苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

教会と国家

朕ハ国家ナリ?

安倍首相がますます独裁者として暴走しています。国会審議はおろか、閣議決定すらも要らない、「わたしが政府だ」「朕ハ国家ナリ」といわんばかりです。 国防に関する考え方はいろいろありえたとしても、三権分立の破壊、独裁はあってはなりません。主にある…

政治への意思表示の方法について

政府の動きについて、いろいろ問題を感じたりしているとき、友人と話題にしたり、fbに投稿したりするのもいいとは思いますが、政府に対してきちんと意思表示をするのが正しいことなのではないかと思っています。311の地震と原発破たんの時から、首相官邸、あ…

堤未果『アメリカから自由が消える』扶桑社

本書には、ブッシュJr.が911事件の直後、火事場泥棒のごとくに定めた「愛国者法」によって始まったアメリカでの「言論の自由」弾圧の現状がレポートされている。オバマ政権でも状況はさして変わらないという。 「集団的自衛権を行使して米国の戦争に付き合う…

ロバート・P・エリクセン『第三帝国と宗教ーヒトラーを支持した神学者たち』

この本、手に入れて読み始めました。ゲルハルト・キッテル、パウル・アルトハウス、エマヌエル・ヒルシュという、世界的に一流の聖書学者・神学者たちが、なぜナチスに加担する偽預言者になってしまったのか? 第一章の末尾にこんな一節があります。「私たち…

宮田光雄『ナチ・ドイツと言語』

先日、A牧師に紹介していただいた宮田光雄『ナチ・ドイツと言語』の第一章「独裁者の言語」を読んで、むかし学んだバルトとブルンナーの間の自然神学論争において、バルトがあくまでも「ナイン」と自然神学全否定の主張をした(せざるをえなかった)時代的…

朕ハ国家ナリ?

また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。竜はこの獣に、自分…

政教分離の重要性

新約聖書黙示録13章という箇所には、「海からの獣」(皇帝・国家権力)が「竜」(サタン)から権威を得た時に、傲慢になって軍国主義に走り、そのとき、「地からの獣」(御用宗教団体)が皇帝崇拝の手伝いをして国民を洗脳し、反対者を弾圧するという状況を…

政治と悪魔

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3431.html 巨大医療グループ徳洲会の政治家への賄賂が話題になり、ついに都知事は辞職に追い込まれました。ほかにもたくさんの政治家たちにお金がばらまかれていたようです。 しかし、上のNHKの特集を見ますと、…

ローマ書13章:正常な国家権力の務め

昨日は悪魔の手先となってしまった国家権力について黙示録13章から概要を書いたが、それだけではアンバランスなので、国家権力の本来の務めについて啓示されたもうひとつのR13章から書いておく。 ローマ人への手紙13章<個人で悪に復讐してはいけない。かえ…

聖書と政治のこと

ある年配のクリスチャンがお電話をくださった。「いのちのことば」12月号の巻頭言を読まれて、「先生は、共産党みたいに、アメリカは日本から出て行けと思っているようですが・・・。」と問われたので、私は「そんな意図はありません。ただ現代の日本が置か…

マンガ 特定秘密保護法案がとおれば、どんな社会に?  

特定秘密保護法案がとおれば、どんな社会になりうるか?国会では、さまざまなケースに関する質問があるたびに、たいていは「それは特定秘密にはあたりません」などと個別に答えているが、実際に法律として施行されてしまえば、当局によって恣意的に拡大解釈…

共に生きるための国

9月の通信小海240号の第一、第二面に載せる文章です。 (霊泉寺温泉中屋旅館・清風楼) 上田から松本に向かう国道二五四号沿いにある霊泉寺温泉に出かけた。山あいに、まるで昭和三十年代のまま時が止まってしまったような風情の町に、ほんの数軒温泉宿があ…

第21回 信州夏期宣教講座に出かけてきました。

8月26-28日、毎年行なわれている信州霊泉寺温泉での信州夏期宣教講座に出かけてきた。霊泉寺温泉というのは、上田から松本へ抜ける道の途中にあるたいへんひなびた温泉地で、「昭和三十年代」を髣髴とさせるような場所である。今回で21回目を迎える講座で、…

教会と国家ついて、聖書から3点

1.新約時代、特定の国家の軍隊が神の選んだ「世界の警察」ではありえない。 新約時代には、福音は世界にひろがり、神の民は世界の諸民族・諸国家に広がりました。ですから、神が特定の国家に対して「聖戦」を命じるということは構造的にありえなくなりまし…

キリスト者の選挙の考え方について

今日は洗礼を受けたいという方との話のなかで、キリスト者は選挙において、どういう選択をすべきなのかを話題にしました。こういう考え方が絶対だとは思いませんが、私としてはこのように考えるのがよいのではないかと思います。 1.国家主義は国家の偶像化…

