しばしば、新聞紙面の政治家や評論家の文章に、国連の定めでは「集団的自衛権は世界中、主要な国々はみんな行使できることになっている」という主張を読みます。「まして、個別的自衛権行使はあったりまえだ。」と。
でも、こういうことを書く人は国連憲章をちゃんと読んでいないのでしょう。読んでいて、そう書いているなら読解力がないのか、うそつきです。
日本同盟基督教団の「教会と国」委員会が、今般提出した集団的自衛権に関する声明の第二段を読むと、正確なことがわかります。
〜〜〜〜〜〜〜〜(以下、引用)
まず、「集団的自衛権」という概念は国連憲章(1945年10月24日発効)において初めて登場したものです。そもそも国連憲章では、加盟国によるあらゆる武力行使を禁止し、一切の戦争を違法とし、集団安全保障によって国際の平和を維持する、としています。国連憲章は、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(第51条)と自衛権行使を認めつつも、これは時限的措置であるとして強く制限をかけています。さらに、安全保障理事会が決定する軍事的行動については、「署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない」(第43条3)と定められ、加盟国の憲法が尊重されていますから、あくまでその国の憲法に則った判断が重要なのです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(以上、引用)
原則は「あらゆる武力行使を禁止」です。例外として、武力攻撃があったばあい、反撃するのはあったりまえのことではなくて、「自衛権行使を認めつつも、これは時限的措置として強く制限をかけて」いるのです。
国連憲章
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch.htm