昨日、「原発新設からすべての英国企業が撤退した」という記事を紹介した。原発が核兵器の材料を作り出すからとか、地域社会を破壊するからとか、被爆労働を人々に強いることになるからといった道徳的理由ではない。福島の事故を受けて、安全対策のハードルが高くなったためコストがあわなくなったのが理由である。原発をやっても儲けにならないからやめるという企業としての合理的判断である。
そういえば、日本はかつて何度シミュレーションしても、誰が考えても敗戦必至とわかりきっていた対米戦争に、不合理にも突入していった。しかも、誰が対米開戦の責任者か不明であるという、へんてこな国である。原発問題と戦争とは似ているところがいくつもある。両者ともに政界・官界・財界・マスメディアを巻き込んだ国策であること、両者ともに巨大な利権が絡んでいること、両者ともに人の生命を軽んじること、両者とも大本営発表で国民をコンロトールすること、そして問題が起こると誰も責任を取らないということ。そういう場合、どうもこの国は合理的な判断ができなくなって、敗戦必至とわかりながら突入し、そして実際に敗戦し、かつ、責任者不明ということになってしまうらしい。
この点を解明し、正さなければ、日本という国は何度も同じ敗戦を繰り返すだろう。