苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

聖書翻訳

「与えた」でなく「贈った」「差し上げた」

アブラムがメルキゼデクから祝福を受けたとき、「すべての物の十分の一を彼に与えた」(創世記14:20)と新改訳2017は訳している。しかし、「与えた」というのでは、アブラハムがメルキゼデクより格上になってしまう。祝福を与える側は、受ける側よりも格上で…

主の山に備えあり? 主は山で見る? 主は山で見られる?

創世記22章14節は「主の山に備えあり」ということばで有名である。だが、ヘブル語本文を見ると、「behar YHWH ieraeh」とある。これを普通に訳せば、「主は山で見る」あるいは新改訳2017の脚注にあるように「主の山で主は現れてくださる」となる。では、…

創世記19:9「ワ・イシュポート シャーポート」

新改訳2017 しかし、彼らは言った。「引っ込んでいろ。」そして言った。「こいつはよそ者のくせに、さばきをするのか。さあ、おまえを、あいつらよりもひどい目にあわせてやろう。」彼らはロトのからだに激しく迫り、戸を破ろうと近づいた。 新改訳第三…

「国外宣教」を「全民族宣教」に改めよう

マタイ福音書末尾の大宣教命令を新改訳2017は「ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としさない。云々・・・」(マタイ28章19節)と訳しているが、これはいかがなものか。「あらゆる国の人々を」はパンタ・タ・エスネーであり、同じマタイ…

世界観と聖書翻訳ー「トーフーワボーフー」の訳語問題 (訂正を加えました)

創世記1章2節における「トーフーワボーフー」の訳語は二つに傾向がわかれている。 口語訳、 地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。 新改訳第二版 地はかたちがなく何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊…

「あらゆる国」でなく、「すべての民族」

マタイ24:14 御国のこの福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に(pasin tois ethnesin)証しされ、それから終わりが来ます。 マタイ28:19 ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を(panta ta ethne)弟子としなさい。父、子、聖霊の…

「二日たつと」?いや「明日」では!

新改訳2017 「あなたがたも知っているとおり、二日たつと過越の祭りになります。そして、人の子は十字架につけられるために引き渡されます。」 文語訳 『なんぢらの知しるごとく、二日の後のちは過越すぎこし[の祭まつり]なり、 口語訳 「あなたがたが知って…

「すべての国民」でなく「すべての民族」

新改訳2017 マタイ24:14 御国のこの福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に(pasin tois ethnesin)証しされ、それから終わりが来ます。 新改訳2017 マタイ28:19 ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を(panta ta ethne)弟子としなさい。 …

東のほうから、東の方へ

新改訳2017 11:2人々が東の方へ移動したとき、彼らはシンアルの地に平地を見つけて、そこに住んだ。 新改訳第三版 11:2 そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。 新改訳第三版までは、mikedemは「東のほう…

頭であるキリストのもとに

10**,時が満ちて計画が実行に移され、天にあるものも地にあるものも、一切のものが、キリストにあって、一つに集められることです。(新改訳2017 エペソ1:10) 万物がキリストにあって、「一つに集められる」とはどういうことか?この語は、ἀνακεφαλα…

主の山に備えあり?

アブラハムは、その場所の名をアドナイ・イルエと呼んだ。今日も、「主の山には備えがある」と言われている。(創世記22:14) アブラハムがモリヤの山で愛するひとり子イサクをささげた場面である。「主の山には備えがある」と訳されたのは、「ベハル・…

全民族宣教命令

マタイ28:19「ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。」 ルカ24:47「その名によって、罪の赦しを得させる悔い改めが、あらゆる国の人々に宣べ伝えられる。」 「あらゆる国の人々」とは、マタイ福音書でもルカ福音書でも、ギリ…

マタイ16:22 ヒレオース

マタイ16:22が新改訳第三版では「神の御恵みがありますように。」とあったのが、2017では「とんでもないことです。」と改められた。えらい違いですねえ。ギリシャ語でヒレオースということばです。辞書で見たら、両方の意味がある。不思議です。 口…

「はじめに、ことばがおられた」

岩波版新約聖書でヨハネ福音書1章1節を小林稔氏は「はじめに、ことばがいた」と訳した。これに対してはずいぶんと批判もあったそうである。小林氏の意図するところは、ことば(ロゴス)が単なるストア哲学がいうような原理といったモノでなく、生命ある人格…

ヨハネ福音書の神名としてのエゴーエイミ

ヨハネ福音書には、主イエスのエゴー・エイミ(英語でいえばI am)という表現が多い。中でも、「わたしは世の光である」、「わたしは羊飼いである」、「わたしはブドウの木である」における、世の光、羊飼い、ブドウの木といった補語を伴う用法でなく、補語…

ローマ8章28節について(2)・・・「益」とは

ローマ8章28節、29節、30節は平行関係にあることを見抜くことが、28節を理解するための肝心な点です。この平行関係を見落として28節だけを取り上げる人たちは、「クリスチャンのために神様はぜんぶ『益』にしてくださる」という、少々都合のよい解釈をしがち…

ローマ8章28節について(1) 「神が」か「すべてのことが」か?

