苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

教会と国家

自衛隊であればこそ・・・・小林よしのり『国防論』、デーヴ・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』

(小海駅のホームから、教会のこげ茶色のとんがり屋根が見えます。) 乗り継ぎの大宮駅の本屋で、小林よしのり『国防論』を見つけた。本書において、小林は今回の地震と津波による東北の被災地にあって、自衛隊がよい働きをしたことを賞賛している。そして、…

武器輸出三原則緩和?・・・憲法9条はメイドインジャパン

(書斎の窓から見える小海町の里山) 民主党の前原氏が米国に対して「武器輸出三原則」を緩和すると以前に表明していたが、それを受けて、盟友だという野田総理が公式に「武器輸出三原則緩和」を米国に伝える方向であると報道されている。要するに、日本企業…

石浜みかる『あの戦争のなかにぼくもいた』

教会のYNさんにご紹介いただいた本。作者石浜みかる氏の父とその家族の経験をもとに、戦前・戦中の出来事が描かれている物語である。 戦時下、歯科医をしながら伝道をしていた父親が、治安維持法違反の容疑で特高警察にひっぱられた。家に残されたのは母、祖…

高慢は滅びに先立つ

「ウジヤ王は神を認めることを教えたゼカリヤの存命中は、神を求めた。彼が主を求めていた間、神は彼を栄えさせた。・・・彼の名は遠くにまで鳴り響いた。・・・ しかし、彼が強くなると、彼の心は高ぶり、ついに身に滅びを招いた。彼は彼の神、主に対して不信…

政府がネット情報統制

伊那谷牧師のブログに「政府がネット情報統制」をするという記事が載っている。政府が原子力に関する不正確な情報が流れることを防止して風評被害を防止するのだそうである。なんともしらじらしい。原発がすでにメルトダウンしているという事実を隠蔽し、放…

愛国心という歴史現象

(ルピナス) 「愛国心」は近代人にとっては常識となっている。だから愛国心を否定する者は非常識な人間とみなされる。たとえ日の丸・君が代を否定する人々であっても、たいていは「真にこの国を愛するからこそ、あえて日の丸・君が代を否定するのだ」と説明す…

近現代教会史8 大戦後のエキュメニズム派の動向・・・20世紀(3)

昨年大晦日にドイツ教会闘争を掲載して以来、少し間があいてしまいましたが、近現代教会史ノートの続きです。第二次大戦後のリベラル派の神学の動きです。3.その後のエキュメニズム派の動向 −−「神の死」の神学、宗教多元主義、解放の神学―――(1)「神の…

卒業式のかたち

以前、何か特別番組で、都立養護学校が都教委の指導で卒業式が強制的に変更させられて困っているということを見たことがある。石原都政の下で都教委の締め付けが厳しくなる以前、都立養護学校では、車椅子・歩行器を使う子どもたちも、自分で校長先生の前まで…

『韓国強制併合から100年』信州夏期宣教講座編

本書は、毎年8月、信州の霊泉寺温泉で開催される信州夏期宣教講座の第13回目(2010年)の講演録である。日韓併呑100年にあたる2010年は、このテーマを扱った。私は先約が入っていたために、今回参加することが許されなかったけれど、結城牧師の原稿「朱基徹牧…

炭鉱のカナリヤ 2.11集会

この冬、信州は雪が少ないなと油断していたら、2月11日は朝からドカ雪になり、今朝12日も降り続いている。昨日午前中、教会の庭と道路とこの丘に登ってくる坂道の雪かきをして、午後、佐久市の野沢福音教会で行なわれた「信教の自由を守る日2.11集会」に出か…

近現代教会史7  ナチズムとの教会闘争・・・20世紀(2)

2.ナチズムとの告白教会の戦い―――――バルメン宣言について (1)獣どもの出現 「また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった私の見たその獣は、ひょうに似…

近現代教会史1 フランス革命と理性崇拝

はじめに 何を近代とするかについては諸説ある。ヴェストファーレン(ウェストファリア)条約(1648年)で近代主権国家が成立したこと、経済においては産業革命によって資本主義が成立したこと、市民革命によって市民社会が成立したことなどが近代の特質とされ…

近世教会史ノート10 正統主義の時代(3)イギリス:ピューリタン運動

序 ピューリタン革命と名誉革命 イギリス17世紀の教会のピューリタン運動は、我々にとって特に重要である。というのは、この運動の中から、現代の多くの教会・教派が誕生しているからである。16世紀の宗教改革運動は、ルター派、改革派、アナバプテスト、英…

近代教会史ノート9 正統主義の時代(2)フランス

2.フランス:「荒野の教会」プロテスタント弾圧 J.ゴンサレスの当該箇所の要約。 (1)ユグノー戦争(1562-1598年)とナントの勅令(1598) ジャン・カルヴァンの思想がフランスで勢力を持ち、改革派はカトリック側から蔑みを込めてユグノー(huguenot)…

近代教会史ノート8 正統主義の時代17世紀(1)ドイツ

*正統主義の時代 17世紀 近世から現代の教会史を、ごく大雑把にいえば、16世紀は宗教改革時代、17世紀はその成果をまとめた正統主義時代、18世紀は正統主義への反動としての敬虔主義・啓蒙主義時代、19世紀は啓蒙主義への反動としての自由主義神学と世界宣…

近世教会史4 改革派教会(1)ツヴィングリ

2.改革派教会 Soli Deo gloria 「聖書のみ」「信仰のみ」「恩寵のみ」を旗印としてドイツのルターに始まったプロテスタント宗教改革であるが、同じ根本原理に立ちつつも別の展開を見せたのが、ツヴィングリを先駆者としてカルヴァンに継承され発展したスイ…

