苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ものの見方

悪から罪へ

アウグスティヌスは、若い日から悪の問題に悩んでいた。特に、彼自身、抑えがたい性的欲求に翻弄されていたからである。そういう彼はマニ教という精神を善とし肉体を悪とする二元論の合理的宗教にはまり込んでしまう。彼は詳細を語っていないので、想像する…

若者の犯罪件数は激減している

戦前世代は教育勅語でしっかり道徳教育されていたから立派だったが、戦後世代は、そのたがが外され、現代ますます少年犯罪がふえているという幻想を抱いている人たちがいるようです。それは単なる作り話です。戦前の少年犯罪は、実は、すさまじいものがあり…

教育勅語(高橋源一郎訳)

最近、森友学園のことで「教育勅語」が話題になっていますね。小説家の高橋源一郎さんが、かみ砕いて現代語訳しています。興味深いので、ここに引用させていただきます。 朕󠄁惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ紱ヲ樹ツルコト深厚ナリ 我カ臣民克ク忠…

なるほどなあ

田口久人さんの文章です。50代後半の私は、なるほどなあ、と思ったので、ここに置いておきます。 『あっという間の人生』 夢中で駆け抜ける10代 真剣に将来を考え始める20代 人生の分かれ道を迎える30代 迷いながら信じた道を突き進む40代 残り時間…

カントの「神」と聖書学

(昨日の続きです) では、カントは現象界から神を締め出して、もはや神について考えなかったかというとそうでない。カントは道徳的要請として神の存在を認めている。簡単に言ってしまえば、もし神がいなければ、人はまじめに生きる気が失われるから、神はい…

Theist(有神論者)を自任しつつ、deist(理神論)的に考えている人々

大学時代に小川圭治先生からキルケゴールを手ほどきしていただいた。ゼミで読んだのは『哲学的断片』だった。小川先生はカール・バルトに直接学んだバルト研究者であり、先年、天に召されたとうかがっている。卒論はパスカルに関するもので、主査にはパスカ…

藤本満『聖書信仰』を読み終えて・・・ポストモダンの効能と使用上の注意

本書は「聖書信仰」について、<宗教改革、17世紀プロテスタント正統主義、経験主義、合理主義とプリンストン神学、ファンダメンタリズム、戦前日本における聖書信仰、アメリカの新福音主義、第二世代のエリクソンとピノック、シカゴ宣言、聖書信仰を『生き…

聖書解釈・・・普遍(類似)と個物(区別)との両方に注目すること

遅まきながら藤本満先生の『聖書信仰』を読んでいます。おもしろい本です。「新しいパラダイム」という章で、近代(モダン)の<理性と言語には文化や時代を超えた普遍性がある>という前提が壊れて、<理性も言語もある共同体のなかに限定される個別のもの…

三笠宮ご逝去

三笠宮「紀元節についての私の信念」(「文藝春秋」59年1月号)「昭和十五年に紀元二千六百年の盛大な祝典を行った日本は、翌年には無謀な太平洋戦争に突入した。すなわち、架空な歴史――それは華やかではあるが――を信じた人たちは、また勝算なき戦争――大義名…

松原湖研修会「包括的な宣教」についてのメモ(1)

信州の松原湖バイブルキャンプでの研修会に出かけてきました。松原湖は前任地小海町にある八ヶ岳の懐にある湖です。北陸新幹線佐久平から小海町に向かって国道141号を走ってゆくと、なんだか「長い北海道での夢」を見ていたような不思議な気分になりました。…

感情労働職とバーンアウトの防止

今日、札幌もみじ台オアシス教会で、中澤先生のお話を聞いてきました。「福祉と教会―被介護者と介護者の隣人として」という講演でしたが、特に、「感情労働」とバーンアウト防止についての話は勉強になりました。 憶えていることをメモしておきます。中澤秀…

聖書の権威の射程

ああ、まさにそうだと思ったことば。 「聖書も、徹頭徹尾宗教的であり、救済を目的とした神の言葉である。しかし、それゆえにこそ、聖書は、まさに家庭や社会、学問や芸術のための言葉でもあるのである。」 「聖書は学問や芸術にとっても道の光であり、足の…

新海誠監督映画「君の名は」

この春まで暮らしていた長野県小海町出身の新海誠監督「君の名は」を見て来ました。監督は本名は新津誠さんといいますが、私の住まいから徒歩5分くらいのところに新津組という建設会社がありまして、その社長の息子さんだとのことです。 新海さんの作品の特…

