苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

野田首相がNY国連本部でKY演説をするそうである

野田佳彦首相が22日にニューヨークの国連本部で開かれる『原発の安全性と核の安全保障に関するハイレベル会合』で行う演説案全容が18日、判明した。東京電力福島第1原発事故を受け『原発の安全性を最高水準に高める』と表明、同時に『安全でより信頼性の高い原子力エネルギーの確保は引き続き必要だ』と直ちに『脱原発依存』へ移行しない立場を明確にする。事故原因を徹底検証し、結果は国際社会への全面開示を約束する」共同通信19日発

 野田首相は、国連で原発存続を訴えるという。各種アンケート、19日の東京の6万人の反原発デモにもあらわされた民意に真っ向から挑戦する内容である。福島でこんな大事故を起こし、かつ、それを収束させることもできずにいて、その実情を「冷温停止」というウソでごまかしつつ、あえて日本の原発技術を誇ってみせるという演説である。さて、どれほど説得力があるだろうか?謙虚を旨とする首相らしくないし、KYな内容である。
 これがKY「空気が読めていない」というのは、本来、日本の首相として国連で言うべき別のことがあると思うからである。福島第一原発放射能を世界中にばらまいたのである。とくに問題は、太平洋に莫大な放射能を意図的に流してしまったことである。日本を除く環太平洋20カ国は会議を開いて、今後4年間、海洋の放射能汚染の調査をして、4年後には調査結果にもとづいて、国連海洋法およびロンドン条約違反で日本に賠償請求をすることを決めたということも聞く。失笑どころか怒りを買うのではなかろうか。ナガサキヒロシマ放射能の悲惨を経験し、このたびは国内ばかりか世界にまで迷惑をかけてしまった国の首相が訴えるべきことは、むしろ、深い反省と原発廃絶による安全なエネルギー政策への展望ではないか。

福島第一原発の「冷温停止」はウソである件
 「冷温停止」というのは、原子炉の健全性が保たれ、炉内に燃料があって、それを摂氏100度以下にすることができたことを意味している。第二号機、第三号機の中身は見ることすらできず、第一号機は炉に穴が開いて燃料が下に落ちてしまった(メルトダウンメルトスルー)という現状で「冷温停止」を言うことは、事柄のすりかえである。第一号機が100度以下になっているのは、炉内に燃料がなくなっているのだからあたりまえのことであって、原子炉の健全性を前提とする「冷温停止」などではないと小出裕章氏がコメントされている。
 IAEA=世界原子力村のアマノ氏は、「冷温停止」報告を受けてニコニコとし、各メディアももっともらしく「冷温停止を一ヶ月前倒しすることになった」などと、ニュースを流している。原子力ムラはまだ懲りていないようである。・・・そうか、「原発存続」を訴える野田首相の演説は世界の原子力村住民たちのハイレベル談合で話すことだから、かえって喝采を受けるのかもしれない。

追記>9月9日に日本原子力研究開発機構が、事故発生以来、海に流出したヨウ素131、セシウム134、セシウム137の総量が、これまでの推定の3倍を超える1万5000テラ・ベクレルにのぼるとの試算を発表している。