神学
昨年秋、北海道聖書学院に特別集中講義においでいただいた牧田吉和先生の『改革派神学入門 改革派信仰とは何か』を読みました。先生が、ご自分が書いた本の中で一番読んでほしいと思う本だとおっしゃっていたものです。 「人のおもな目的は神の栄光をあらわ…
明日の説教(マタイ12章22-30節)の準備をしながら、「国(王国バシレイア)」がカギのことばであることに気づいて、考えさせられたこと。 現代のクリスチャンである私たちは、合理主義的なものの見方の癖がついてしまっているために、聖書が教える悪魔・悪…
神は世界を創造して、人間にご自分の代理としてこれを治めるように命じた。すなわち、神のご支配(王国)を地にもたらそうとした。(創世記1:26,27) しかし、人間は悪魔に誘惑され、神に背いて堕落し(創世記3章前半)、罪と悲惨と死、悪魔の暗闇の圧制下…
牧田吉和先生を迎えての北海道聖書学院特別公開講座、『神の国の前衛としての説教と説教者』の一日目、午前中、先生の情熱に満ちた講義に、みなさんきわめて熱心に耳を傾けて聴いていました。 内容は、創造から終末の栄光の完成に向かって展開される神の王国…
大学時代通った土浦めぐみ教会の午後5時から2時間ほどの夕礼拝は読書会だったのですが、その教材が当時は、この本でした。誰かが係りになって、順々に最初から最後まで引証聖句を丁寧に開きながら読み通しました。 私の最初の神学の教師は、神戸の増永俊雄牧…
朝岡勝牧師の『喜びの知らせー説教による教理入門』を読みました。十五回のシリーズ説教が原型だということですから、そこに会衆を意識して語られたことばとしてのいのちがあります。 特徴の一つは、神の民、教会を最初から最後まで意識して語られた教理説教…
春からHBIで新規の担当として、カテキズムで聖書的教理の全貌を把握するというクラスを始めることにしました。 聖書解釈でいつも強調するのは「木を見て森を見ず」になってはいけないということです。語句が意味を獲得するのは、文脈によるからです。ワード…
今、『新・神を愛するための神学講座』(仮題)を書いていて、完成間近です。目次は、こんな感じです。 新・神を愛するための神学講座 目次 第一章 神学とは 1 神を愛するために (1)「神学」など、してよいのか? (2)神が霊でいらっしゃるから (3)…
リチャード・ヘイズが『イエス・キリストの信仰』で、ルターが義認の概念を拡大して、パウロ書簡にあるその他すべてを、義認で包括しようとしたことを批判しています。確かに、教会と国家の捉え方なんかも、福音担当の権威と律法担当の権威とか言っていて、…
聖書釈義とは聖書各巻の記者が最初の読者に伝えようと意図したことのみを読み取ることなのだという態度は、啓示を否定したヨハンネス・ガープラーという人物が提唱したものだそうです。啓蒙主義的理性の枠組みで言えば、当然、そういうことになります。 しか…
ドルトレヒト信仰規準をめぐっての牧田先生と藤本先生の対話を聞いて思ったことの一つ。 「半ペラギウス主義」という呼称は、恩寵救済主義者たちがトマス主義、アルミニウス主義、ウェスレー主義を否定するために用いてきた否定的なレッテルです。しかし、ト…
教団の松原湖研修会が終わりました。今回は二日目の早朝、午後に松原湖周辺を歩き、三日目の朝は松原湖周辺から長湖に足をのばしてアウトキャンプ場を回ってみました。今回は、三日とも雲一つない青空に恵まれました。 研修は、「聖書信仰と現代」という主題…
使徒パウロの書簡を解釈するにあたって、回心前のパウロ(当時はサウロ)が信じていたユダヤ教文献が参考になるというのは、当然のことです。そういう方法をNPPが提唱したことは間違っていません。では、NPPがそうしたことを提唱する前、18世紀から20…
先週半ば油断して風邪をひいてしまい、治ったかなと思ったら、なかなかすっきり治りません。熱が出ないので、おとなしくしていないから治らないのかもしれません。そこで、昨日は、家にいておとなしくジェームズ・ダン『パウロ神学』を読み始めました。 ダン…
聖書という書物の解釈の根本的原理について考えてきたことをメモします。 書物というものは、どんな書物であれ、その書物にふさわしい読み方で読むときに、適切な解釈ができるものです。大学受験のための現代文参考書を見ても、文章のジャンルということでい…
