ジョン・ウォルトンの『創世記1章の再発見』という本がいのちのことば社から翻訳出版されて注目を集めた。だが、本書中にウォルトンが自説を支持する専門家のことばとして引用されている津村俊夫博士が、ウォルトンは津村氏の論文を手厳しく批判している。簡略にまとめてみる。
1.物質と機能を分離するウォルトンの二分法自体が現代的手法であって、古代オリエントの理解にあわない。
2.ウォルトンの古代オリエント文化の流れに聖書を埋め込む手法は、聖書の独自性を軽視するものである。
3.ヘブル語のバーラーは「創造する」でなく「機能を与える」という主張は、ワードスタディの誤用に基づく。
4.「神のことばによる創造」という聖書独自の事柄を扱っていないことは、致命的欠陥である。
5.ウォルトンは物質素材の創造は創世記1章の7日間に先立つとし、前機能的宇宙の一部として生き物の存在を認めるのは、字義的解釈として不可能である。
6.創世記1章2節を秩序なき状態とするのは、自由主義聖書学の混沌説と同じであり、「無からの創造」を否定するものだ。
7.創世記1章が神殿神学に基づくという仮説は、1章が文書資料説における祭司資料だというところから出ている。古代オリエント神話では、神殿を神々の住まいとするが、創世記には神がこの世界をその住まいとして造ったとはどこにも書かれていない。
・・・ウォルトンさんは、これら専門家からの批判にどんな反論ができるのだろう?
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