憲法学者木村草太氏の話を聞いたので、その趣旨をここにメモしておく。
第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とある。これが傷害罪の原則。この原則からいえば、例えば歯科医が患者の抜歯をすることは傷害罪にあたる。しかし、憲法35条には医師としての正当な医療業務でなされることとして例外規定が設けられている。
第35条
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
同じ論理が自衛隊の業務に適用される。憲法9条が述べるのは平和主義の原則である。
9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
改憲派はこれを揶揄して「憲法守って国滅ぶ」という。しかし、憲法13条を見ると、そうではない。これは9条の原則に対する例外規定と解される。
13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
政府が外国の侵略を放置すれば、国民は個人として尊重され、自由と幸福を追求する権利を守ることはできまい。したがって、9条の原則に対する例外として、日本国が外国の侵略から国民を守るための必要最小限の実力を持つことは例外として憲法において許されている。尖閣諸島防衛についても同じこと。
では、安倍政権が強行採決してまで安保法制を通し、さらに改憲したがっているのか?それは9条と13条をいかに合わせ読んでも、自国が攻められてもいないのに米国の戦争を手伝うことを憲法が許していないからである。安倍政権が改憲を進めたい理由は、米軍の戦争の手伝いを自衛隊にさせたいからである。