苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

「自由市場」?いや、「無法市場」

 TPP交渉が暗礁に乗り上げつつあるという。めでたいことである。環太平洋パートナーシップ協定とかいう、もっともらしくきれいな名前だが、実態は、米国の多国籍企業が金の力に任せて太平洋諸国民、格別、日本国民の富をむさぼりつくすための協定にほかならない。
 TPPの原理は「新自由主義経済」である。関税をはじめとする国際間の取り決めや、それぞれの国の国内法など、多国籍企業が金儲けをする上で不都合なルールのいっさいを取り払って、経済活動を放任するというのである。
 自由というきれいなことばがまやかしで、正確には「無法」である。自由市場でなく、無法市場である。「勝負にあらかじめハンディをもうけるのはつまらない。ハンディなしに戦ってこそフェアだ。」などと、プロゴルファーが、素人のゴルファーを賭け勝負に誘い込もうとしているようなものである。そんな勝負おもしろくもなんともない。
 さまざまな国々、さまざまな民族がともに生きていくためには、お互いの違いや特殊事情を尊重し合ってゆかねばならない。自由市場経済すなわち無法市場経済は、その違いを踏み潰して、ただ強者が弱者をむさぼることをよしとする。
 <多様性と一致>が、創造主が定められた世界のあるべき姿である。自由市場経済=無法主義経済は、これを破壊する貪欲な強者のための経済学説といわねばならない。