苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ノアは神とともに歩んだ

 ノアの時代、世は乱れに乱れていました。かつて神が不敬虔なカイン族とは別に起こした敬虔なセツ族の若者たちもカイン族の娘たちと交じり合うようになったからです。人々がその心に図ることはみな悪に傾き、地は暴虐で満ちていました。そんな時代に、ただ「ノアは主の心にかなっていた。」(創世6:8)そして「ノアは神とともに歩んだ」(同6:9)のでした。「ノアが神とともに歩んだ」とは具体的にはどのようなことを意味しているのでしょうか。世の中全体の価値観が完全に腐りはててしまった時代に、ノアはどのようにして神とともに歩むことができたのでしょう。

 神はノアに巨大な箱舟の建造を命じました。神が三階建てのその設計をノアに教えました。「ノアは、すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った。」(同6:22)とあります。ノアは箱舟建設に全財産と全エネルギーを注ぎ込みました。はたから見れば、神のことばに従うことは愚かなことでした。いつの時代も神のことばは、滅びゆく人々には愚かですが、救いに至る人々には神の力です。箱舟が完成すると、主はノアに動物たちを舟に乗りこませよと命じ、七日たつと四十日四十夜の雨を降らせ、地上のすべての生けるものを大地の面から消し去るとおっしゃいました。「ノアは、すべて主が彼に命じれたとおりにした。」(同7:5)とあります。果たしてノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、地下水源が破裂して大量の水が噴き出し、天から雨が降り注ぎ、箱舟は大海原を漂うことになります。

 六百一年目の第一の月の一日に、水は地の上から干上がりました。ノアが箱舟の覆いを取り払って眺めると、地の面は乾いています(同8:13参照)。喜び勇んでノアは船外に飛び出したでしょうか。いいえ、ノアは箱舟から出ようとはしませんでした。およそ二か月間、第二の月の二十七日までノアはなお箱舟の中に踏みとどまりました。なぜでしょう?神の命令がなかったからです。第二の月の二十七日、ようやく神の命令がノアにありました。「あなたは、妻と、息子たちと、息子たちの妻たちとともに箱舟から出なさい。」そこでノアは、ようやく腰を上げて、息子たち、彼の妻、息子たちの妻たちとともに外に出たのです。

 現代はノア時代のようです。この時代、私たちが神とともに歩むことができるとすれば、ノアのように神のことばを待ち、神のことばに聴き従う以外に道はありません。