苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ものの見方

人は人間扱いされないと・・・

ウクライナにロシアが侵攻して一カ月が経ち、昨日、恐ろしい報道がありました。ロシア軍が撤退したブチャという町で、300人ないし400人の民間人が拷問の上虐殺されていたというのです。ロシア当局はこれを西側のフェイク報道だと即座に否定していますが、無…

病みつつも

病みつつも御手の中なるわが命 もみぢ一葉 梢に残る 今井百合子 札幌の今井百合子姉から、短歌の欄で特選にとっていただいたということで『百万人の福音』3月号が送られてきました。百合子姉はかつて苫小牧の教会のメンバーでしたが、脊椎の病を患われてから…

主義は中毒

どんなに良いことでも、それを偶像化すると、よろしくないことが起こります。たとえば、律法は神がくださったよいものですが、律法主義になると人を滅ぼします。偶像化とは、絶対視することです。おおよそナントカ主義というのは、思想的偶像崇拝です。主義(…

羽生弓弦選手

youtubeで、男子フィギュアの金銀銅の演技と4位の羽生選手の演技を見ました。羽生選手は、予選の不運と、フリーの始めでクワッドアクセルに挑戦して失敗したので得点は伸びませんでしたが、ほかの選手を寄せ付けないほどとびぬけた「作品」だと感じました。…

聖書眼鏡

明日のチャペルの準備完了。2.11の前日なので、第一列王記12章25節から33節を開くことにしました。ヤロブアム1世が定めた建国記念日は8月15日。 HBIの卒業生には、十字架の福音を明確に認識し伝えるとともに、神様が下さった聖書という眼鏡で、世界と歴…

黒人差別撤廃、フェミニズム運動、包括主義性教育、同性婚推進運動の共通の背景:フランクフルト学派・・・「ジェンダーを理解する」メモ2

昨日うかがった講演で、私にとってもっとも興味深かったのは、第2回目の講義で今日のジェンダーをめぐって世界が同期された動きをしている背景とフランクフルト学派の社会哲学と戦略についてでした。忘れないうちにメモしておきます。 1917年ロシア革命…

おじいちゃん

今日は、小学校1年生Sちゃんが最初に、2年生のKちゃんとRくんが遅れて会堂にやって来ました。Sちゃんのおかあさんは子ども食堂で、おいしいものを作る仕事をしているということで、子ども食堂を訪ねてごあいさつをしに行きました。 会堂に帰って来て、牧師室…

新しい聖書解釈?

学会で発表される論文というものには、新しい説が含まれなければならないそうである。そうでなければ、論文として発表する意味がない。だが新説のうち、8大方は、検証をされていくうち、結局は珍説にすぎなかったことが判明していく。 聖書についても、新し…

「新しい資本主義を実現する。分配なくして成長はない。」

岸田首相は、小泉―安倍―菅と続いた新自由主義経済に決別し、「新しい資本主義を実現する。分配なくして成長はない。」と主張している。 小泉ー安倍は、竹中に操られて、ひたすら富裕層を富ませる政策をとり続けた結果、この経済大国でありながら食べていけな…

130周年記念大会

日本同盟基督教団宣教130周年記念大会がオンラインで開催されました。オンラインで行われたおかげで、北海道にある教会もきちんと参加することができたことは大変感謝なことでした。コロナにもこうした良い点もありますね。 全体集会における2回にわたる…

甘え、忍耐心

三浦綾子の言葉 あなたの気持ちはわかります、と言えば、わかるものか、とあなたは怒鳴る、 わからないと言えば、どうしてわからないのか、と怒鳴る。 どちらも甘えです。静かに話し合うという忍耐心が私たちには必要なのです。 (三浦綾子『ナナカマドの街…

テレビとネットのちがい

久しぶりにテレビを見て気付いたのは、自分はせっかちになっているなあということ。パソコン、ネットで、自分の見たいこと、知りたいことだけを、ぱっと見つけてそれ以外は見ないという習性がついてしまったようです。けれども、こういうことをしていると、…

多様性と統一性と時間性

プラトンやアリストテレスは多様性と統一性をめぐって、その議論を展開した。だが、彼らに欠けていたのは時間性である。創世記における万物の創造のわざを見ると、そこには、多様性と統一性に加えて、時間性があることに気づく。つまり、神は世界を段階的に…

短歌二首

札幌のケアハウスに住まわれる Y.I.姉から電話がありました。歌人でいらして、電話口で近作を紹介してくださいました。歌壇の冊子に採られたものなのだそうです。ここに紹介します。 コロナ禍の世を今宵また月あおぎ ともに愛であうケアハウスの窓に 世界中…

人生の教材

人生には学ぶべき教材が、ごろごろところがっている。学校を出ていないということもまた、一つの教材である。貧しいことも、体の弱いことも、失敗も失恋も、人との不和も、そしてまた、順境も逆境も、学ぼうと思えば、すべてが教材なのである。朝起きた瞬間…

