現代のかな表記はじつにでたらめで困ってしまう。たとえば、「講師」「公使」「孔子」「行使」は「こうし」とルビをふりながら「コオシ」と読ませるのに、「子牛」は同じように「こうし」とルビをふりながら「コウシ」と読ませるという矛盾がある。表音化を目指すならば、「講師」「公使」「孔子」「行使」は「こおし」とルビを振らせればよいのである。
「こんにちは」を「こんにちわ」と書く人がいて、間違いとされる。なぜならこのことばは「今日はお元気でしょうか」の省略形だからである。そもそも表音が原則であれば、係助詞のwaを「わ」と書かずに「は」と書きなさいということが原則違反なのである。
氷のふりがなは伝統的仮名遣いで「こほり」だったから「こおり」が正しいとされ、「コウリ」は間違いとされる。行李は「こうり」とルビをふらせながら「コオリ」と読ませる。そして「小売」は「こうり」とルビをふらせながら「コウリ」と読ませるのである。実にでたらめというほかない。
これらのでたらめさは戦後の国語審議会の責任である。一方で表音化を目指しながら、他方で伝統的表記を残したいという綱引きがあったことから出ているように思われる。
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