苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ものの見方

『失われた歴史から―創造からバベルまで』と森有正のことば

「一つの生涯というものは、その過程を営む、生命の稚い日に、すでに、その本質において、残るところなく、露われているのではないだろうか。」 これは若い日に、宮村武夫先生に勧められて読んだ、森有正『バビロンの流れのほとりにて』の冒頭のことばである…

お茶とお茶碗・・・聖書学における「最新の学説」

聖書学の流行に敏感な人々の中に、最新の学説が最良の学説というふうに思い込んでいるらしき人々を見かける。もし、物事全てが「進化」しているのであるとすれば、学説においても最新の学説が最良の学説ということになる。しかし、これは神学に関しては間違…

牧師は新説を追いかけるべきでないこと

聖書学を学んできた友人と話をする機会があった。彼が修士論文を書いた頃は「六書説」とか、コンツェルマンの「時の中心」説とかの大流行だったけれども、今ではどちらも過去のことになってしまっているのだそうである。そういえば、私も大学生のとき旧約学…

経済政策は失敗でしょう

下のグラフのように、1997年から2017年、世界各国では時給は増加し、実質賃金も増加している中で、我が国は、こんな風に時給は下がり、実質賃金も1割下がっているのだそうです。名目上数字の上で賃金が上がっていても、物価や税金がもっと上がっていたら、実…

『失われた歴史からー創造からバベルまで』が出ました

拙著『失われた歴史からー創造からバベルまで』が出来上がって、今さっき届きました。新書版217ページ。きれいな装丁にしてくださいました。価格は1100円 中身は、創世記1章から11章の話題を取り上げつつ、聖書全体に啓示された神様のご計画を説いたものです…

ドイツ人の魂

小塩 節先生の「人の望みの喜びを」から。 さて、その直後ミュンヒェンにもどり、日本から訪ねてきたある知人の頼みで、プロテスタント教会の日曜日の夕拝に出かけた。夕拝を守るところは少ない。やっと探しあてたのは人影もない裏通りの、ふつうの建物の中…

イチロー選手引退会見

【全編】イチロー選手が引退会見「後悔などあろうはずがない」(2019年3月21日) いろいろ考えさせられます。後で読むために保存しておきます。 一問一答は以下の通り。 (司会者) (冒頭挨拶) 「こんなにいるの? びっくりするわぁ。そうですか。いやぁ、…

自由と平等

今日は2月11日の集いに出かけてきました。思想信条の自由を守るという趣旨のつどいでした。講演をうかがったのですが、その内容は、現政権は憲法改正をスケジュールに入れて、アメリカの下請け戦争準備をしているということ、そして、対外戦争をするために国…

勤労感謝の日

「勤労感謝の日」というのは、誰が誰に対して感謝する日なのだろう。 その働きによって生計が支えられている家族、その働きによって経営が成り立っている会社は、働いている人に対して感謝をする日。働いている人は、健康を与え、職場を与えてくださっている…

摂理は神の料理

今日、北海道聖書学院のチャペルで「神の摂理は料理である」ということを教わりました。素材や調味料それぞれはおいしくないけれども、それらが良いタイミングで組み合わせられて、すばらしい料理ができる。!!でした。 これは絶妙の譬えですね。

孫正義さんのことば

「髪の毛が後退しているのではない。わたしが前進しているのである。」 さすが、孫正義さんですねえ。その生き方に裏打ちされたことばですから、かっこいいですね。前向きな生き方、ユーモアがあふれています。 頭頂部から攻め込まれている場合はどういうの…

六然(りくぜん)

自処超然 処人藹然 有事斬然 無事澄然 得意澹然 失意泰然 「孤高のメス」という医療ドラマ映画を見て、最後の場面に出てきたことば。 そういうお医者さんでした。

「さいわい」と「しあわせ」

「心の貧しい者は幸いです。」「さいわい」というお題をいただいたら、このみことばを思い起こす。ところで、「さいわい」と「しあわせ」とはどう違うのだろう。「心の貧しい者はしあわせです」と訳したのではいけないのか。あえて「さいわい」という少々古…

よい編集者に恵まれる

キリスト教誌『舟の右側』神学講座の4回目は、聖書の霊感、啓示の漸進性、聖書の権威、聖書に誤りがないということの意味、と聖書解釈についてなんです。一回目の原稿を出したら、編集者がきちんと読んでくださって、これじゃわからんなあという内容のコメン…

古武術の日常生活への応用

「とらひしぎ」の手をして階段を上ると、うんと楽だという話。今度やってみよう。

ウソをつく人は同じ単語を繰り返す件

国会の答弁とかいろんな記者会見を見ていて、昔の知り合い今はFB友が言いました。「嘘付く人って同じ言葉、って言うか単語繰り返しますよね」と。…鋭い指摘ですねえ。スポーツ界、官界、政界それぞれ、同じ単語をロボットみたいに繰り返します。「記憶にござ…

