苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

EV化の問題点

 お正月の研究。
2035年にはEVしか新車として売ってはならないという方向で我が国は動いている。しかし、全車をEV化するには、問題点が多すぎるようである。少々関心があって調べてみた。

1.EVは総合的に見てガソリン車より環境に悪い

(1)EVは走行時は二酸化炭素を出さないが、製造工程における二酸化炭素排出量はガソリン車の2~3倍である。バッテリーを造るのに、リチウム、ニッケル、コバルトという希土類を精錬するにあたって、高温の炉で溶かすために大量の二酸化炭素を出すからである。

(2)EVは走っているときは二酸化炭素を出さないけれど、電力は火力発電などで二酸化炭素を発生しており、送電のためのエネルギーロスが20パーセントと言われる。それで全体としてみると「1」「2」のゆえに、マツダの研究によれば、二酸化炭素排出量はガソリン車、EVで同程度である。したがって、EV化は世界の脱炭素化には役に立たない。

(3)しかもEVのバッテリーは劣化していき、5年も経てばゴミになる。EV先進国中国ではすでに環境破壊を引き起こしている。ガソリンエンジンは廃棄して鉄くずになるが、EVのバッテリーは多くの有害物質コバルト、ニッケル、マンガンなど土壌や水を汚染する材料が多く含んでいて、環境破壊に直結する。

(4)すべてEVにするならば、電力不足になることは明らかで、そのために原発再稼働、新建造、火力発電所をとなるから、EVが環境に悪いことは明白である。

 以上4点から、EVは実はエコではなくて、エコっぽいだけの代物で、ガソリンエンジン車の方がエコであると言える。


2.EVは総合的経済性においてガソリンエンジン車に劣る
(1)バッテリーの劣化が早いので、車としての値打ちは年数と共にどんどん下がる。例えば車種にもよるが、ガソリン車の場合新車から3年後も7割弱の価格で売れるが、EVは3年も経てば3割ほどの価格になってしまう。リチウム電池はだいたい5年でダメになるから当然である。したがって、車がゴミになっていくサイクルが速まるので、EVはさらに環境に悪い。

(2)バッテリー交換にも大金を要する。テスラなんとかという700万円の車が5年でバッテリーがダメになったので交換しようとしたら250万円かかると言われたという。日産が実施している有償交換プログラムによると、新品バッテリーへの交換は、24kWhが71万5000円、40kWhが90万2000円(すべて税込)に4〜5万円程度の工賃がプラスされる。EVばかりになれば、10年落ちの中古車を乗り継いでいるようなユーザーは困ってしまう。

 

3.EVは使い勝手がガソリン車に比べて悪い

(1)充電施設が国土どこにでもできなければ、EVは走れない。欧米、中国、そして今後の日本では整備されようが、車を必要とする発展途上地域の人々はEVしか存在しなくなったら生活できなくなる。

(2)充電スタンド設置に一つで300万円~500万円かかる。宿泊客全員のために充電設備を用意できるホテルや旅館がどれほどあるだろうか。

(3)EVは、自宅に充電設備のある人が、夜間に8時間かけて満充電をしておき、数十キロ程度街乗りをするなら使い物になる。しかし途中で充電しなければならない長旅、つまり数百キロもある長距離走行には向いていない。2回も3回も充電していたら、それだけで2時間3時間を無駄にする。年末年始など混雑時であれば、その何倍も待ち時間でかかってしまう。

(4)EVは雪の多い寒冷地には向いていない。まずバッテリーが寒冷地では落ちるので、走行距離が少なくなる。スタックして、暖房でバッテリーを消耗して電気がなくなった場合、レッカーしてもらうしかない。それが、田舎を走る幹線道路の大渋滞の状況で起こった場合には災害となってしまう。豪雪地でのEVのメリットは一酸化炭素中毒の可能性がないことのみだろう。ちなみに北国ノルウェーではEVが多く利用されているが、たしかに寒いけれども日本のような雪国ではない。

 

4.将来的にEVを製造し続けられるか疑問

バッテリーの材料にはレアメタルが用いられているが、産地は偏在していて、政治情勢で原料調達が難しくなる。

 

結論

 結局、EVは雪の降らない地域で、一戸建てに住む人が、街乗りをするために用いる車であり、環境性能はガソリン車に劣る。地球温暖化防止のため、というのが大義名分だけれど、EVの方がガソリン車よりと二酸化炭素を出し、かつ、バッテリー製造と廃棄で環境汚染をする。

 なぜ欧米と中国は、これほど欠陥だらけのEV一本化に突き進んでいるのか?実は、トヨタハイブリッド車に欧米中国は技術的にどうしても勝てないので、ルール変更によってトヨタを市場から締め出すためではないかと言われている。オリンピックで折々みられるルール変更みたいだ。トヨタは、これに対してたくさんのハイブリッドに関する特許を公開することと、水素エンジン車、燃料電池車も開発を同時に進めるという多角化戦略を取っている。