苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

新改訳聖書

創世記19:9「ワ・イシュポート シャーポート」

新改訳2017 しかし、彼らは言った。「引っ込んでいろ。」そして言った。「こいつはよそ者のくせに、さばきをするのか。さあ、おまえを、あいつらよりもひどい目にあわせてやろう。」彼らはロトのからだに激しく迫り、戸を破ろうと近づいた。 新改訳第三…

すべてを信じられない→すべては信じられない

ルカ24:25,26(新改訳2017) 25,そこでイエスは彼らに言われた。「ああ、愚かな者たち。心が鈍くて、預言者たちの言ったことすべてを信じられない者たち。26,キリストは必ずそのような苦しみを受け、それから、その栄光に入るはずだったのではありま…

「国外宣教」を「全民族宣教」に改めよう

マタイ福音書末尾の大宣教命令を新改訳2017は「ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としさない。云々・・・」(マタイ28章19節)と訳しているが、これはいかがなものか。「あらゆる国の人々を」はパンタ・タ・エスネーであり、同じマタイ…

世界観と聖書翻訳ー「トーフーワボーフー」の訳語問題 (訂正を加えました)

創世記1章2節における「トーフーワボーフー」の訳語は二つに傾向がわかれている。 口語訳、 地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。 新改訳第二版 地はかたちがなく何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊…

「すべての国民」でなく「すべての民族」

新改訳2017 マタイ24:14 御国のこの福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に(pasin tois ethnesin)証しされ、それから終わりが来ます。 新改訳2017 マタイ28:19 ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を(panta ta ethne)弟子としなさい。 …

頭であるキリストのもとに

10**,時が満ちて計画が実行に移され、天にあるものも地にあるものも、一切のものが、キリストにあって、一つに集められることです。(新改訳2017 エペソ1:10) 万物がキリストにあって、「一つに集められる」とはどういうことか?この語は、ἀνακεφαλα…

主の山に備えあり?

アブラハムは、その場所の名をアドナイ・イルエと呼んだ。今日も、「主の山には備えがある」と言われている。(創世記22:14) アブラハムがモリヤの山で愛するひとり子イサクをささげた場面である。「主の山には備えがある」と訳されたのは、「ベハル・…

PC版「聴くドラマ聖書」

友人から「聴くドラマ聖書」のパソコン版が出たと知らせていただいたので、さっそくインストールしてみました。これまでスマホ版は公開されていたのですが、ガラケー使用者の私は指をくわえているしかなかったのです。インストールはいとも簡単で、ものの15…

ヨハネ福音書冒頭

今、ヨハネ福音書に関する本を順々に読んでいます。2年後くらいからヨハネ福音書の連続説教をしたいと思って準備しているんです。それで、小林稔さんというローマ教会の司祭の『ヨハネ福音書のイエス』というのを読んでいます。聖書協会共同訳で「はじめにこ…

ローマ書8章28節について(3) ともに働く

神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。(ローマ8:28) 「すべてのことがともに働いて益となる」の「ともに働く」と訳されることばは、synergeoと…

ローマ8章28節について(1) 「神が」か「すべてのことが」か?

ローマ8章28節で一つ気になることが見つかりました。 新改訳第三版では「神を愛する人々、すなわち、神の御計画にしたがって召された人々のためには、神はすべてのことを働かせて益としてくださることを私たちは知っています。」だったのを、2017では「…

聴くドラマ聖書

「聴くドラマ聖書」 メイキング映像

聴くドラマ聖書

有名俳優陣朗読によるドラマ仕立ての聖書(新改訳2017)のスマホアプリが公開されています。サンプルを聞いて、これは素晴らしいと思いました。英語ではもう30年以上前にNIVのドラマ仕立てはありましたが、日本で実現するとは。 私自身は相変わらずガラケ…

ペンテコステの朝 聖書翻訳

(ペンテコステの朝、使徒たちが突然外国語で福音を語り始めたのを聞いて・・・)人々はみな驚き当惑して、「いったい、これはどうしたことか」と言い合った。だが、「彼らは新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、嘲る者たちもいた。 ペテロは十一人と…

「キリストの真実」か「キリストを信じる信仰」か?(ローマ書1-8章概要から抜粋)

ローマ3:22 ・新改訳2017 「すなわち、イエス・キリストを信じることによって、信じるすべての人に与えられる神の義です。そこに差別はありません。」 ・聖書協会共同訳 「神の義は、イエス・キリストの真実を通して、信じる者すべてに現されたのです。そこ…

東のほうから? 東の方へ?

