苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

全原発を直ちに停止し、そして廃炉プロセスに持ち込むべし。

 菅首相がいよいよ引きずり下ろされることになった。次の首相として、東北の復興を推進するとともに、脱原発に向けてこの国を前進させる方が選ばれるようにと祈りたい。脱原発志向の人物が選ばれたら、与野党ともに自分が仕事の邪魔をしておいて、「無能だ」と引きずり下ろすことはやめてほしい。
 この際、全原発はただちに停止すべきだし、することができることをメモしておく。

1.そもそも日本という地震の巣で原発を使用するという国策が異常である。
 下の地図を見ていただきたい。原発が多くあるフランスと米国東部にはほとんど地震はない。韓国は真っ白だ。だが、日本は、地震の巣のなかに原発が立地している。世界地震分布地図を見れば、日本は真っ赤でその姿を見ることすらできない。この地震の巣で原発を使用するという国策そのものが狂っている。
 地震の巣でありながら原発を用いているのは、日本以外には台湾。そして、これから地震国トルコに日本が原発を輸出しようとしている。やめてほしいものだ。


  M5以上、深さ100km以下の地震
http://j-jis.com/data/plate.shtml

2.「すぐに全原発は止められないが・・・」ということばには根拠がない。
 「脱原発の方向は正しいが、ただちに全原発を止めるわけには行かないので・・・」というのは常識的に聞こえるが、実は何の根拠もない。事実としては、全原発を停止しても、これまで48%しか稼動させてこなかった火力発電の稼働率を70%に引き上げれば、電力は足りる。
 現在、この真夏のピークに全国54基の原発のうち、稼動しているのはわずか14基にすぎない。それぞれ点検のため停止してゆけば、来春にはすべて止められる。再稼動を認めなければよい。原発を動かすために休止させている火力発電所を稼動させて行けば、すべての原発は停止できる。そもそも、原発は不安定な施設なので、原発を建設するごとにバックアップ用火力を設置してきたのである。
 バックアップに自然エネルギー発電を用いる可能性はなくはないが、直ちに全原発を停止するには、安定的な電力供給のできる火力が現実的である。まずは火力でバックアップしておいて、自然エネルギーの技術を徐々に導入していけばよい。太陽光や風力はその本性上、安定的供給はむずかしい。


  


3.現在、地震の活動期にある日本では、また原発事故が発生する。
 日本列島における地震には周期性があって、多くの原発はその静穏期に造られてきた。しかし、阪神淡路大震災以来、日本列島は地震の活動期に入っている。日本の原発は基本的に震度5まで耐えるように設計されているが、列島が活動期にはいって以来、震度6〜7の地震が頻発している。そして、震度6以上の地震をこうむった原発は、設計どおりことごとく壊れている。
 地震に対して危険な状況にある原発をいくつか挙げてみると、なお大規模な余震が懸念されている女川原発福島第一原発東海地震が起ころうとしている浜岡原発(停止中)。そして、青森の六ヶ所村の再処理工場。南海地震が懸念されている中央構造線の真上にある伊方原発日本海側では、特に、若狭湾敦賀湾は14基が立ち並ぶ原発銀座である。九州、北海道の原発も似たり寄ったりの状況である。
 このたびの東北の大地震によって日本列島は相当にひずみ、近々大きな地震が来る可能性が高まっている。すでに北信州・中央信州は大きな直下型地震に見舞われ、静岡でも大きな直下型、また駿河湾地震も起こっている。首都圏にも近々大地震が来る。現状を放置すれば、数年のうちにいずれかの原発地震に襲われる可能性が大である。原発がゼロになるまで、のんきに20年もかけているうちに原発事故が起こってしまえば、この国はどうにもならなくなる。
 ちなみに、現在、地震の前にしばしば起こる異常な豊漁が太平洋側でも日本海側でも生じている。四国・紀伊半島沖ではカツオ、三陸沖でタイ、鳥取イカ、中国地方から青森までクロマグロが豊漁である。


http://www.bo-sai.co.jp/tounankainankai.htm

結論 全原発をまずただちに停止し、廃炉に向けて行く。不足分は火力に代替させる。
 たしかに原発は停止しても、アイドリング状態になるだけで本当に止めることはできない。廃炉にいたるまで20〜30年きちんと管理し、放射性廃棄物の管理は10万年という。しかし、停止中に地震で被災することと稼動中に被災することの危険性の違いは、自動車が時速100キロで走行中にトラブルに遭うのと停車してアイドリング中にトラブルに遭うのとの違いと似ている。大きな違いである。巨大地震を迎えるには、最低限、停止しておく必要がある。菅首相浜岡原発を停止させたのは、東電が事故直後、福島第二原発から逃亡しようとしたのを押しとどめた(怒鳴りとどめた?)こととともに、たいへん意義あることなのである。この二つは、余人では誰もなしえなかった。
 政府が、わが国の歴史の存続を願うならば、全原発をまず停止してアイドリング状態に置き、火力発電をもってその不足分を代替させ、さらに原子炉は廃炉へ向けてのプロセスに歩みだすべきである。 


  今年も庭で大きなトマトがとれました。