苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ソロモン(4)   ソロモンが年老いたとき

 10章にはソロモンの事業の成功とその豊かな富が描写されたが、11章の幕引きでは、彼の陥った罠と罪が記される。ソロモンの事業の成功は、国際的な平和があってこそだったから、「平和のために」彼は諸国の姫たちを妻として迎えた。その数七百人。だが、それは半分は口実だったのだろう。それでも飽き足りない彼は、さらに三百人のそばめを持っていたという。 ソロモンは父ダビデと同じように女性で失敗をし、王国に悲惨をもたらすことになる。

11:1ソロモン王は多くの外国の女を愛した。すなわちパロの娘、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女を愛した。 11:2主はかつてこれらの国民について、イスラエルの人々に言われた、「あなたがたは彼らと交わってはならない。彼らもまたあなたがたと交わってはならない。彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせるからである」。しかしソロモンは彼らを愛して離れなかった。 11:3彼には王妃としての妻七百人、そばめ三百人があった。その妻たちが彼の心を転じたのである。(列王上11:1−8)

 だが、女たちがソロモンの罠となった。諸国の姫たちが、嫁入り道具としてもろもろの偶像を持参することを平和な人ソロモンは許してしまったからである。ソロモンは今風にいえば、妻の人権を重んじる宗教的寛容な人として評価されるのだろうけれど、その寛容はやがて妥協となり、後に神の怒りを買い王国を分裂させることになる。ソロモンは、「たとえ妻たちが異教の神々を拝んでいても、余の真の神への忠誠は揺るがない。」と自信があったのだろう。しかし、彼もまた年をとって行く・・・。


11:4ソロモンが年老いた時、その妻たちが彼の心を転じて他の神々に従わせたので、彼の心は父ダビデの心のようには、その神、主に真実でなかった。 11:5これはソロモンがシドンびとの女神アシタロテに従い、アンモンびとの神である憎むべき者ミルコムに従ったからである。 11:6このようにソロモンは主の目の前に悪を行い、父ダビデのように全くは主に従わなかった。 11:7そしてソロモンはモアブの神である憎むべき者ケモシのために、またアンモンの人々の神である憎むべき者モレクのためにエルサレムの東の山に高き所を築いた。 11:8彼はまた外国のすべての妻たちのためにもそうしたので、彼女たちはその神々に香をたき、犠牲をささげた。(列王上11:4−8)


 「ソロモンが年老いた時」ということばに注意。年老いることには、経験を豊かにし判断を適正にするという一面もある。しかし、年老いることによって意志と知性の力が弱くなり判断をあやまり罪に陥るという面もあることに心を留めておこう。年をとったとき、ソロモンは若いときほど真理に忠誠をまもる気力を失ってしまった。
 ほとんどのことには寛容となったとしても、みことばについて、また、真の神様への忠誠についてだけは「いつまでも青いね」と、むしろわらわれる者でありたい。