苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

神学

聖書釈義:遠くを見て、近くを見て

聖書全体を見る組織神学(教義学)や歴史神学を軽視して、目の前の聖書本文の釈義がすべてだとばかりに、聖書言語に精通し、厳密な文法的解釈をして、現代の解釈学の手法まで目配りしつつ、極めて緻密な論理展開を展開しているのだけれど、聖書の基本教理か…

「置換神学」というレッテルの的外れ

米国福音派の中の一部とされるディスペンセーション主義者が、トランプ政権がイスラエル共和国とともに戦争をすることに一定の影響を与えたと指摘される。彼らはイスラエル国家を無批判に支持する傾向があるからである。少々、メモしておきたい。 ディスペン…

『「日本同盟基督教団信仰告白」講解説教』を公開

『「日本同盟基督教団信仰告白」講解説教』を下のリンク先に公開します。ダウンロードするなどなさって、ご自由にお用いください。/https://1ab4c85d-7ef5-40e3-b99d-780b70ac09e5.filesusr.com/ugd/2a2fcb_8215ac4832c840528760956162c77268.pdf 日本同盟基…

『神を愛するための教理問答』を公開します

苫小牧の教会の祈り会で用いて来た『神を愛するための教理問答』のPdf版を公開します。関心のある方、お用いください。ダウンロードもご自由に。https://1ab4c85d-7ef5-40e3-b99d-780b70ac09e5.filesusr.com/ugd/2a2fcb_467658f922df442dba1bcd1074282d89.pdf

説教に向けての聖書解釈の3側面

神学生時代、清水武夫先生から契約神学と旧約聖書神学を教わった。そのどちらのクラスであったかは定かでないが、先生は聖書解釈にあたっては、常に3つの側面に気を付けることが重要であるとおっしゃった。一つはnormative(規範的)な側面、一つはsituatio…

イラン戦争と義戦論

www.youtube.com 1 問題の整理 今般のトランプ政権のイラン攻撃には3つのことが絡んでいる。 第一はイランの核兵器開発を阻止する安全保障の問題である。北朝鮮が核開発をするのを止め損ねた結果、北朝鮮が核保有をするようになってしまったから、イランに…

十字架か?神の王国か?

1年間『舟の右側』に「近代思想と神学」という連載をしてきて、最後に海老名弾正(1856-1937)を取り上げた。海老名弾正は、幕末に生まれ、熊本洋学校に学び、「熊本バンド」の一人としてキリスト教に入信し、明治・大正・昭和に大きな影響力をもった牧師・…

書評『新・神を愛するための神学講座』

GPTに通読してもらった上で、出て来た書評です。 ① 位置づけ② 神学的評価③ 構成・方法論の評価④ 日本の文脈における意義⑤ 注意点・限界⑥ 総合評価の順で述べます。 ① 位置づけ ― 何の本なのか この本は、学術的な「体系神学書」ではなく、信仰的エッセイでも…

学者はなぜ二者択一してしまうのか?

先に、「十字架の福音」と「神の国の福音」とは二者択一すべきものではなく、両方とも聖書が語る重要な福音であることを述べた。十字架の福音によって新しく生まれてこそ、私たちは神の国を見ることができる。イエスが「まことに、まことに、あなたに言いま…

「十字架の福音」と「神の国の福音」

海老名弾正を読んでいる。『日本国民と基督教』に載せられた文章によれば、彼は若い日には、パウロ、ルター、アウグスティヌスらと同じように己の罪の汚れに苦しみ、キリストの十字架の血潮が私のすべての罪を洗い流す、という信仰に生きていたという。しか…

物語、命題の二者択一ではなく

19,20世紀のリベラル神学は聖書の命題的啓示を否定する傾向が強かった。だが、聖書啓示には物語的側面と命題的側面の両方があるというのが事実である。学生時代にある本で読んだのだが、物語と教えとがないまぜになっている福音書のような表現形態は、…

神学における知と愛と文体

「知識は人を高ぶらせ、愛は人を育てます。」 1コリント8:1 私は、浪人生活の夏、以前書いたように増永俊雄先生(改革長老教会東須磨教会牧師)と出会って、「神の栄光を現わすための人生」というものがあるのだと知りました。そうして、翌年一月に神の…

ChatGPTによる書評『新・神を愛するための神学講座』

ChatGPTによる書評です。ほめすぎのきらいはありますし、私は「教会史家」ではありませんが、ねらったことをしっかりとらえていて、GPTってすごいなあと思います。もちろんこういうものが書けるのは、牧田先生、山口陽一先生、朝岡勝先生たちの書評やアマゾ…

中西健彦「北海道聖書学院の特色」

私たちを取り巻く時代は、大きな変化の波の中にあります。少子高齢化・IT化・価値観の多様化が進む社会で、教会がどのように変わらない福音を伝え、群れを養っていくのかは避けて通れない問いです。都市と地方、若者と高齢者、小さな群れと新しい宣教の芽――…

