苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ラーメン一杯で脱原発

 「四国電力が、原子力発電以外の電源確保に躍起になっている。全供給力の43%を占める伊方原発愛媛県伊方町)の3基中2基が9月4日に停止した状態になり、供給力不足に陥りかねないためで、30日には火力の阿南発電所3号機(出力45万キロ・ワット、徳島県阿南市)の定検先送りを発表し、「安定供給に万全を期する」(千葉昭社長)姿勢を示している。」(2011年8月31日 読売新聞)
 また、「九州電力川内原子力発電所2号機は、1日未明、定期検査のため、原子炉の運転を停止しました。この結果、全国の原発の80%近くに当たる42基が停止していることになります。」(NHK9月1日 9時45分)とのこと。
 なーんだ、原発停めても停電にならないじゃないか。というのはあたりまえのことで、前から言っているように、全ての原発を停めて火力に代替させても、火力発電の設備はなお30パーセント余裕があるのだ。私たちと私たちの子孫がこの列島に住み続けるつもりならば、全原発を停止したまま再開させず、安全管理を徹底しつつ廃炉プログラムを進めることが肝心である。あり余って休止させている火力発電所をさっさと点検・整備して再開すればよいのである。そうして徐々に環境負担の少ない天然ガス火力に切り替えて行けばよい。また高効率でしたがって環境負荷の少ない石炭ガス化複合発電も今すでに実用化され、稼動している。ウランは数十年しかもたないが、石炭なら1000年近く使えるのだ。
 財団法人「日本エネルギー経済研究所(IEEJ)」は全原発を停止して火力発電所で電力需要を代替する場合は、標準的な家庭の電力料金が、2012年度は2010年度に比べ毎月1049円(18,2%)増加すると発表した。もっとも、IEEJは経産省所管の数ある原発推進団体の一つであり、理事会にもずらりと経済産業省OBがいて、経産省から09年度に1億1500万円の補助金を受けているから、どの程度信用できる数字であるかわからない。だが、かりにIEEJの言うとおり毎月1049円であっても、それで脱原発できるなら安い。こんなことのために、福島県民は棲家も仕事もそして健康も奪われなければならなかったのか。全原発を、さっさと停止・廃炉にせよと言いたい。
 値上げ分は2005年で所帯数は4906万3000戸だから、約5000万戸と考えると、1年間12ヶ月で値上げ分は6000億円となる。

      1000円×5000万戸×12=6000億円

 電力事業連合会が年間2000億円もかけてきた原発安全ウソ広告をやめれば、その三分の一はまかなえる。そうしたら、値上げは毎月660円程度という計算になる。一所帯、ひと月ラーメン一杯で脱原発ができる。高いだろうか。(もちろん、これはおおざっぱすぎる話)

こういうことをいうと、「なぜ一般家庭のことしか考えられないんだろう。そんなに電気代があがったら製造業が日本から逃げてしまうではないですか。」と賢そうにいう財界人がいる。そういう人は、なぜ、原発が破綻したばあいの農林畜産漁業それに観光業への被害の甚大さと、そのための損失を計算できないのだろう。原発事故のために、故郷を去らねばならない人々の悲しみが想像できないのだろう。何度か書いたが、今回は太平洋側に位置する原発で風が大方陸から海に吹いていたからこそ、90パーセント以上の放射能雲は太平洋上に拡散したので現在程度の被害で住んでいるけれど(それでもこれほどひどいなのだが)、次の若狭湾なり、新潟の原発が破綻したらもうこの列島の大半は住むことができなくなってしまう。
 脱原発は、理想ではなく、きわめて現実的路線である。