苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

野田総理、4つのごまかしと1つの本音

 6月9日(土)、首相は、大飯原発再起動の判断を出しました。その判断の理由は、
1.大飯原発の安全は確保されている
2.当面の夏場の電力需要
3.エネルギー安全保障
4.国民生活を守るため(電力価格が高騰すること)
5.経済への影響

・・・との説明しました。けれども、1〜4は理由にならないでしょう。

1.首相は大飯原発は安全だといいますが、いざ地震となったとき事故に対処するための免震重要棟もなければ、爆発をふせぐためのベント装置もありません。また、非常用電源車は、地震が来たらすぐに崩れるような切り立った崖の下に置いているし(そこ以外場所が無い)、住民の避難道路もないのが現状です。地震が実際にやってきたら、この原発のいったいどこが安全なのでしょうか?

2.夏場の電力需要というのは理由になりません。北陸電力中国電力四国電力からの融通と、揚水式発電によって、足りることを国民は報道によって知っています。

3.「エネルギー安全保障」はどうでしょうか。TVはこのところ、ホルムズ海峡をイランが閉鎖するのではないかという宣伝をしています。しかし、現在、日本の火力発電に石油はほとんど用いられておらず、ほとんどは天然ガス火力です。

4.「国民の生活を守るため」というのはどうでしょうか?原発が破綻したら国民生活は徹底的に破壊されてしまうことを、福島県民だけでなく日本国民は認識しています。原発事故となれば「電気代が高くなった」という程度のことではすみません。国民生活が破壊されてしまうからこそ、国民の大半は原発に不安を抱いているのです。
 「電力価格が高くなる」と首相はいいます。しかし、原発が火力・水力とくらべて総合的には結局最も高くつく電力であることを国民は認識しています。もちろん原発廃炉まで維持し続けつつ、天然ガスを外国から買って発電する以上は、燃料代は必要です。しかし、米国ではシェールガス革命で天然ガス価格は暴落していますのに、日本はアメリカの8倍の価格で買うという馬鹿なことをしています。総括原価方式だから減価は高いほど電力会社は都合がいいのでしょうが、本気で電気代を下げたければ、これをまともにすればよいのです。
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/diamond-20120607-19551/1.htm
 (追記:また日本海側のメタンハイドレートを採掘すれば、わが国がエネルギー自給国となる可能性も高いのです。)
 さらに、国民の生活を守るということからいえば、大飯の安全基準とも呼べない基準で、全国の原発をつぎつぎ再稼動してゆけば、毎年1000トンもの高濃度放射性廃棄物が出て、そのやり場もありません。全国の原発のプールは7年半でパンクします。早晩、この危険極まりないゴミは国民の生活を徹底的に破壊することは避けられません。

5 経済への影響。首相は、これを最後にもってきてほとんど説明しませんでした。しかし、これこそ経団連のスポークスマン総理の本音でしょう。関電はもし原発が使えないことになれば、原発と使用済み核燃料が資産価値を失い、数年で経営破たんしてしまうことを恐れているのです。http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120608/p2


 理由にならない理由をずらずら並べてごまかすのでなく、この5番目の事実をきちんと国民に説明して、その対策を立てて実行することこそ、本来、首相のすべきことであると私は思います。
 国民に向かってごまかすのはよくありません。いまや国民は、ウソを見抜くだけの情報を得ていますから、政治不信がいよいよひどくなってしまうだけです。