苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

毒をもって毒を

10:28このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃した。 10:29しかしエヒウはイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪、すなわちベテルとダンにある金の子牛に仕えることをやめなかった。 10:30主はエヒウに言われた、「あなたはわたしの目にかなう事を行うにあたって、よくそれを行い、またわたしの心にあるすべての事をアハブの家にしたので、あなたの子孫は四代までイスラエルの位に座するであろう」。 10:31しかしエヒウはイスラエルの神、主の律法を心をつくして守り行おうとはせず、イスラエルに罪を犯させたヤラベアムの罪を離れなかった。(列王記下10:28,29)

 北イスラエル王国史上最悪の王アハブとその妻イゼベルの一族を滅ぼすために、主はエフー(エヒウ)という男を用いられた。9章、10章に記される、エフーの徹底したやり方は目も当てられない。だが、エフーもまた主に忠実だったわけではない。
 毒をもって毒を制すというのが、古代イスラエルにおける神の歴史支配の方法であった。王朝の交代だけでなく、アッシリヤが北イスラエル王国を滅ぼしたことも、バビロンが南ユダ王国を滅ぼしたことも、毒をもって毒を制すにあたる。したがって、神に用いられて勝利者となったからといって、その人物や国が正しいわけではない。勝利者、敗者いずれも毒である。
 義人はいない、ひとりもいないというこの世界の歴史に起こる多くの権力者の興亡は、こういう見方で見るべきだと列王記は教えているのではないだろうか。明治維新以来、天皇国家神道体制の富国強兵政策をもって帝国主義列強の仲間入りをした日本が大東亜共栄圏をとなえて、インドシナからはフランスを、インドネシアからオランダを、ビルマからイギリスを、フィリピンから米国を追放したとき、神は大日本帝国という毒をもってこれらの植民地主義列強の暴虐を制せられた。そして、米国が軍国主義の日本を打ったとき、神は米国という毒をもって大日本帝国という毒を制せられた。

   スカシユリ