苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

読者はよく読み取るように

マルコ13章14−36節

「荒らす憎むべきもの」が自分の立ってはならない所に立っているのを見たならば、(読者はよく読み取るように)ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。」

 昔からこの「読者はよく読み取るように」という不思議な句が気になっていた。主の再臨と審判の日が近づいている前兆について主イエスが話された、その後半部分である。前半は戦争、飢饉、地震、教会弾圧、背教、福音があらゆる民族国語に伝えられることといったしるし。後半は、いよいよ最後の前兆を記していると解される。そこに出てくる「荒らす憎むべきもの」である。
 この名は、ダニエルのエルサレムに関する「70週の預言」の最後9章27節に出てくる。「彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげものとをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現れる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」ダニエル書の荒らす者は、同書章の獅子の国(バビロン)、熊の国(メドペルシャ)、ひょうの国(ヘレニズム帝国)に続く第四の獣の国(ローマ帝国)から生え出てくる角(権力者)のことである。その権力者がずいぶん横暴に振舞うけれど、その絶頂の日に、主イエスが再臨して彼を滅ぼしてしまわれる。
 「読者はよく読み取るように」というのは、ダニエル書の預言を思い出し、荒らす憎むべき者が出現し繁栄し、神の民を弾圧しても、それは一時のことであるから、恐れるなといっているのであろう。艱難、忍耐、練達、希望。