日本国憲法を私たち自身の憲法として獲得するチャンス

一夜明けて、参議院選挙の結果が出た。原発問題・TPP・憲法といった重大なことが争点として表に出ず、目先の景気のみが投票者の多くの関心事だったのかなあという結果である。東京都の山本太郎さん当選はよかった。がんばってほしい。 不満足なことも多い…

憲法20条  信教の自由・政教分離の歴史的意味

今日は信州宣教区の牧師会で、日本国憲法20条と自民改憲草案20条を勉強しました。いわゆる政教分離条項です。若手の3人が発表してくださって、話し合って勉強になりました。触発されて、いくつかメモしておきます。 第20条 [信教の自由] ① 信教の自由は、何…

国防権限法

堤未果『政府は必ず嘘をつく』を読んでいて、次の衝撃的な一節にぶつかった。 「2011年12月31日。アメリカの国民が年末休暇に入っている最中に、オバマ大統領は<国防権限法>に署名した。今後アメリカ当局は、裁判も告訴もなしに、法的救済無しで、いかなる…

国のあり方について(おまけ)・・・二つの自由主義

あるアンケート結果によると、米国人がもっとも大事にしていることは宗教であり、ヨーロッパ人がもっとも大事にしていることは自由なのだそうである。自由というのは近代ヨーロッパの基本的な理念なのである。近代市民革命は、自由を目指して行われた。それ…

国のあり方について・・・フランス革命と英国市民革命と天皇制

2012年12月25日〜31日掲載分に、新しく序をつけ、結論を差し換えました。順々に読んできてくださった読者は、序と結論だけでもお読みください。 序 神のみこころにかなう政治形態とはなんだろう。そんな意識をもって聖書を開いてみても、聖書には共和制がよ…

聖書眼鏡で見る「教会と国家」

2010年KGK夏季学校(MBC)での講義に加筆 <アウトライン> 序 愛国心の歴史的始まり 第一章 パウロに見る国家の権威と限界 1 パウロは国家の権威の意義を認め、ローマ市民権を活用して、ローマ宣教に行った。(使徒22:25−29、25:11,12) 2 国家の権威と限…

歴史教科書の恐ろしさ・・・民族と国家の始まり

*教育の恐ろしさ 教育というものは恐ろしいものだと、かつてある紳士と話していたときに思った。聖書の古さの話をしていたとき、私が「日本の歴史はまあせいぜい千七百年ほどですが・・・・。」と話したとたんに、「なにを言いますか。日本の歴史はすでに二…

大好きな鼓腹撃壌のお話

(家内とロダと散歩) 昨日は家庭集会で、ローマ書13章、黙示録13章から国にはふたつの顔があるということを学びました。二つの顔とは、「神のしもべ」としての顔と「悪魔の手下」としての顔です。 こんなことを学んだのは、最近、領土をめぐって東アジアのよ…

かつての大本営発表と今回のこと

昨日、東京からの帰りの新幹線で読んだ保坂正康『「昭和」とは何だったのか』から抜粋。昨年の福島第一原発事故後の政府と東電と東大の先生たちと大新聞とTVの報道と重なり合うことが多い。「ひとたび官製報道のみの情報管理の時代に入ったら、国民の悲劇は…

愛国心という歴史現象

愛国心とはなにか?歴史を振り返って、確認しておく必要があります。1.近代人にとっては愛国心は常識とされ絶対化されていて、祖国のために他国人を殺害することは尊いとされています。しかし、聖書的観点からすれば、国民に命をささげることを要求し、時…

非戦論から義戦論へ

ふたつの原爆投下記念日がすぎ、8月15日が迫っている。以前神学校の教会史のクラスで使った、木寺廉太『古代キリスト教と平和主義』(立教大学出版2004年)の概要をここに掲載しておく。 キリスト教が「体制内の宗教」と化するまでは、キリスト教はローマ帝国…

イスラエルの王国時代と現代日本と

フェイスブックで、こんなリストが回ってきた。多くの名はすでにこの世にいない人々の名であるが、原発業界とマスメディアの癒着を知るには十分である。どおりで、原発にかんする正確な情報に国民は触れることがむずかしいわけである。 本来的には、ジャーナ…

荊冠の王

マタイ27:11−31 マルコ10:42−452012年4月1日 受難週主日 小海 「27:11さて、イエスは総督の前に立たれた。すると総督はイエスに尋ねて言った、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」と言われた。 27:12しかし、祭司…

「荊冠のキリスト」理解の不十分さ

「キリストの仲保者としての働きを、預言者、祭司、王という三つの職務概念でとらえるという構想はカルヴァンが『綱要』で、初めて使った手法であ 」ると岡田稔師は言っている。ルター派神学では、祭司・王の二職とされ、祭司職のなかに預言職も含めてしまう…

狭き門の幸い・・・・スウェーデンの田舎の教会堂で思ったこと

もう何年も前、機会があってスウェーデンの田舎にある古いルター派の木造の教会堂を訪ねたことがある。堂内の正面には祭壇と十字架があり、その少し手前の左手高い位置に説教壇がくっついている。祭壇の右手は説教壇と対峙するかのようなボックス席があって…