元日大アメフト選手の会見を見て

関学の選手に反則行為を働いた元日大アメフト部の選手の記者会見の一部始終を見て驚いた。事件に至る三日前からの監督・コーチとのやりとりを詳細に話し、あの反則行為が監督・コーチの指示があってなされたことを明らかにした。監督・コーチは彼を練習から…

日大アメフト監督「選手が勝手にやった」という言い分を聞いて

日大と関学のアメフトで、日大の監督が悪質なラフプレーを選手に指示したという報道があったが、日大と監督はこれを否定して、監督はそういう指導をしたことはなく、選手がかってにやったという趣旨の発表をした。しかし、FNNの取材に対して現役の選手が「監…

自然環境と才能

二年前まで住んでいた長野県南佐久郡は、千曲川の源流域で西は八ヶ岳、東は秩父山系の谷あいの農村地帯である。南佐久郡は、小海町、佐久穂町、北相木村、南相木村、南牧村から成っていて、総人口二万五千人ほどで、急速に過疎の進みつつある地域である。だ…

ライフラインの集い準備祈り会

20:18 彼らが集まって来たとき、パウロはこう言った。 「皆さんは、私がアジヤに足を踏み入れた最初の日から、私がいつもどんなふうにあなたがたと過ごして来たか、よくご存じです。 20:19 私は謙遜の限りを尽くし、涙をもって、またユダヤ人の陰謀によりわ…

聖書の労働観・・・労働、その祝福と呪い

一時期「やりがい」という言葉が流行しました。しかし、小泉・竹中改革以降労働者派遣法改正でワーキングプアが大量生産され、背に腹は代えられなくなって、最近は「やりがい」ということばがあまり聞かれなくなった。しかし、仕事にやりがいを求めることは…

風景と才能

以前、ある本で、すぐれた数学者が生み出されるには、その人が美しい風景の中に育ったという条件があるという説を読んだことがあります。数学者藤原正彦さんのエッセイでした。数学における調和の美に対するセンスは、幼い日、若い日々の風景のなかで培われ…

禁じ手について

大相撲の禁じ手は8つだそうです。 【禁手反則】 第一条 相撲競技に際して、左の禁手を用いた場合は、反則負とする。 一、握り拳で殴ること。 二、頭髪をつかむこと。 三、目または水月等の急所を突くこと。 四、両耳を同時に両掌で張ること。 五、前立褌をつ…

国を愛するということはナルスシズムではない

今日の名言:@gorohani 自分の国だから我々は日本を批判するのだ。批判するのはよりよい日本をつくるためなのだ。批判の無いところに未来はない。無批判に日本の良さなどと言うのはナルシズムだ。鏡の中の自分の顔をながめていい気分になっているような馬鹿…

風景と人生の損得について

「しゅうちゃん。どういう景色のところに住むかによって、だいぶ人生の損得があるような気がするわ。」と、昔、神戸でいっしょに暮していて、その後、関東平野の住宅街の家にお嫁にいった叔母が言っていたことを思い出します。 私が叔母と一緒にくらした家は…

動物会議条文

山本直樹さんに教わりました。 ケストナーの「動物会議」です。 国家の代表たちが署名した条約の文句はこうでした。 「われわれ、世界のすべての国の責任ある代表者たちは、生命財産にかけて、つぎの諸点を実行する義務をおう。 1 国境のくい、国境のみはり…

お金について(1)(2)

『舟の右側』という雑誌に書いたことです。(1) 信州に住んでいたころ、百三十坪の農地を借りて、十年以上菜園を営んでいた。これほど広いと野菜が取れすぎて、家族では食べきれず、人にあげようということになる。そこで、「キュウリ、どうですか?」とい…

ソクラテス「哲学は死ぬことの練習である」

ソクラテスは「哲学は死ぬことの練習である」と言いました。これだけ読むと、「哲学などすると、自殺したくなる」という意味なのかと誤解する人がいるでしょう。そういう意味ではありません。 ギリシャ的な死生観によれば、死とは魂が肉体から分離することで…

視点をもつことの有用性と限界

人はどうも世界観・統一的視点というものを持ちたいらしい。そのためには、ある視点をもつことが必要であるが、世界を造られたのは神であるから、本来的には、神以外にふさわしい視点は存在しない。しかし、人は神を認めたくないので、神以外のものすなわち…

悪から罪へ

アウグスティヌスは、若い日から悪の問題に悩んでいた。特に、彼自身、抑えがたい性的欲求に翻弄されていたからである。そういう彼はマニ教という精神を善とし肉体を悪とする二元論の合理的宗教にはまり込んでしまう。彼は詳細を語っていないので、想像する…