考える葦

ウサイン・ボルトのリオ100m決勝、9秒81。楽しそうでいいですね。いたずら小僧みたいです。 でも、並みのヒグマが100m6−7秒。カバが8秒。人間はどんくさい動物ですね。運動能力で他の動物と競り合っても無理。人間の特徴は、やっぱり考えることなんでし…

ほんものの保守思想から見た天皇のあり方

京都選出の西田昌司氏という政治家は「そもそも国民に主権があるのがおかしい。主権は伝統にあるのだ。」と言っている。西田氏の理論的支柱は、保守思想の父英国のエドマンド・バークである。だが、彼は、バークを完全に読み間違えている。 バークは、『フラ…

失敗の唯一の意義

なるほど。 失敗することの唯一の意義は、失敗から学ぶことが出来る、ということである。失敗から何も学ばない人間は、そのあとも失敗を続けることになる。 内田樹

知性とは

知性というのは「自分の愚かさ」に他人に指摘されるより先に気づく能力のことであって、自分の正しさをいついかなる場合でも言い立てる能力のことではない。(内田樹)

人間の尊厳の根拠・・・相模原の事件にかんして

「神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。」創世記1章27節 1.事件 相模原市の障害者施設で、「愛国心」に燃える男が、19人を殺害し、26人に怪我を負わせるという事件があった。彼は「障害者の…

ル・コルビジエの国立西洋美術館

ル・コルビジエが設計した国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたそうです。一階が柱だけで上部を支えるピロティ建築です。私などは故郷の神戸の震災の際に、同じ構造の建物がことごとく壊れたので、大丈夫かなあと思いました。津波のときには有利だそう…

アベノミクス失敗のしくみ

重要記事「EU離脱どころではない日本の岐路―民主主義からの離脱!?参院選の最大のテーマは憲法」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20160701-00059482/ リンク先、必読。

メディアは公正であるべきです

昨日のニュースで、東電に雇われた第三者委員会によれば、元東電社長の清水氏は2011年3月の福島原発「炉心溶融」の公表隠しについて「官邸側の指示があった」と証言したと報道されていました。 おかしいですね。朝日新聞デジタルの2011年3月14日…

12時間、円柱と立方体のデッサンをし続けて

http://izoomi-momo.jugem.jp/?eid=1243701 リンク先を読んで、いくつかの大事なことが思い当たりました。完成させようと思うな。そう思った瞬間、雑になる。 急ぐな。ゆっくり時間をかけて、対象に向かうことが大事。教えてもらおうと思うな。盗め。 自分で…

組織神学の目的

「私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいたからです。」(使徒20章27節) 先週、神学校で組織神学のクラスの最初に少しだけお話したことです。 すでに緒論において学ばれたことと思いますが、最初に少しだけ、組織神学をする目…

「幸福が私たちのもっとも大切なものだから」・・・・前ウルグアイ大統領ムヒカさんのことば

質問をさせてください。ドイツ人が1世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この惑星はどうなるのでしょうか。息をするための酸素がどれくらい残るのでしょうか。別の言い方をすると、西洋の豊かな社会と同じ傲慢な消費を世界の70億〜80億人の人がで…

対岸の火事と見てよいのか

安倍政権が、共産党を破壊防止法の調査対象と見なしていると閣議決定したというニュースを知りました。治安維持法を髣髴とさせられました。共産党が呼びかけてついに野党が共闘することに対して、なりふりかまわぬ分断作戦ですねえ。・・・まあ、もともと公…

人間として生きる―人間、その偉大と悲惨―

<注> 1994年に南佐久郡小海に開拓伝道を始めて以来、月刊「通信小海」を書き続け、南佐久郡全域に新聞折り込み配布し続けて269号になります。このたび「通信小海読者の会」のみなさんが小海町公民館に会場を用意してくださって、講演をさせていただきまし…

精神的自由の経済的自由に対する優越

今朝方書いた衆議院予算委員会での「表現の自由」をめぐるやりとりの書き起こしです。小原さんという方によるものです。山尾議員の素晴らしい質問と、あまりに愚劣な大臣答弁。憲法にかんする基本の「き」も知らない総理大臣が、憲法改正を声高に訴える。こ…

すごいグラフ

見れば見るほどすごいグラフですねえ。

景気はよくなっている?悪くなっている?・・・数字のマジック

国会中継をラジオで聞いていて違和感があった。野党議員が国民の生活困窮を訴えても、首相は「日本の景気がよくなっているんです」とか、「日本は裕福です」とか平気で発言する点である。なぜだろう?東京新聞の記事についてラジオが取り上げていたのでメモ…