苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

中曽根康弘海軍中尉が、従軍慰安所を設置した事実の文書史料

 「従軍慰安婦問題」について、西岡力氏(TCU教授)、小林よしのり氏等、新しい歴史教科書を作る会とこれに倣う人々は、「従軍慰安婦」たちの証言はウソだと主張し、軍が関与した歴史文書としての証拠はないと主張する。サンプルとして西岡氏の文章を一部引用しておく。

たしかに「慰安婦」という人たちはいました。しかし、「慰安婦問題」というの はありませんでした。「問題」というのは現代になっても解決せねばならないこ とがあるかどうかということです。

世界には貧困のために不幸にして自分の性を売らなければならなかった人たちは 、歴史的にも、現在にもたくさんいます。そういうこととは別に、日本が国家と して権力を使って慰安婦に強制的に性を売らせたということがあれば、それは問 題です。もし、そういうことがあれば「慰安婦問題」となるでしょう。しかし、 なかった。ですから「慰安婦」はいたけれども「慰安婦問題」はなかったという のが真実です。
http://www.ianfu.net/opinion/nisioka.html

 だが、この主張はまちがっている。当時、仮に軍が直接関与したということがなかったとしても、軍に出入りする業者は軍が統制していた。つまり、軍は直接女性たちをだまして連行するということをしないで、売春業者に汚い仕事をさせて、甘い汁だけ吸っていたのであるから、罪の上に欺瞞という罪を上塗りしているだけのことである。・・・筆者は、最近までそう思っていた。
 だが、最近になって軍が従軍慰安婦施設設置に直接に関与していたという歴史資料が見つかっていることを知った。高知の平和資料・草の家の研究員が防衛省防衛研究所所蔵史料から見つけたものである。
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/Shigeo.Nishimori/

 第二段落のバリクパパンにおける出来事についての記述、第三段落の慰安所設営の記述に注目。

バリクパパンでは飛行場の整備一応完了シ 攻撃機による蘭印作戦が始まると工員連中ゆるみが出た風で 又日本出港の際約二ヶ月の旨申し渡しありし為 皈心矢の如く気荒くなり日本人同志けんか等起る様になる
主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設 気持の緩和に非常に効果ありたり
(皈=帰)

下記はこれを取り上げた高知民報の記事。「土人女を集め」慰安所を設置した主計長はなんと、中曽根康弘氏(当時海軍第二設営班主計長、海軍主計中尉)だった。


 中曽根康弘・元首相が太平洋戦争中にボルネオ島で「慰安所」設置に関与していた事実を証明する資料を10月27日、「平和資料館・草の家」が発表しました。

高知市升形の「草の家」で開かれた会見では、岡村正弘館長、馴田正満研究員らが、防衛省防衛研究所戦史研究センターが複製・保存(※)している「海軍航空基地第2設営班資料」を示し説明。

当時の中曽根海軍主計中尉は、2300人の工員を徴用し飛行場を建設した第2同設営班に主計長として所属していたこと、ボルネオ島バリクパパン322基地に1942年3月11日「慰安所」を設営し、見取図もあること、「氣荒くなり日本人同志けんか等起る」中で「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設氣持の緩和に非常に効果ありたり」という記載があることを示しました。

中曽根元総理回顧録 (『終りなき海軍』)に「三千人の大部隊だ。やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんな彼らのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある」と自ら書いていたことに国際的な批判が高まり、07年3月23日の日本外国特派員協会記者会見では「慰安所」への関与について追及され「碁を打つなど休息所の目的で設置した」としていました。

今回、公表された文書は「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設」と明記されており、中曽根元首相の言い訳を覆しました。

岡村館長は「中曽根氏は真実を明らかにすべきだ。政府にも調査と事実公表を求めたい」と話しました。

※第二設営班の徴用技師・宮地米三・元工営長が防衛省戦史編纂官の依頼で1962年に複製し、同省が保管している文書であり信頼性は高い。(2011年11月6日 高知民報)
http://www11.ocn.ne.jp/~jcpkochi/minpo/topic/2011/111106nakasone.html


注>史料の詳細はネット上に出ている。
●短歌の花たより
http://fujihara.cocolog-nifty.com/tanoshi/2011/10/post-191b.html
防衛省防衛研究所史料閲覧室
http://www.nids.go.jp/military_archives/index.html
<追記2019年8月15日>防衛省の閲覧室のこの資料は、今は閲覧できなくされている。臭いものにふたをするのが、安倍政権の隠蔽体質の現れである。

また、こちらも参照されたい。
日本軍将兵の証言・手記にみる慰安婦強制の実態

http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213/p1