ローマ8章28節で一つ気になることが見つかりました。 新改訳第三版では「神を愛する人々、すなわち、神の御計画にしたがって召された人々のためには、神はすべてのことを働かせて益としてくださることを私たちは知っています。」だったのを、2017では「…

ことばは神の目を見るように

聖書通読でヨハネ福音書1章2節を読んで、ずっと前から気になっている「ことばは神とともにあった」という翻訳がやはり気になる。ギリシャ語初級を学んだ時から気になっているから、35年間気になっている。ho logos en pros ton theonというのだが、ギリシャ…

犬や豚は

新改訳第三版 「聖なるものを犬に与えてはいけません。また豚の前に、真珠を投げてはなりません。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたを引き裂くでしょうから。」 新改訳2017 「聖なるものを犬に与えてはいけません。また、真珠を豚の前に投げてはい…

われらに罪を犯す者をわれらが赦すごとく

新改訳聖書における主の祈りの翻訳で前から気になっていることは、「我らに罪を犯す者を我らがゆるすごとく、我らの罪をも赦したまえ」と文語訳ではあった「ごとく」が訳出されていない点です。新改訳2017でも改められませんでした。ギリシャ語本文には、ホ…

供えのパンの机

次の主の日の夕礼拝は、出エジプト記から備えのパンの机についてです。旧約時代、神がそのご臨在を現わしてくださった礼拝施設、神の幕屋について順々に学んできて、聖所の中の香檀、燭台に続き、三つ目の調度品となります。 「机」と訳されたのはシュルカン…

ルター卵の白身嫌い説  HBIクリスマス会

昨晩は、妻と北海道聖書学院のクリスマス会に行ってきました。昨年は大雪で難渋しましたが、今年はまったく雪がありません。こんな冬は、道産子の人たちに聞いてみると「生まれて初めて」だそうです。 クリスマス会は学院の食堂で学生たちがすべて準備してく…

2サムエル13:39の翻訳

文語訳(明治訳)「 13:39ダビデ王アブサロムに逢んと思ひ煩らふ其はアムノンは死たるによりてダビデかれの事はあきらめたればなり」 口語訳「13:39王は心に、アブサロムに会うことを、せつに望んだ。アムノンは死んでしまい、ダビデが彼のことはあきらめて…

キンドル版新改訳2017

新改訳2017をキンドル版で通読しています。パソコンで読みながら簡単にコメントをつけて行けるので、自分なりのコメンタリーが出来ていくようで楽しい。また、パソコンなので、字が大きいのでうんと楽です。 ただし、聖句をさがすにあたっては、「何書の…

「キリストの真実」か「キリストを信じる信仰」か?(ローマ書1-8章概要から抜粋)

ローマ3:22 ・新改訳2017 「すなわち、イエス・キリストを信じることによって、信じるすべての人に与えられる神の義です。そこに差別はありません。」 ・聖書協会共同訳 「神の義は、イエス・キリストの真実を通して、信じる者すべてに現されたのです。そこ…

東のほうから? 東の方へ?

創世記11章2節 新改訳第三版 「 そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。」 新改訳2017 「人々が東の方へ移動したとき、彼らはシンアルの地に平地を見つけて、そこに住んだ。」 今朝バベルの塔の記事を読ん…

勇士でなく、権力者でしょう

クシュ は ニムロデ を 生ん だ。 ニムロデ は 地上 で 最初 の 勇士 と なっ た。 彼 は 主 の 前 に 力 ある 狩人 で あっ た。 それ ゆえ、「 主 の 前 に 力 ある 狩人 ニムロデ の よう に」 と 言わ れる よう に なっ た。 彼 の 王国 の 始まり は、…

イナゴの冤罪

Swarm Of Locusts DEVOUR Everything In Their Path | Planet Earth | BBC Earth 出エジプト記9章に出てくる大地の草と言う草、植物性繊維の服までもを食い尽くす昆虫は「いなご」と訳されていますが、実際にはイナゴが相変異して(羽が長くなって飛翔力が増…

「キリストの真実」か「キリストを信じる信仰か」?

「ダビデの日記β」というブログで、pistis christouは「キリストを信じる信仰」という訳が正しいことが丁寧に説明されていますので、ここにリンクを貼っておきます。 ダビデの日記β https://blogs.yahoo.co.jp/psalm8934/33318048.html https://blogs.yahoo.…

あなたがたの理に適った礼拝

ローマ書12章1節 聖書協会共同訳 「こういうわけで、きょうだいたち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたの理に適った礼拝です。」 新改訳は第三版まではアンダー…