苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原発再稼動判断の「新基準」とは?

 原子力安全委員会委員長のデタラメ委員長こと斑目委員長でさえ、「一次評価により緊急安全対策等の一定の効果が示されたことは一つの重要なステップと考える。しかし、ストレステストの一次評価は再稼働とは関係ない。二次評価まで終わらなければ、安全性の判断はできない。一次評価は安全委が要求している(安全性の)レベルに達していない」(東京新聞 2012年2月18日 朝刊)と言ったにもかかわらず、野田政権が原発再稼動について、「おおむね新しい基準にかなっている」と判断したという。
 野田首相たちのその新しい基準とは次の三つである。この基準は、今後、大飯原発だけでなく全国のすべての原発の再稼動の基準とされるのであるから、ことは重大である。だが、斑目委員長もびっくりの、小学1年生でも見抜けるデタラメなのだ。

1・福島第一原発を襲ったような地震津波が来ても、全電源喪失という事態への進展を防ぐ対策が取られていること
2・ストレステストの1次評価を終えていること
3・ストレステストで一層の取り組みを求められたことなどについて、電力会社が実施計画を示していること
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32296?page=3


 1番目は、福島第一原発の事故が津波が来る前に配管が地震の揺れで破断した可能性がきわめて高い事実を隠蔽し、津波と全電源喪失だけが問題であるかのように扱っている点でまちがっている。原発の、特に再循環系の配管が地震の揺れで破断する構造的問題は、専門家によってずっと以前から指摘されてきた。そして以前紹介した田中光彦氏の分析がいうように、福島第一原発では実際にそれが起こったと見られている。それをなかったことにして、津波による全電源喪失のみが事故の原因だというのが、この物差しである。物差しが狂っていたら、これに基づいてなされる判断はすべてまちがう。
 この事故原因隠蔽は東電と保安院の事故原因分析で首尾一貫している。
http://www.meti.go.jp/press/2011/02/20120216004/20120216004-2.pdf


 しかも、3番目については、原発保安院が3月に定めた30項目の安全対策について何も実施していなくても、将来実施するという計画があることを提示すればよいとしている。
http://www.meti.go.jp/press/2011/02/20120216004/20120216004-2.pdf
 安全対策の計画を立てても、原発が安全になるわけではない。安全対策を実施したときに初めて原発の安全性は向上するのである。受験対策として、問題集100冊をマスターすると計画を立てて大学に提出するだけで実行しなくても合格通知が来るなら、だれも苦労しない。しかも、地元の町長はこの判断を歓迎するとうれしそうに話していた。

 こちらの頭がクラクラしてくる。こういう人々が一億二千万人国民の命運を握っているとは・・・。しかし、だからこそ祈るべきなのだろう。
「そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。」1テモテ2:1,2