は何者の影響も受けず、自…

創世記1,2章と黙示録21,22章

神のご計画の全体を見るためには、創世記の創造の記事と黙示録の神の王国の完成の記事を見る必要がある。スタートだけでなく、ゴールを見るのである。両者の類似点と相違点に着目する必要がある。 創世記1,2章における被造物世界はほとんど手つかずの自然…

ほんとうに偶然?

宝くじ あなたが近所のコンビニに出かけて、商品を買って、女性店員に「どうぞ」と勧められて宝くじを引いたら三等賞が当たりました。「やった!」と景品をもらって気分がいいでしょう。まあ、たまには当たることはありますからね。次の日、またそのコンビニ…

苫小牧の館、宮殿、城

町をウロウロ福音散歩していると、いろんな名称の共同住宅を見かけます。メゾンはフランス語maison,ハイムはドイツ語Heim、カーサはスペイン語casaは、いずれも家ですから、実態とあっています。コーポはcooperative houseから作られた和製英語だそうで、ま…

氷点下10度は暖かいのかも

www.youtube.com 苫小牧はこのところ氷点下10度を下りますが、この映像を見ると、なんだか暖かいのか、いや暑いのかもしれないと思えてきます。特に10:30あたりからのインタビュー。「よい服を着ているばあい、マイナス40度までは寒くありません。マ…

子どもを応援しない国に未来はない

www.youtube.com すばらしい! こういう人に総理大臣をしてほしい。

「十字架のことば」は愚かである・・・・「包括的福音理解」への疑問

伝道とは、共通恩恵の器に特別恩恵をいれて渡すことです。しかし、伝道のためには他のことはその手段と考えればよいと主張しているわけではありません。そのような姿勢は、神の御心にもかなわないと思います。福音を伝えることは、確かに人々を永遠の滅びか…

「そういう考え方は古い」という考え方は古い

「ふん。そういう考え方は古いよ」といえば、相手の考えを貶めて一蹴できるように思っている人が多い。こういう考えの人は、物事が進歩し、昨日よりも今日、今日よりも明日のほうがよくなっているというパラダイムに立って、そういうことを言うのである。つ…

霊・魂・からだ

平和の神ご自身が、あなたがたを完全に聖なるものとしてくださいますように。あなたがたの霊、たましい、からだのすべてが、私たちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのないものとして保たれていますように。(1Thess5:23) ですから、私た…

パスカルの賭け

「死んだらすべてが無意味になるのに、何かを必死に成し遂げる意味はありますか?」という問いかけに答えを求められたので、パスカルを思い出して下のような回答を書いてみました。 まず唯物的・無神論的教育で洗脳された現代人たちが信じて疑おうともしない…

聖書理解と実証主義の問題

いわゆる近現代神学は、現代的課題への対応、または現代思想を聖書解釈に応用するということをします。それはともすると古代においてグノーシス派がギリシャ思想で聖書を読もうとして陥ったのと同じように、一種のシンクレティズムになってしまうのではない…

科学は中立でありえるか?

月刊『いのちのことば7』(2022年)が「キリスト教と科学」というテーマを取りげており、「自然科学は有神論でも無神論でもない中立のわざである」という少々気になる文があったので、メモをしておく。 創造主はご自分のかたちに創造した人に被造物の支配し…

ひがみ七訓

フェイスブックでこういうのを見つけました。なるほどなあ。 【ひがみ七訓】 一、つらいことが多いのは、 感謝を知らないからだ 一、苦しいことが多いのは、 自分に甘えがあるからだ 一、悲しいことが多いのは、 自分の事しか考えないからだ 一、怒ることが…

いわゆる現代神学について

いわゆる現代神学は、現代的課題への対応、または現代思想を聖書解釈に応用するということをします。それは結局は、古代においてグノーシス派がギリシャ思想で聖書を読もうとして陥ったのと同じように、一種のシンクレティズムになってしまうのではないかと…

どちらが本当のことを言っているかを見極めるものさし

ロシアとウクライナの発表が正反対なので、どちらが本当かわからないという人たちがいますが、そうでしょうか。 たしかにどちらの国の政府も、このような状況にあっては、ある程度は嘘はつくでしょう。しかし、政府発表に反する報道を禁じて自国民に知らせま…

人は人間扱いされないと・・・

ウクライナにロシアが侵攻して一カ月が経ち、昨日、恐ろしい報道がありました。ロシア軍が撤退したブチャという町で、300人ないし400人の民間人が拷問の上虐殺されていたというのです。ロシア当局はこれを西側のフェイク報道だと即座に否定していますが、無…

病みつつも

病みつつも御手の中なるわが命 もみぢ一葉 梢に残る 今井百合子 札幌の今井百合子姉から、短歌の欄で特選にとっていただいたということで『百万人の福音』3月号が送られてきました。百合子姉はかつて苫小牧の教会のメンバーでしたが、脊椎の病を患われてから…

主義は中毒

どんなに良いことでも、それを偶像化すると、よろしくないことが起こります。たとえば、律法は神がくださったよいものですが、律法主義になると人を滅ぼします。偶像化とは、絶対視することです。おおよそナントカ主義というのは、思想的偶像崇拝です。主義(…

羽生弓弦選手

youtubeで、男子フィギュアの金銀銅の演技と4位の羽生選手の演技を見ました。羽生選手は、予選の不運と、フリーの始めでクワッドアクセルに挑戦して失敗したので得点は伸びませんでしたが、ほかの選手を寄せ付けないほどとびぬけた「作品」だと感じました。…

聖書眼鏡

明日のチャペルの準備完了。2.11の前日なので、第一列王記12章25節から33節を開くことにしました。ヤロブアム1世が定めた建国記念日は8月15日。 HBIの卒業生には、十字架の福音を明確に認識し伝えるとともに、神様が下さった聖書という眼鏡で、世界と歴…

黒人差別撤廃、フェミニズム運動、包括主義性教育、同性婚推進運動の共通の背景:フランクフルト学派・・・「ジェンダーを理解する」メモ2

昨日うかがった講演で、私にとってもっとも興味深かったのは、第2回目の講義で今日のジェンダーをめぐって世界が同期された動きをしている背景とフランクフルト学派の社会哲学と戦略についてでした。忘れないうちにメモしておきます。 1917年ロシア革命…

おじいちゃん

今日は、小学校1年生Sちゃんが最初に、2年生のKちゃんとRくんが遅れて会堂にやって来ました。Sちゃんのおかあさんは子ども食堂で、おいしいものを作る仕事をしているということで、子ども食堂を訪ねてごあいさつをしに行きました。 会堂に帰って来て、牧師室…