苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

歴史

馬と民をひきかえにしてはならない

先月末、信州夏期宣教講座で三つの講演のうちひとつを担当させていただいた。すでに当ブログでは書いたことのある申命記17章のアウトラインによるものだが、そのなかで、聖書解釈上いまひとつはっきりしなかった点があった。 「王は、自分のために決して馬…

映画「終戦の天皇」

家内と娘といっしょに、映画『終戦の天皇』を見てきました。一見の価値ありでした。 天皇周辺の史実については忠実さに徹し、天皇に対する処遇の判断基準となる調査を担当した情報将校のフェラーズ准将の日本人女性鹿島あやとの悲恋物語を織り込ませることで…

毒をもって毒を(その2)

昨日は、エフーがアハブ家を滅ぼすというイスラエル王国の王朝交代における「毒をもって毒を」だった。今度はイスラエル国の滅亡にアッシリヤが主の怒りの杖として用いられた件。しかし、アッシリヤもまたその高慢を罰せられることになる。地上の列強は、そ…

毒をもって毒を

10:28このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃した。 10:29しかしエヒウはイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪、すなわちベテルとダンにある金の子牛に仕えることをやめなかった。 10:30主はエヒウに言われた、「あなたはわたしの…

『昭和天皇独白録  寺崎英成・御用掛日記』

1991年に文芸春秋社から出版された本書の名はずっと気になりながら、これまで読まないで来てしまった。ネットの古本で調べたら、本の状態が「可」のものが100円+送料で手にはいった。 「独白録」は敗戦の翌年昭和21年3月から4月にかけて、五人の側近に、昭…

日本紀

ずいぶん前にメモしたことですが、アップします。 以前、秦氏のことを調べるために手に入れた現代語訳『日本書紀』上下(宇治谷孟、講談社学術文庫)を通読した。古事記とちがって日本書紀はとっつきにくいし、原文は漢字・万葉仮名のみであるし、書き下し文…

時の螺旋構造と歴史認識

先週、北海道聖書学院でお話したことのイントロで話した4点のうち1点です。(前略) a 創世記1章から11章 では、今回、他の聖書の箇所でなく、特に<創世記1章から11章>をアウトラインとして採用する理由はなにか。創世記1章から9章には、万物と人類の…

日本軍将兵の証言・手記に見る従軍慰安婦の実態

Transnational History というホームページに、「日本軍将兵の証言・手記に見る従軍慰安婦の実態」という記事があることを教えていただきました。 読むのもつらい内容ですが、事実は事実。リンク先を示しておきます。http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213/p1

中曽根康弘海軍中尉が、従軍慰安所を設置した事実の文書史料

「従軍慰安婦問題」について、西岡力氏(TCU教授)、小林よしのり氏等、新しい歴史教科書を作る会とこれに倣う人々は、「従軍慰安婦」たちの証言はウソだと主張し、軍が関与した歴史文書としての証拠はないと主張する。サンプルとして西岡氏の文章を一部引用…

マスター・キートンのこと

ブルガリア東部のプロバディアでヨーロッパ最古の遺跡発掘【ベルリン時事】ブルガリア東部のプロバディア近郊で欧州最古とみられる6700〜6200年前の町の遺跡が見つかり、発掘作業が続いている。遺跡からは塩の生産施設も発見された。当時は貴重だっ…

幣原喜重郎・・・・深謀遠慮の宰相

今、日本国憲法の制定と幣原喜重郎のことを調べている。筆者はかつて、戦前の協調主義の幣原外交は「軟弱外交」だと一言で片付ける軽薄な教科書を習っただけだったのだが、実際には、この人物は深謀遠慮の人だった。 自主憲法制定論者には都合がわるいであろ…

幣原喜重郎『外交五十年』

ひさびさに軽妙な語り口で、かつ歴史の重みある自伝を読んだ。戦前は外交官、大使、外務大臣として幣原外交と呼ばれる平和外交を展開したが、日本が軍国化へ暴走する時期には軟弱外交と非難されつつ下野し、敗戦直後、老いて総理大臣として再登板して、わが…

国のあり方について(その6)・・・皇室の伝統とは

6.皇室の伝統とは 自民党の国会議員西田昌司氏の「主権は国民にはない。日本が長年培った伝統と歴史に主権がある。」という発言が物議を醸している。氏は西部邁と親交があり、保守主義の父エドマンド・バークの信奉者であるそうで、その観点から日本国憲法を…

国のあり方について(その5)・・・共和制と君主制の仕組みと長短

5.共和制と君主制の仕組みと長短(1)仕組み 実際に、民主的に国家が運営されうる現実の政治体制とは、本物の立憲君主制と、本物の立憲共和制のふたつである。前者では伝統的権威を帯びた君主が国民統合のシンボルとなり、後者は選挙など民主的手続きによ…

国のあり方について(その3)・・・共和制が民主的とは限らない

3.共和制が民主的とは限らない NHK高校講座の世界史で山内昌之氏が「共和制であるからといって、民主的とはかぎらないところが、世界史のむずかしいところです。」と発言していた。山内教授は、米国を一例として挙げ、米国はイングランド王を排して共和…

