苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ローマ8章28節について(2)・・・「益」とは

 ローマ8章28節、29節、30節は平行関係にあることを見抜くことが、28節を理解するための肝心な点です。この平行関係を見落として28節だけを取り上げる人たちは、「クリスチャンのために神様はぜんぶ『益』にしてくださる」という、少々都合のよい解釈をしがちです。「益」とは何かということが問われねばなりません。

28,神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。

29,神は、あらかじめ知っている人たちを、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたのです。それは、多くの兄弟たちの中で御子が長子となるためです。

30,神は、あらかじめ定めた人たちをさらに召し、召した人たちをさらに義と認め、義と認めた人たちにはさらに栄光をお与えになりました。

 28節でいう「神のご計画」とは、29節でいう「神はあらかじめ知っている人たちを、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められた」ことにあたり、30節でいう「神はあらかじめ定めた人たち」にあたります。

28節でいう「召された」は30節でいう「さらに召し」にあたります。

したがって、28節でいう「益」とは、29節でいう「御子のかたちと同じ姿」に変えられること、30節でいう「義と認め」「さらに栄光をお与えになる」ことに当たります。

 この箇所は、救いの順序ordo salutisを表現している箇所です。つまり、第一に神の計画(予知・予定)があり、第二に召しがあり、第三に義認があり、第四に栄光を与える=御子と同じ姿にする(つまり聖化と栄化)という順序です。

 ですから、28節でいう「益」とはなにかクリスチャンになって事業が成功したとか病気が治ったとかいうことではなく、義認と聖化と栄化を意味しています。