苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原子力委員会ってなんなの?

 国の原子力委員会は、原発事故に備えるためのコストを1キロワット時あたり、最大で1.2円と初めて試算しました。今後、火力や風力などと比べた、発電コストの見直しに反映されることになります。
 原子力委員会の小委員会では、標準的な原発で過酷な事故が起きる確率を5つのケースで想定し、それぞれの場合のコストを試算しました。
 事故が起きる確率をIAEAの安全目標である10万年に1度とした場合は、1キロワット時あたり最大で0.0062円で、コストにほとんど影響はありませんが、福島第一原発の事故を踏まえ500年に1度、事故が起きるとした場合は最大で1.2円でした。
 試算に使われた損害コストは、福島第一原発の事故を参考にしていますが、これから発生する除染費用などは含まれていません。
 「発電コストが安い」とされてきた原発ですが、これまでは事故のコストは発電コストに含まれておらず、今回のデータは今後、政府のエネルギー・環境会議が見直すことにしている、発電コストの試算に反映されることになります。
 また小委員会は、使用済み燃料の再処理にかかる費用も試算しましたが、再処理する場合の費用は再処理しない場合に比べて2倍かかるとしています。(TBS10月25日17:18)

 政府の原子力委員会は、原発の電力料が安いなどという、いまごろまたインチキな数字を出し、またテレビや新聞も大本営発表に協力している。 ずいぶん前に引用したとおり、立地のために投入されている莫大な税金、バックエンド費用を勘案すれば、原発事故など考えに入れなくとも、電力会社にとっては「原発は一番安い」が、利用者にとっては「原発は一番高い」発電方法なのである。このことは大島堅一氏があきらかにしたとおりである。こちら参照⇒http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20110515/p2
 その上、国際原子力ムラIAEAの安全目標が10万年に1度などというのもお笑い草だ。政府の原子力委員会のいう「過酷事故が500年に一度」というのもまるで根拠が不明だ。とにかく夢のような安全目標をどのように立てようと勝手だがそれを計算の根拠にするのはばかげている。計算するなら現実に基づいて立てるべきだ。現実は、レベル7の過酷事故はチェルノブイリ、スリーマイル、福島第一と25年間に3回起きている。世界でいえば8年に1度である。また日本の原発事故から武田邦彦氏はブログで次のように言う。

原発の運転が本格的になって20年。その間に震度6地震で7つの原発が破壊し、3つの原発が全電源を失い、1つの原発発電所)が爆発しました。また日本には震度6地震が1年に1回以上あります。そうすると、20年間で一度ぐらい今度の福島原発事故のような事故が起こることを意味しています。100年後、日本は5回の福島級の事故を起こし、原発で日本国は無くなると思います。技術的には間違いありません。

 「日本国が無くなる」はある程度文学的修辞ではあるが、庶民は放射能汚染のまっただなかで生活をしなければならなくなるというのは、事実であろう。今、すでにそうなりつつある。
 賠償金もいいかげんなものだ。原発事故でひどく汚染された田畑は、事故さえなければ過去何百年ものあいだ生み出してきた農産物をもはや事実上未来永劫生み出せなくなってしまったのである。その地域の社会も文化もすべて根こそぎにして無にしてしまったのである。その農地がいくらなどということで手軽にカネに換算できる話ではない。国家という観点からいえば、国土そのものが喪失したに等しい。
 また今後起ころうとしている被爆者の病気や死については、原子力委員会は御用学者たちの見解に基づいて、原発事故と病気や死との因果関係を否定して賠償は踏み倒すつもりであるから、その賠償費用は計算に入れる必要もないのだろう。また海に流した放射能について近い将来起ころうとしている、国際的な賠償金も計算に入れていない。到底信用にあたいする計算ではない。

 そもそも原子力委員会とはなんなのか?斑目氏が委員長の原子力安全委員会とは別の組織である。原子力委員会は、今回の福島第一の事故についてはなんの責任も取らず、その委員長近藤駿介氏は雲隠れしていた。そして、委員長代理鈴木達治朗氏は、「原子力委員会原子力政策に責任があるのであって、原発の安全性については責任がありません」と福島事故後6月プサンで述べている。「政策には責任があるが、安全には責任がない」ということは、自分たちは国民の安全など考慮せずに原発経営だけ考えていればいいということだろう。・・・なんでこんな組織が必要なのか?これも電力の使用者でなく、原発ムラの学者のために必要なのだろう。
参照>http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65752394.html