自衛隊、警察は暴力装置・・あたりまえ・・・追記あり

ニュースによると、国会答弁において、仙谷官房長官が自衛隊を「暴力装置」と呼んだことが、国会議員たちの非難の的になってしまい、長官はすぐにこれを「実力組織」と言い換えた。だが、「暴力装置」というのは、マックス・ヴェーバーが国家権力が暴力を阻…

中世教会史25 教皇庁のバビロン捕囚と大分裂―――政争の道具と堕した教皇庁

1 アナーニ事件 ベッテンソンp178 十字軍遠征の失敗で、十字軍を提唱し推進したローマ教皇の権威は大きく揺らぎ始めていた。最後の十字軍の撤退から四半世紀後に即位した教皇ボニファティウス8世は、教皇至上主義者だった。 他方、フランス王フィリップ…

中世教会史24 二つのキリスト像:映画「ブラザー・サン、シスター・ムーン」

中世ヨーロッパのキリスト教社会を映像で学ぶために、筆者が神学校の教会史のクラスでいつも鑑賞を薦めたのは、映画Brother Sun, Sister Moon(1973年)だった。アッシジのフランチェスコの青年時代を描いたこの映画は、彼の回心と修道会設立にいたるまでを…

中世教会史21 十字軍(その5) その後の十字軍と後代への影響

5.その後の十字軍 第2回十字軍(1147-1148)「空虚な理想」。イスラム教徒が盛り返し、エデッサ伯国を占領したことで危機感が募り、教皇エウゲニウス3世の呼びかけで十字軍が結成された。当時の名説教家クレルヴォーのベルナルドゥスが教皇の依頼を受けて…

中世教会史20 十字軍(その4) 

4.諸侯による第一回十字軍1096年(1)コンスタンティノープルで冷遇される 十字軍運動の盛り上がりの中で、民衆十字軍が壊滅し、ユダヤ人への迫害が行われたが、あとに続いたのは1096年に出発した貴族や諸侯たちによる十字軍の本隊である。西欧各地の諸侯…

中世教会史19 十字軍(その3)

3 民衆の十字軍運動 (1)民衆十字軍 ウルバヌス2世の計画では軍隊の出発は1096年8月15日を期していた。しかしそれより数ヶ月前に教皇の計画に入っていなかったグループ、すなわち農民たちや貧しい下級騎士たちが勝手に集まってエルサレム目指して出発して…

中世教会史18 十字軍(その2)

2 十字軍遠征までの経緯(1)東ローマ皇帝からの依頼と教皇ウルバヌス2世のねらい トルコ人のセルジュク朝にアナトリア半島を占領された東ローマ帝国皇帝アレクシオス1世(在位1081-1118)が、ローマ教皇ウルバヌス2世に救援を依頼したのが1095年。このと…

中世教会史17 十字軍(その1)

序 十字軍の問題は高校生で世界史を学んだ頃から気になっていた。初めて増永牧師にお会いしたとき投げかけた質問の一つは、「キリスト教会は十字軍の犯した罪について、いったいどう考えているのか?どう責任を取るのか?」ということだった。クリスチャンに…

中世教会史16 司教叙任権闘争と「ヨーロッパの確立」

「ヨーロッパ」とはどういう歴史現象なのか?そのことが、わかります。ただし、ここでいうヨーロッパとは西ヨーロッパを意味します。 参照>ベッテンソンp162、p174− 751年小ピピンは王の立場を精神的に権威づけることをねらって、教皇ステファヌ…

教会史15 西ローマ帝国の復興――カール大帝の人物と戴冠

768年ピピンが没し、その子カール(シャルル)が後を継いだ。彼は軍事的にもすぐれた人物で、ザクセン族を平定、ランゴバルドを併合、アヴァ−ル族、イスラムを破って辺境守備を行ない、かつての西ローマ帝国の大半を含む大統一を成し遂げた。その領土面積は…

高い地位にある人々のために

使徒18:12−17 2010年9月26日 小海主日礼拝 1.コリントでの騒動 「この町には、わたしの民がたくさんいるから」という主イエスのことばに励まされて、使徒パウロはコリントの町に1年半の間腰を据えて伝道を続けました。主のお約束どおり、パウロが語るキリ…

中世教会史7 ユスティニアヌス大帝と東ローマ帝国の歴史的役割

(1)ユスティニアヌス大帝 ユスティニアヌス1世(483年 - 565年、在位:527年 - 565年)は、貧しい農民の子から皇帝まで登り詰め、西ローマ帝国の故地を再征服して一時的にローマ帝国を復興させた。『ローマ法大全』の編纂や、ハギア・ソフィア大聖堂の再…

中世教会史4 アンブロシウス―西方型「教会と国家」の原型

アンブロシウスAmbrosius (340年?-397年4月4日)は4世紀のミラノの司教(主教)。アウグスティヌスに影響を与えたことで有名。ローマ帝国の高級官僚の息子として、父の任地ガリアのアウグスタ・トリヴィノールムで生まれた。長じると彼は法学を学んで、官僚…

国法をも超えて(KGK夏季学校その8 結び)

国家には二つの顔がある。ひとつは神が立てた権威として世俗領域を治めるというものである。その意味では、我々はキリスト者として国家を尊重する義務がある。国家のもうひとつの顔とは悪魔の道具と化して、自らを神格化して全体主義・軍国主義に陥って神の民…