国のあり方について(その2)・・・英国の市民革命二つ

2.英国の二つの市民革命とフランス近代の比較 英国では、17世紀半ば、クロムウェルを指導者としてピューリタン革命があった。ピューリタン革命の場合も、チャールズ1世という専制君主を処刑した。しかし、ピューリタン革命はフランスのような合理主義によ…

国のありかたについて(その1)・・・フランス革命の熱狂

「天皇制は排すべし」という共和主義の考え方がある。明治維新後の現人神天皇制ゆえにわが国が犯した罪や、自国民のみならず他国民にまでもたらした悲惨の重大さを思うときに、そうした考えを持つ人がいることも無理からぬことかもしれない。天皇が現人神と…

かつての大本営発表と今回のこと

昨日、東京からの帰りの新幹線で読んだ保坂正康『「昭和」とは何だったのか』から抜粋。昨年の福島第一原発事故後の政府と東電と東大の先生たちと大新聞とTVの報道と重なり合うことが多い。「ひとたび官製報道のみの情報管理の時代に入ったら、国民の悲劇は…

件の島について

次の選挙が黄色信号の韓国大統領は、竹島(韓国名、獨島)に上陸し、反日的・愛国的言辞をもって国民の支持率を上げようと図った。応じてわが国の民主党政権野田首相も、例のごとく「不退転の決意」と陳腐なことばで国民の人気をひきつけようとしている。民…

孫崎享『戦後史の正体』

(散歩道、相木川べりに咲くノカンゾウ) 著者は元外務省の役人として、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任の後、防衛大学校教授として教鞭をとり、今は執筆・講演活動をしている。本書は、外交の裏も表も知る現場にあった者としての視…

燃える土と燃える水

宇治谷孟さんの『日本書紀』全現代語訳を読んでいたら、天智天皇の治世7年秋七月に面白い記事を見つけた。「また越の国が燃える土と燃える水をたてまつった(又越國獻燃土與燃水)」とある。越の国とは、越前・越中・越後の国々、つまり、今でいえば北陸から新…

皇統は武烈と継体で切れている

日本紀をつらつら読んでいるとこんなことも書いてあった。第25代「武烈天皇は57歳で、8年12月8日におかくれになった。もとより男子も女子もなく、跡嗣が絶えてしまうところであった。」そこで、12月21日、大伴金村大連がみなに議って、「・・・仲哀天皇の…

平山郁夫シルクロード博物館

小学6年生のとき、図書室の本を整理するために、あまり読まれていない古い本を好きに持ち帰っていいと言われたことがあった。筆者はたしか三冊もらった。一冊は日本の古代史の本、一冊は『ジンギスカン』、そしてもう一冊は『マルコ・ポーロ』だった。 家に…

信州安曇野と九州志賀島

連休に、教会の兄弟姉妹と安曇野の大王わさび農園に出かけてから、安曇族のことが気になっている。特に、大陸族(ヤマト族)と勇戦して破れて亡骸はバラバラにされて、あちこちに埋められたという八面大王の悲劇が印象に残ってしまったからだろう。それは紀…

戦後日本史基礎問題4つ

センター入試に、下のような出題がされれば、戦後日本史を正確に洞察し、わが国のありようを深く理解するのに役に立つと思う。問1 1948年12月24日、東条英機ら7名が処刑された翌日、CIAに協力することを条件として、巣鴨プリズンから釈放された19人の男のう…

狭き門の幸い・・・・スウェーデンの田舎の教会堂で思ったこと

もう何年も前、機会があってスウェーデンの田舎にある古いルター派の木造の教会堂を訪ねたことがある。堂内の正面には祭壇と十字架があり、その少し手前の左手高い位置に説教壇がくっついている。祭壇の右手は説教壇と対峙するかのようなボックス席があって…

家と無常

また元暦二年のころ、おほなゐふること侍りき。そのさまよのつねならず。山くづれて川を埋み、海かたぶきて陸をひたせり。土さけて水わきあがり、いはほわれて谷にまろび入り、なぎさこぐふねは浪にたゞよひ、道ゆく駒は足のたちどをまどはせり。いはむや都…

「自主憲法制定」こそ対米追従の道

「日本国憲法は米国から押し付けられた憲法である。自主憲法を制定し、日本は米国から独立的に歩むべきだ!」と改憲論者は言うけれども、実は、彼らこそ対米追従者である。なぜ、そんなことが言えるか? 二つ理由がある。 第一の理由は、昨日、すでに述べた…

安曇野で白鳥とわさび田を見てきました

教会の篠原さんたちと、春のピクニックの下見のために安曇野にでかけました。この季節は安曇野には白鳥が飛来しています。佐久の千曲川に来るのはほんの数羽のようですが、安曇野の白鳥は群れを成しているといいますので期待して行きました。 安曇野を流れる…

創造からバベルまで・・・Ⅲ「時」と人生

エッサイの株から一つの芽が出、 その根から一つの若枝が生えて実を結び、 その上に主の霊がとどまる。 ・・・・・ おおかみは小羊と共にやどり、 ひょうは子やぎと共に伏し、 子牛、若獅子、肥えたる家畜は共にいて、 小さいわらべに導かれ、 雌牛と熊とは…