堤未果『コミック 貧困大国アメリカ』を古本で手に入れました。1パーセントの人が80パーセントの富を所有し、残り99パーセントの庶民が20パーセントを分け合わねばならないアメリカの「新自由主義経済の地獄絵」です。なんともリアルで、背筋が寒くなりました。あのブッシュ政権はほんとうにアメリカを地獄にしてしまったんですね。アメリカの庶民生活の実情を知る友人が、特に医療保険の高さについて誇張でもなんでもなく、この本に書いてあるとおりだと嘆いていました。「パンが無いなら、おかしを食べればよいのに」と王妃マリー・アントワネットが言ったという、フランス革命前夜をふと思い起こしました。
日本のマスメディアは、米国のこの惨状をもっときちんと報道する義務があると思います。TPPに参加するということは、日本もこういう社会を選択することを意味しているのでしょうから。<目次>
サブプライムローン・・・貧困層にマイホームを夢を売って破綻させ食い物 にした悪徳金融。
貧困と肥満・・・・・・・貧乏人は子どもはジャンクフードしか食べられ ない社会。
医療と破産・・・・・・・夫が盲腸手術をし、妻が出産したら、中流家庭が 自己破産に追い込まれる社会。
医師たちの転落・・・・・米国で自殺者比率が最も高い職種。それは医者。
医者は激務に加えて医療保険会社の評価と訴訟に
追い回されている。
出口のない若者・・・・・ブッシュの作った落ちこぼれゼロ法という罠。そ れは大阪の教育改革とそっくり。
戦争とワーキングプア・・徴兵制がなくても兵士を確保する方法。いまや、 民営化された戦争は国際派遣ビジネスなのだ。
「5:1 聞きなさい。金持ちたち。あなたがたの上に迫って来る悲惨を思って泣き叫びなさい。 5:2 あなたがたの富は腐っており、あなたがたの着物は虫に食われており、 5:3 あなたがたの金銀にはさびが来て、そのさびが、あなたがたを責める証言となり、あなたがたの肉を火のように食い尽くします。あなたがたは、終わりの日に財宝をたくわえました。
5:4 見なさい。あなたがたの畑の刈り入れをした労働者への未払い賃金が、叫び声をあげています。そして、取り入れをした人たちの叫び声は、万軍の主の耳に届いています。 5:5 あなたがたは、地上でぜいたくに暮らし、快楽にふけり、殺される日にあたって自分の心を太らせました。」
ヤコブ書5章1−4節
<追記>日米の医療費比較p65
アメリカ 日本
盲腸 243万円(1日入院) 30万円(7日入院)
出産 65〜115万円(2日入院) 39万円(5〜7日入院)
肺炎 113万円(4日間入院) 30万円(4日間入院)