創造の「契約」について

聖書には創造から新天新地まで一貫して、神がその民と結ばれる契約があります。けれども、創造・善悪の知識の木の出来事について「創造の契約」とか「善悪の知識の木の契約」ということばを用いるのはいかがなものか?と疑問を呈する意見もあるようです。そ…

アンセルムスー祈ること、知ること、生きること

一昨年から毎週火曜日夜に、教会の兄弟姉妹8人ほどでオンラインで「神学読書会」をしています。『新・神を愛するための神学講座』が出たのをきっかけに、「解説してほしい」という要望から始まったものなのですが、それを読み終えて、ボン・ヘッファー『共に…

終末論でなく希望論

古代教会からの伝統的諸信条をおさらいしてみると、個人的終末論でも世界終末論でも、関心の中心は最後の審判であることに気づく。他方、再臨の前兆、いわゆる千年王国、新天新地の相続などについては主題的に扱われていない。ローマ教会における終末論の特…

北海道聖書学院 カテキズムの授業

今週から北海道聖書学院の新年度授業がスタートします。1学期はカテキズムと、キリスト論・贖罪論です。カテキズムは数年前から「神を愛するための教理問答」というのを作成して用いています。これはここ半年くらい教会の朝夕の祈り会での学びという現場で…

北海道聖書学院 オンデマンド授業の紹介  1回目おためし視聴をお勧めします

北海道聖書学院では、聖書・神学を学びたいという方たちのために、オンデマンド授業をオンラインで提供し始めました。現在、提供されているのは、 「ざっくり味わうキリスト教史2000年」講師 川崎憲久 「新約通論①」講師 吉田麻希子 「神を愛するための…

啓示の器と内容の関係(ChatGTPとの対話)

ChatGTP(無料)とのやり取り 私がしょっちゅう言ったり書いたりしている啓示の器と内容に関することを、ChatGTPに言ってみたら、よく整理してくれました。びっくりですね。 <私> 神が聖書を啓示する方法は、共通恩恵としての文化という器に、特別恩恵とし…

今風の聖書学は自覚せずに理神論になっているのではないか

神は被造世界を創造し、かつ、これを摂理によって統治する。神は通常は、被造物である法則を道具として被造世界を摂理しておられるけれども、時折、みこころのままに被造世界に介入し、その法則を停止したり、あるいは、その法則を強化することによって被造…

聖書解釈と言語・文化的背景

もし主と教会のお役に立つならばと思って、『神を愛するための教理問答』(仮題)の原稿をまとめつつあります。その中で聖書の読み方について述べたいくつかの問答のうちの一つを、紹介しておきます。 問2-9 聖書解釈において文化・言語的背景を参考にす…

近年の福音派混乱の根本原因

「拠り所がこわされたら正しい者に何ができようか。」詩篇11:3 私が東京基督神学校の学生であった時代、宇田進教授がチャペルで上記のみことばを引いて聖書信仰の重要性について説教をされたことがあった。聖書信仰とは、「聖書はすべて誤りなき神のみこと…

子とされた恵みの重要性

先週、所属教団の秋の研修会に参加して思ったこと。 「ルターはカトリックの神人協働説(律法主義)に苦しんで、信仰義認を聖書に発見しました。救いは恩寵のみ、信仰のみです」というプロテスタント教会の牧師が、バリバリ頑張って伝道牧会していて成果主義…

義認・聖化の罠と、子とすることによる解決

1.義認には、個人主義と、無律法主義という罠がある。 義認において、人は聖なる審判者の前における被告として独りの罪ある自分を意識させられる。それは信仰の経験において重要なことであるが、義認からは教会(神の民)は見えてこないので、個人主義に傾…

「多様性」一辺倒、混乱の時代に:『新・神を愛するための神学講座』

昨日、札幌で教会の女性たちの集まりがあって、アッシー牧師たちが数名、別室で交わりをしました。最初大谷翔平君はもちろん話題になりましたが、近年気になっている神学的動向、それから健康によい体操などが話題になりました。そういえば若い日、先輩のY牧…

「召し」と「摂理」について

ローマ8:28 28:神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。(中略) 30:神は、あらかじめ定めた人たちをさらに召し、召した人たちをさらに義と…

聖餐の中身

昨日の主日礼拝はヨハネ福音書6章の五千人給食のところ。「過越しが近づいて」とあることが示すように、この奇跡とその後のヨハネ6章53節から58節「人の子の肉を食べ、人の子の血を飲まない者は・・・・」というイエスのことばは聖餐と関連して記され…

神のご計画の全体を

私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいたからです。 使徒20:27(新改訳第三版) 使徒パウロはエペソの長老たちとの訣別のあいさつの中でこのように語っている。ここには使徒が説教をするにあたって心がけていたことが記されて…

神のかたちのかたち

「1:15御子は、見えない神のかたち(εἰκὼν τοῦ Θεοῦ)であって、すべての造られたものに先だって生れたかたである。 1:16万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位も主権も、支配も権威も、みな御子にあって造られたからである…