苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

犬や豚は

新改訳第三版

「聖なるものを犬に与えてはいけません。また豚の前に、真珠を投げてはなりません。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたを引き裂くでしょうから。」

新改訳2017

「聖なるものを犬に与えてはいけません。また、真珠を豚の前に投げてはいけません。犬や豚はそれらを足で踏みつけ、向き直って、あなたがたをかみ裂くことになります。」マタイ7:6

 

 第三版の翻訳では、踏みにじり引き裂くのが豚だけととらえられそうだったので、2017では「犬や豚はそれらを(アウトゥース)」と訳し変えたようですね。確かに私も以前はそういう印象で読んでいました。

   ここはヘブライ的並行法で書かれているというバーンズ先生の見方があります。ヘブライ的な並行法というのは、詩篇などでよく用いられる文章の技法なのですが、構造としてはABBAとかABCCBAとかABCDDCBAとかいった、いわば、波紋を広げたようなかたちになるのです。この箇所について具体的にいえば、犬、豚、豚、犬という構造になっているんじゃないかというわけです。

 新約聖書ギリシャ語で書かれていますが、イエス様はユダヤ人でしたから、その表現はヘブライ的であったわけで、ヘブライ的な特徴があります。そうだとすると、イエス様のこのおことばは、犬、豚、豚、犬という並行法をなしていると見て、次のように訳すことができます。

「聖なるものを犬に与えてはいけません。

豚の前に真珠を投げてはなりません。

豚は足で真珠を踏みにじるでしょうし、

犬は向き直ってあなたがたを引き裂くでしょうから。」