大飯原発再稼動をめぐって、野田内閣は三日間で「新安全基準」なるものを設けて、たった四人(野田首相、枝野経済産業相、細野原発担当相、藤村官房長官)で三時間ほど話しておおむねOKと再稼動にGOサインを出した。だが、大飯原発の現状は、政府自身がこれまで出してきた甘い改善さえなにも実施されていないのである。問題点を挙げてみる。
1.あの原子力安全委員会の斑目委員長でさえ、第一次のストレステストだけでは大飯原発が安全とは保障できないと公式に発言をしているのに、なぜGOなのか?
2.防潮堤のかさ上げ(5メートルから8メートルへ)をしなければならないと定めているが、その実施は2013年度中に行なう予定であって、未実施であるのになぜGOなのか?
3.地震が来たとき、原発をコントロール不能に陥らないための「免震事務棟」を設置しなければならないといいながら、それは2015年中に建築予定であって、まだないのになぜGOなのか?
4.いざ事故となって爆発を防ぐために不可欠の、フィルター付きベント施設を設置しなければならないといいながら、その実施は2015年度中とされているのに、なぜGOなのか?
今、2012年である。2015年までに地震で原発が破綻しないという保証などどこにもない。なんの改善もないままに再稼動OKとは、いったい、どういう「新安全基準」なのか。どうでもいいから、とにかくスポンサーである経団連と電力会社のいうことを聞いて原発を再稼動したいというだけのことだろう。福島第一原発事故から、彼らはいったい何を学んだのか?
活断層の巣である若狭湾に位置する大飯原発が破綻したばあいには、福井県のみならず、石川県、滋賀県、京都府、岐阜県そして大阪府、兵庫県も一部は放射能で汚染され、関西の水がめ琵琶湖も汚染されてしまう。そのとき、四首脳は、文字通り亡国の政治家として、歴史に名を残すことになる。