創世記11章2節 新改訳第三版 「 そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。」 新改訳2017 「人々が東の方へ移動したとき、彼らはシンアルの地に平地を見つけて、そこに住んだ。」 今朝バベルの塔の記事を読ん…

宥めのささげ物、宥めの蓋

17 また、 純金 で『 宥め の 蓋』 を 作り、 その 長 さを 二 キュビト 半、 幅 を 一 キュビト 半 と する。 18 二つ の 金 の ケルビム を 作る。 槌 で 打っ て、『 宥め の 蓋』 の 両端 に 作る。 19 一つ を 一方 の 端 に、 もう 一つ を 他方 の 端…

新改訳2017 いなごはいなご

新改訳2017で動物の名前はどういう原則で表記されるんだろう?スズメバチはカタカナで、ライオンは獅子で、ろばはろばで、からすは烏で、かばは河馬で、いぬは犬で、ジャッカルはジャッカル、ひつじは羊、うしは牛、へびは蛇、かえるは蛙、ぶよはブヨ、…

馬から落馬

馬から落馬したような、新改訳2017の一節。 詩篇51:19焼き尽くされる全焼のささげ物 オーラーの訳語を「全焼のささげ物」とさだめたので、馬から落馬したような翻訳にせざるをえなかったのであろうが、さすがに変である。「焼き尽くされる」と訳されたのは…

ローマ12章1,2節の翻訳メモ

ローマ書12章1,2節 新共同訳 こういうわけで、兄弟たち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそあなたがたのなすべき礼拝です。あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ…

「さいわい」と「しあわせ」

「心の貧しい者は幸いです。」「さいわい」というお題をいただいたら、このみことばを思い起こす。ところで、「さいわい」と「しあわせ」とはどう違うのだろう。「心の貧しい者はしあわせです」と訳したのではいけないのか。あえて「さいわい」という少々古…

「幼稚な教え」か?「もろもろの霊」か?

新改訳2017 ガラテヤ4:1−10 の翻訳についてメモ 「1,つまり、こういうことです。相続人は、全財産の持ち主なのに、子どもであるうちは奴隷と何も変わらず、2父が定めた日までは、後見人や管理人の下にあります。3,同じように私たちも、子どもであったときに…

新改訳2017(その2)  主の祈りの件

新改訳2017を読んでいます。多くの方の感想と同じように、不思議と読みやすくてスラスラ読み進めてしまいます。読んでいて快適なんです。理由は一つには行間が以前より広くなり、紙の色もクリームになったこと、そして訳文が少しずつこなれたものとなったこ…

新改訳2017  「神のかたち」の件

新改訳2017翻訳にあたって、委員会あてに修正をお願いした一つに、創世記1章26,27節がある。第三版では次のようになっている。 1:26 神は仰せられた。「さあ人を造ろう。われわれのかたちとして、われわれに似せて。彼らが、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべ…

武力によらず、権力によらず

ゼカリヤ4:6 口語訳「権勢によらず、能力によらず、わたしの霊による」 新改訳第三「権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって」 新共同訳「武力によらず、権力によらず、ただわが霊によって」 口語訳、新改訳が「権勢」「権力」としているハイル…

直す、治す

新改訳聖書で気になる漢字のひとつは、病の癒しに関して、「直す」「直る」という字を用いていることである。ただの物の修理のばあいは「直す」でよいのだが、病のばあいは「治療する」と書くように「治す」が普通である。おそらく漢字使用にかんする公的な制…

デマスの悪評はデマっすか?

ここ数年、信州宣教区の牧師会では、担当者をきめて牧会書簡を順々に学んでいる。一昨日とくに伊那谷牧師が提言されて議論になったのは、テモテの手紙第二の終盤、デマスにかんするところだった。 新改訳 デマスは今の世を愛し、私を捨ててテサロニケに行っ…

ピリピ3章8節後半と9節

「3:8 それどころか、私の主であるキリスト・イエスを知っていることのすばらしさのゆえに、いっさいのことを損と思っています。私はキリストのためにすべてのものを捨てて、それらをちりあくたと思っています。それは、私には、キリストを得、また、 3:9 キ…

ヨハネの手紙第一 1章2,3節 metaでなくpros

新改訳聖書ヨハネの手紙第一1:2,3 「──このいのちが現れ、私たちはそれを見たので、そのあかしをし、あなたがたにこの永遠のいのちを伝えます。すなわち、御父とともにあって、私たちに現された永遠のいのちです。──私たちの見たこと、聞いたことを、あなた…

ヨハネ福音書1:1,2  「ことばは神の面前に」   

大月湖夜明け 22日にヨハネの手紙第一1:2をとりあげて、御子イエスを意味する「永遠のいのち」が「御父とともにあ」ると訳されていることが奇妙であることを指摘した。というのは、「とともにwith」と訳されることばはprosという前置詞で、通常「〜に(向かっ…