苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

8月15日  「主な国」以外の戦没者

 東御市の教会での815平和祈祷会に出かけてきました。帰りがけ、車中、ラジオで「全国戦没者追悼式」のさわりの部分が高校野球中継の間に流れてきました。
 ひとつ違和感をもったことがありました。「先の戦争で尊いいのちを失われた310万人」ということばです。その数字は今まで何度も聞かされてきました。でも、戦争で失われたのは自国民のいのちだけではないでしょう。いったい、あの戦争で、どれほどのいのちが奪われたのでしょうか。

 家に帰って、戦没者にかんする中学社会科教科書の数字を見つけて、これはひどいと思いました。下の表です。

【中学校社会科教科書に記されている第二次世界大戦等の戦争犠牲者数】

  第二次世界大戦での主な国の犠牲者数

    国   名      兵  員  の     一般市民の
             死  亡   行方不明  死   亡
   ア メ リ カ     407,828      ―      ―
   イ ギ リ ス     353,652    90,844    60,595
   フ ラ ン ス     166,195      ―    174,620
   ポーランド              (6,000,000)     
   ソ    連            (20,000,000)     
   中    国            (10,000,000)     
   ド イ ツ     2,100,000   2,900,000    500,000
   イ タ リ ア     389,000    214,647    179,803

   日    本   約2,300,000       約800,000 (単位 人)


 日本の兵員のうち、 朝鮮・台湾の兵員犠牲者、 約5万人を含む。                        (ワールドアルマナック等)


 以前は、ひどいとは思わなかったのです。今回、なんで違和感をもったかといえば、ほんの一週間前、私はたまたま別の表を見つけていたからです。

日本人は軍人が230万人、一般人が80万人死亡しました。
朝鮮人は軍人が22万人、一般人が2万人死亡しました。
台湾人は軍人が18万人、一般人が3万人死亡しました。
アメリカ人40万5399人
中国1000万人
インド350万人
ベトナム200万人
インドネシア400万人
フィリピン111万1938人
ビルマ5万人
シンガポール5千人
モルジブ3千人
ニュージーランド1万人
オーストラリア2万3365人

(「ちえぶくろ」で見つけたのですが、他でも似た数字でした)

 特に、ベトナムインドネシア、フィリピンの人々を、これほどまでひどくあの戦争で被害にあわせたことについて、私はまるで無知でした。教科書も教えようとしないのです。教科書は、これらの国々は「主な国」ではないから、何百万人死のうと無関心なのでしょう。
 これらの国々は戦争の当事者でないのに、日米英仏の戦場にされてしまったのです。特に、聞くところによればベトナムでは、日本軍による食糧調達も餓死者を出した一因であったそうです。これらの国々はまた宗主国からの独立戦争の死者も含むのでしょうか、詳しいことはわかりません。
 とにかく、明治維新以来「脱亜入欧」といって、私たち日本人は、どれほどアジアをさげすむという罪を犯して来たことでしょうか。自国の戦没者を悼むのは当然のことではありますが、自分自身を含めて日本人には、あの戦争でどれほどアジア諸国の人々を悲惨な目にあわせたのかということの反省が決定的に欠如しているのではないでしょうか。
 そういえば、ラジオから聞こえた総理大臣のあいさつには、不戦の誓いもアジア諸国に対する謝罪めいたことばもありませんでした。