苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

のがれの町

「主はモーセに言われた、 『イスラエルの人々に言いなさい。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地にはいるときは、あなたがたのために町を選んで、のがれの町とし、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせなければならない。これはあなたがたが復讐する者を避けてのがれる町であって、人を殺した者が会衆の前に立って、さばきを受けないうちに、殺されることのないためである。あなたがたが与える町々のうち、六つをのがれの町としなければならない。すなわちヨルダンのかなたで三つの町を与え、カナンの地で三つの町を与えて、のがれの町としなければならない。これらの六つの町は、イスラエルの人々と、他国の人および寄留者のために、のがれの場所としなければならない。すべてあやまって人を殺した者が、そこにのがれるためである。」   民数記35:9−15


 旧約時代のイスラエルの律法では殺人罪と過失致死罪とが区別されていた。故意に人を殺したばあい、その刑罰は死刑であったが、過失致死のばあい、のがれの町に大祭司の残任期間は軟禁状態に置かれることになり自ら町から出ないかぎりは復讐を受ける心配はなかった。
 この定めには、「目には目、歯には歯、いのちにはいのちをもって償わねばならない」という普遍的な公正の原則と、同時に、故意か過失かということが勘案されるべきだというもうひとつの個別の配慮という基準とが同居している。普遍と個別どちらかでなく、両方。