チェルノブイリ事故のとき、私たちはソ連という社会主義国で、国民の安全についてはあまり配慮のない国だからどうしようもないのだと思っていた。けれども、今回の原発事故後のこの国の状況を見ると、あのように考えたことは傲慢であり偏見だったのだと思わされた。
飲料水については、チェルノブイリ事故を経験したウクライナの放射能規制値は2ベクレル(1キログラムあたり)に対して、日本は暫定規制値であるが、セシウム134と137の合算値で200ベクレル(1キログラムあたり)つまり100倍。野菜は7倍以上、肉類で2.5倍、魚では3.33倍、果物は7倍、卵は5倍と、日本のほうがはるかにゆるい。ウクライナでは、ストロンチウム90についての規制値もあるが、日本には規制値もなく測定値も発表されていない。
これでは、外国に日本の農産物を受け入れてもらえないだろうし、観光客に来てくださいといっても来ないのはあたりまえだろう。日本も、チェルノブイリの事故後、その影響を受けた国々の農産物を拒否していた。
ただ、この国土の狭さを考えると、規制値をウクライナのレベルまで厳しくしてしまうと、住民の強制移住の範囲がとてつもなくひろがってしまって、もはや住むところがなくなってしまうのではないかという政府の考えが働いているのだろうか。あるいは、国に助言する放射線の専門家たちが、本気でこれで大丈夫だと考えているからなのだろうか。放射線の危険性については、学者によっていうことがずいぶん違うので、庶民としては戸惑ってしまう。
長野市の蓮田