NPP
半年ほど前に、ふと思い出して書いたことは、やはり大事なことだと思うので、もう一度書いてみる。 大学時代、国文から哲学に専攻を変更して哲学書を読み始めたとき、難しくて何を言いたいのかがわからなかった。そこで指導してくださる飯塚勝久先生に「何か…
1 ライトの新約聖書の読み方 日本長老教会によるN.T.ライトに関するレポートで、ライトの聖書理解の手順が示されている(37ページ)。ライトは、聖書のある概念を理解するには、まず第二神殿期のユダヤ教文献を読むことが必須であるとする。 ①まず第二神殿…
イエスの同時代のユダヤ人たちは、ローマ帝国支配下にある自分たちが民族・国家として神の懲罰の下にあるという意識を持ち、そこからの救いを求めていた(ルカ2:25,ヨハネ6:15、使徒1:6)。もしイスラエルが主の契約に不忠実ならば、神は異教徒…
N.T.ライトは、新約聖書とほぼ同時代のユダヤ教文献から、1.イエスの時代のユダヤ人たちが「罪」として意識したことは、個人としての罪ではなく、神がイスラエルの民をその背信のゆえに、懲罰としてバビロン捕囚に遭わせ、その後も民族の主権は回復させて…
昨日のHBI講師教師研修会の最後の時間は、前夜に4人ずつテーブルに分かれそこから出た質問に対する答えの時でした。さまざまな質問がある中で、「日本人はなぜライトのような説に惹かれるのでしょう。」というものがありました。私は日本人キリスト者がみな…
このたびHBIでの教師・講師研修会では聖書宣教会の三浦譲先生をお招きし、N.T.ライトのパウロ書簡における義認と信仰に関する解釈が扱われました。一度目のお話が終わったとき、E牧師から次のような質問がありました。「先生によるN.T.ライトの教えをうかが…
『新・神を愛するための神学講座』個人的終末論の箇所について事実誤認があったので、お詫びして訂正いたします。p534の3行目「J・ヴァイス、A・シュヴァイツァー、E.P.サンダース、N.T.ライトたちは」→「E.P.サンダースは」(E.P.サンダース『パウロ』…
日本長老教会の委員会は「NTライト神学の検証と評価」という緻密で用意周到な論文を発表された。たいへんな労作なのだが、読むのも苦労なので、まず初めの3章の一番の重要点と思われるところをここにメモしておく。 1.N.T.ライトの聖書理解の手順(37ページ…
カルヴァン以来、キリストの職務は預言者・祭司・王の三つであるという言い方がなされてきました。三つの働きが切り離せないので、キリストの三重職(three-folded offices)とも言われます。しかし、福音書を読むと、「時が満ち、神の王国は近くなった。」と…
昨日、知り合いに教わったのですが、日本長老教会が「N.T.ライト神学の検証と評価」というものを2022年11月に発表しました。昨年春、執筆者の一人に今そういうものを書いているということはうかがっていました。 私はまだ目次と結論にしか目を通してい…
このごろは1世紀のユダヤ教の色眼鏡で新約聖書を読むのが流行しています。それはちょうど汎バビロン主義者たちが、バビロニア神話の色眼鏡をかけて創世記を読んでしまうのと同類と思えます。 NPPでもジェームズ・ダンの仕事は慎重で信頼できそうだな感じて…
「御父は、私たちを暗闇の力から救い出して、愛する御子のご支配の中に移してくださいました。 この御子にあって、私たちは、贖い、すなわち罪の赦しを得ているのです。」(コロサイ1:13,14) 福音の伝道者は、伝えるべき福音を正しく認識していなければ、その…
ウェストミンスター小教理問答書は、キリスト者(有効召命を受けたもの)が、今の世で受けるおもな祝福を義認、子とすること、聖化であるとしている(問答32)。 これに対して、N.T.ライトは、パウロにおいて、義認とは神の民であることの認定を意味してい…