苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ソロモンについての歴代誌の記事

 第二歴代誌1章から9章にはソロモンの事跡が記されている。彼が知恵を求めたこと、父ダビデの遺志を継いで神殿を奉献したこととその立派な祈り、そしてソロモンの栄華。長い祈りの記事を見てとくに思うのだが、これほどすぐれた神学的洞察を含む、敬虔な祈りをささげながら、後年、ソロモンが偶像崇拝の罠に陥っていったことは意外である。
 神を知ることと、神を愛することとの隔たりは、これほどに大きいのかと思う。あるいは王という富と権力と快楽の誘惑にさらされる立場にあって、主に忠誠を尽くすことがいかに困難だったのかということか。
 第一列王記には歴代誌と並行記事が多いのだが、ソロモンの記述に関して両者が違う点のひとつは第一列王記には、ソロモンが多くの外国の女たちを娶って偶像礼拝の罪に陥り、それが彼の死後の王国の分裂の原因となったことが記されているのに、歴代誌はここで触れていないことである。歴代誌はソロモン賛歌になっているといえなくもない。
 だが、直接触れてはいなくても、歴代誌にしるされた主がソロモンになさった警告を読めば、読者にはソロモンの過ちがわかる仕組みになっているという読み方をするのが正確なのだろう。