このところ、聖書のいう救い、神の計画を理解するために「相続者」ということがもっとも重要な包括的概念であることが鮮明に見えてきました。キリストは世界の相続者であり、神がキリストのうちに聖徒たちを選び、召し、義とし、子とし、聖とするのは、共同…
昨年、ローマ書の連続説教をしたり、サンダースやライトの著書にふれたり、契約神学を勉強しなおしたりしているうちに、ある日、ローマ書がいう救いの二側面が見えてきました。 それは、1章から5章11節までは、キリストによる代理の刑罰を根拠とした法的な意…
学生時代ーもう四十年も前ーに読んだ、三木清『人生論ノート』に「怒について」という文章がある。その冒頭を下に引用してみる。 Ira Dei(神の怒)、――キリスト教の文獻を見るたびにつねに考へさせられるのはこれである。なんといふ恐しい思想であらう。ま…
神学用語において、贖い、償い、宥めがごちゃごちゃになってしまっている。英語のtonementが混乱しているのが、そのまま日本語に持ち込まれた観がある。贖いとは「買い取る」ことを意味しており、償いは「弁償する」ことを意味している。宥めは、怒りをおさ…
聖書学の流行に敏感な人々の中に、最新の学説が最良の学説というふうに思い込んでいるらしき人々を見かける。もし、物事全てが「進化」しているのであるとすれば、学説においても最新の学説が最良の学説ということになる。しかし、これは神学に関しては間違…
家内が誕生日に贈ってくれた牧田吉和『改革派教義学7 終末論』を読み終えた。改革派組織神学的な思考のあり方というもののお手本のような論述だった。という意味は、一つには聖書の行くとことまでは徹底的に思いめぐらして行き、聖書が立ち止まる所で立ち止…
遠くにいる息子が、昨日の晩に、北海道に来るというのを楽しみにしていたのに、帰って来られなくなって、がっかり。 それで遊ぶのをやめて、今朝から、『新・神を愛するための神学講座』のキリスト論の項をおおよそ書き上げました。組織神学というのは、結局…
『失われた歴史からー創造からバベルまで』がAmazonで手に入るようになりました。
拙著『失われた歴史からー創造からバベルまで』が出来上がって、今さっき届きました。新書版217ページ。きれいな装丁にしてくださいました。価格は1100円 中身は、創世記1章から11章の話題を取り上げつつ、聖書全体に啓示された神様のご計画を説いたものです…
以前にもこのブログに紹介したO.P.ロバートソン『契約があらわすキリスト』が出版され、手に入るようになりました。神様が、ご自分の恵みとまことにかけてご自分の民に対して結んでくださった契約を軸として、創世記からヨハネ黙示録までの流れを鳥瞰する本…
近年、「日本の」福音派の中でN.T.ライトのブームとなり、本が次々に訳されている。しかし、弊害もあるようで、ある友人に聞いたのだが、ライトの読者である若い伝道者の内には、「ライトを読んで『イエス様の十字架はあなたの罪にためでした。』と語れなく…
このところ、N.T.ライトの本が何冊も翻訳出版されています。なるほどという点と、おかしいんじゃないのという点の両方がまじりあっているので、私なりに整理しておきます。 まず、「福音とは『キリストは王である』という宣言である」というのは、たしかに福…
O・パーマー・ロバートソン著 『契約があらわすキリスト ―聖書契約論入門』 (清水武夫監修/郄尾直知訳) 「やっと出ますか!」本書の邦訳・出版の知らせを受けて、フェイスブックに思わず書いてしまいました。首を長くして待ちに待ってすでに三十数年です…
35年前の神学生時代、「創世記から黙示録まで一貫する神のご計画をどのように読み取ればよいのだろうか。その鳥観図を得てこそ、各巻・各部分の正しい位置づけと解釈ができるだろう。」という願いをもっているなかで、 The Christ of the Covenantsに出会い…
最近、気づいたことがあります。 創造の契約において、人は地の相続人としての任務を与えられました。 アブラハム契約は、相続の契約です。 キリストにあって、信仰によるアブラハムの子孫が世界のあらゆる民族になったので、「地」が世界に拡張されました。…