聖書は国家(俗権)の役割についてなんと教えているか?俗権は人間の堕落後、創世記9章に定められた制度である。その目的は、堕落して利己的になってしまった人間の振る舞いを制御して、創世記1,2章で定められた礼拝と仕事と家庭の営みという民の暮らしが守られるように、外的条件を整えることである。民の平穏な生活が目的で、俗権は手段である。
ローマ書13章によれば、そうした外的条件を整えるために、神は俗権に剣の権能を託しておられて、俗権は強制力をもって、悪者を罰して社会の秩序を維持することと、徴税と富の再分配をもって格差の是正を図るという務めに当たらねばならない。
ところが、今の日本政府はこの役割をまともに果たしているだろうか。特に「富の再分配をもって格差の是正を図」らず、逆のことをしている。日本政府は、ここ十年間ほど先進諸国の中で唯一、富の再分配の後、富む者に富を集中させ、貧しい者に分配せず、かえって貧困率を引き上げてしまっている珍しい国なのである。 その結果、内需はやせ細って景気が悪くなってデフレから回復することができないでいる。いや、食料品などは中身が減って実質的に価格が上昇しているから、ほんとうはスタグフレーションに陥っているのを、統計局が政権に忖度して事実を隠蔽しているのではないかと、私は疑っている。
これは2012年のグラフだが、その状況が今日でも変わらないことは、下のリンク先をご覧いただきたい。
https://toyokeizai.net/articles/-/2198
では、どうすればよいのか。今朝、下の記事を知ったのでシェアします。要するに、今日の日本経済の苦境と国民の将来への不安の原因は、政策の失敗であるから政策を改めるならば解決するということである。末尾の出典をごらんいただきたい。
本文より抜粋
「20年間で他の先進諸国は時給が70%伸びているのに、日本だけが−9%と落ち込んでいる」
「(日本の労働者働いて生産した)価値はどこへ行ったかという問題である。消えたわけではない。生産されてないわけでもない。言うまでもなく、その価値分は内部留保と配当金とケイマン諸島(タックス・ヘイブン)に計上されている」
「特別剰余価値(内部留保+配当金+ケイマン資金)を年70兆円も溜め込んでいる絶倫資本主義国など、・・・日本以外には他にないのだ。
特別剰余価値への搾取分が半分になれば、すなわち年40兆円が労働者と国庫に還流されれば、年金財源は立て直され、非正規労働者の年収は倍になり、日本経済は年5%以上の成長軌道に乗ることができる。」
「内部留保と配当金とケイマン諸島に積み上がっている年70兆円を、そのせめて半分の年40兆円を労働者と国庫に回し、すなわち所得と税収に正しく還流すれば、消費(内需)が自律的に回復し、日本経済は健康を取り戻し、年率5%から7%の拡大循環の運動を始めることができる。
社会保障の財源不足も解消され、子どもの貧困も解消され、現役世代は夢を持って会社に出勤し、若者は結婚して2人の子どもを育てる家庭を持つことができる。」
しかし、このような提案をある野党議員が首相に向けたところ、首相は、「それは愚かな政策、間違った政策と言わざるをえません。」と断言していた。おそらく首相は、金持ちに富を集めるだけ集めれば、そのおこぼれで庶民も潤い、経済全体が潤うというトリクルダウン仮説を今も妄信しているのだろう。竹中平蔵氏さえもトリクルダウンなどありえないといったにもかかわらず。
出典「MONEY VOICE」2019年6月25日
最低すぎる日本の最低賃金。過去20年の各国GDP推移で見えた日本「ひとり負け」の現実
https://www.mag2.com/p/money/715441/3