苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

相互不可侵条約の証人

31:51 ラバンはまたヤコブに言った。「ご覧、この石塚を。そしてご覧、私があなたと私との間に立てたこの石の柱を。 31:52 この石塚が証拠であり、この石の柱が証拠である。敵意をもって、この石塚を越えてあなたのところに行くことはない。あなたもまた、この石塚やこの石の柱を越えて私のところに来てはならない。 31:53 どうかアブラハムの神、ナホルの神──彼らの父祖の神──が、われわれの間をさばかれますように。」ヤコブも父イサクの恐れる方にかけて誓った。 31:54 そうしてヤコブは山でいけにえをささげ、一族を招いて食事を共にした。(創世記31:51−54)

 ヤコブははじめおじのラバンに欺かれた。若いきつねが古だぬきに騙されたという図である。しかし、ヤコブは14年たって実力をつけて、ラバンを出し抜いてしまう。すると、ラバンのヤコブに対する態度は一変した。ヤコブは、これは潮時と考えて、妻たちの賛同を得て、故郷に帰ることにした。多くの家族を抱えての旅であったが、猛スピードでの逃避行である。だが、ラバンはついに追いついて、ヤコブとの論争となる。食えない叔父と食えない甥の論争は、はたで見ている分には滑稽である。その結末が、上のラバンのことばである。
 同じ神を信じていても、ヤコブとラバンが一緒に暮らしていくことは、どうみても無理があった。晴れ晴れとした和解をすることはできそうにないことは、双方がわかっていた。そこでラバンはここに相互不可侵条約を結んで、その証人として神に立っていただくことにしたのだった。