これから数年間にどういうことが日本で起ころうとしているのか?厳しい現実ではあるが、顔を背けないで認識して、少しでも子どもの苦しみを減らすために、今、知恵のある生活をすべきだと思う。
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事故は1986年に起こった。1991年、ソビエト当局とIAEAは住民の放射能による急性障害はなかったと調査結果を発表したが、それが偽りであったことが、(おそらく当局が)隠蔽しそこねた数百枚のカルテによってあきらかになった。
広河「住民の被害が拡大した原因は、専門家による安全宣言のせいだったということを肝に銘じるべきです。」
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事故後5,6年で子どもの甲状腺がんが爆発的に増え、次に乳がん、次に骨のガンが急増。甲状腺がんは本来、大人のガンであって、子どもにはほとんど起こりえないガンである。
1991年IAEA(国際原子力機関)が調査にはいった。調査結果として、住民の放射能による健康被害はまったくないと発表した。その代表は重松逸造(財団法人放射線影響研究所理事長)。だが調査団は、放射能汚染のひどい地区には入らず、自分たち用には安全な食べ物も持参していた。重松らはこの地域の食物が安全ではないことを認識していたのである。
*IAEAは、国際原子力ムラに属する原発業界の振興が目的の機関である。
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放射能汚染地域で子どもを生み育てる人々のようす。牛乳はセシウムは測定されるが、ストロンチウムなど他のものは測定されない(今の日本も同じである)。ストロンチウムは骨に蓄積して骨のガンを引き起こす危険性が高い。IAEAがろくに調査もしないで『安全宣言』を出したために世界の支援活動も動きが弱くなってしまった。
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事故後8年たち、子どもたちの体内に蓄積された放射能が潜伏期間をすぎて牙をむき始めた。これまで原発に近い放射能汚染のひどい地域で多かった子どもたちの甲状腺がんや白血病が、原発からはるか遠くはなれたポーランドでも急増しているという。(ホットスポットができていたのか、それとも、汚染地域の牛乳などを摂取したからだろう。)現地で不足しているのは、安全なミルク、ビタミン剤。
*ちなみに、放射線影響研究所の前身は、『はだしのゲン』に出てくる悪名高きABCC(Atomic Bomb Casualty Commission原爆傷害調査委員会)である。ABCCは、核戦争における単なる放射線障害データを収集するための機関であったから、被曝患者は彼らにとってモルモットにすぎず、一切、治療行為は行なわなかった。
*とくに子どもたちのために、私たちは手をこまねいて待っているわけには行かない。福島、群馬の方たちに聞く限り、公的機関は子どもたちにどのようにして安全な食事をさせるべきかといったことについて、格別アドバイスをしていないという。(事実がそうでなければ、読者は教えていただきたい)
そこで、筆者は医者でもなんでもないが、知りえた情報を現地の方たちにお伝えしている。福島・栃木・群馬・茨城・千葉その他ホットスポットの親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんたちは、子や孫のために参考にして実行していただきたい。何の対処もせずに、数年後のチェルノブイリ的症状が現れるのを待って後悔するよりも、結果はずっとよいと思う。
☆「群馬・栃木・茨城・千葉のおとなたちへ」・・・子どもたちのために今具体的にできること。http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120625/p1参照。
☆ウラジーミル・バベンコ『自分と子どもを放射能から守るには』
http://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%A8%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%82%92%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%81%8B%E3%82%89%E5%AE%88%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AF%EF%BC%88%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E7%89%B9%E5%88%A5%E7%B7%A8%E9%9B%86%EF%BC%89-%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B3/dp/4418113185