文章の平明化

最近薦められて、W. GrudemのSTを安く手に入れて読んでるんですが、英語が極めて平明。対象とする読者が一般読者であるからでもあるのでしょうが、これほど易しく書けるというのも賜物なのでしょう 今、友人がJ.I.パッカーの個人的終末論に関する論文集を翻…

学問の目的と学会

学問の目的は真理の探究であると思います。 ところで、学界に論文を発表するとなると、何か新しいことを言わねばなりません。しかも、ただ新しいのでなく、その時代の学界のはやりすたりというものがあって、その時流に乗ったものでなければ学会で論文は評価…

褒めるのでもなく、叱るのでもなく、フィードバックする

樺沢紫苑さんの動画を見て、メモ。 褒めて伸ばそう若い芽を、というけれど、褒めるのは結構むずかしい。そして、叱るのもむずかしい。どちらも感情が入ってしまうから。 褒めるのでもなく、叱るのでもなく、フィードバックするのが有効。悪かった点3つ良か…

ブレーズ・パスカル『定本パンセ』(松浪信三郎訳・註)

「君は、寄らば斬るぞ、ですね。卒論にするには、とりあえず、この著者の言っていることはすべて正しいはずだと思える対象を見つけるほうが、実りある学びができますよ。」と飯塚勝久先生がおっしゃいました。当時、哲学専攻に移った私は毎週一回、先生の研…

アライグマ

大学時代、私にサルトルやパスカルのことを教えてくださったのは飯塚勝久先生という方です。そのころジャンセニスムの研究をされていて、後にその論文で博士号を取得されました。ジャンセニスムというのは、パスカルが影響を受けたポール・ロワイヤル修道院…

水を30分ごとにゴクリ

今日は北海道聖書学院に出講日です。冬学期は、組織神学で聖霊論を学んできました。聖霊論は狭い意味では、聖霊がどんなお方かを聖書に学ぶわけですが、担当しているのはもっと広い意味で、聖霊プロパーだけでなくキリストが成し遂げ獲得してくださった祝福…

「10,000,000人感染」より、「254人感染」のほうが怖いと感じるわけ

人間にとっては、30メートルの高さが一番怖く、100メートルの高さになるとあまり怖くなくなるそうです。確かに高層ビルの最上階のレストランから下を展望しても、おもちゃの世界を見ているようで、怖くありません。高さが抽象化されてしまうのですね。ですか…

病気の怖さの計算式から言えば・・・

少し考えたのだが、病気の怖さとは、つまるところ、「それが死に至るものかどうか」ということだろう。死に至る可能性というのは、罹患率(りかんりつ)と致死率から成っている。罹患率というのは、その病気にかかってしまう確率であり、致死率とはいったん…

医者の仕事、政治家の仕事

新型コロナ肺炎に関して思ったこと。 医者は目の前の患者を助けるのが仕事でしょう。その中で感染の専門家といえば感染が広がらないことを考えるのが仕事です。いきおい医者の良心としては、一人でも病人にさせまいとして警戒レベルを高く引き上げるべしとい…

クローン技術は人間の分を越えているのではないか

HBI(北海道聖書学院)のゲストルームでNHKを見たんですが、そこでクローン技術の急成長についての特集番組をしていました。かつてドリーという羊のクローンが話題になりましたが、今では、600万円で犬や猫のペットのクローンを作るという商売がされているそ…

聖書は同性間性交についてどう教えているか

2019年9月23日、少し加筆修正しました。 1 同性間性交に関する聖句リスト 「この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完…

人権論の思想史

思想史上、人権について論じ始めた思想家は英国のジョン・ロック(1632‐1704)です。彼は『市民政府論』の中で、創世記9章の大洪水後の神の宣言に基づいて、自然権とは創造主が人間ひとりひとりに生まれながらに与えた権利であるとしています。ロックによれ…

人権思想とキリスト教

青学の森島豊先生の講演をうかがいました。キリスト教思想史が御専門という方で、でも、学者というアイデンティティ以上に、説教者ということを第一にしていらっしゃるとのこと。すらりとイケメン、イントネーションは「標準語」ですが、お話しぶりは関西人…

『失われた歴史から―創造からバベルまで』と森有正のことば

「一つの生涯というものは、その過程を営む、生命の稚い日に、すでに、その本質において、残るところなく、露われているのではないだろうか。」 これは若い日に、宮村武夫先生に勧められて読んだ、森有正『バビロンの流れのほとりにて』の冒頭のことばである…

お茶とお茶碗・・・聖書学における「最新の学説」

聖書学の流行に敏感な人々の中に、最新の学説が最良の学説というふうに思い込んでいるらしき人々を見かける。もし、物事全てが「進化」しているのであるとすれば、学説においても最新の学説が最良の学説ということになる。しかし、これは神学に関しては間違…