苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

日本はエネルギー大国である・・・風力・波力・貧乏ゆすり力

 波力、風力、地熱を発電に活用すれば、日本はエネルギー大国である。これらを宝の持ち腐れにしていてはもったいないという趣旨の文章を見つけたので、下に転載しておく。
引用先>取材・文/志葉玲、北村尚紀(SPA!)写真/石原孟、富士電機、全国小水力利用推進協議会、共同通信社

以下引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

風力発電

 東京大学の石原孟教授は、’07年に関東地方沿岸域での洋上風力の賦存量(理論的に導き出された資源の量)に関する論文を発表、業界関係者を驚かせた。

 「関東沿岸から50kmの全海域を対象とした場合の総資源量は年間287テラワット(2870億キロワット)/時で、’05年の東京電力の年間販売量とほぼ同じ。太平洋沿岸は風況が良く、大規模洋上風力発電施設は大きな可能性を秘めています」と石原教授は解説する。

 「新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の調査によると、年平均風速7m/秒以上、海岸から30km以内、水深200mまでの海域での風力資源量は12億キロワット。このうち水深50mの海域の5%に着床式、つまり海底から直接立てる形で風力発電施設を造れば、1000万キロワットの設備容量が確保できます。さらに、浮体式、つまり海上に浮かべる方式で水深200m海域の3%に風車を造れば3600万キロワット。洋上風力発電の設備利用率30%から換算して、100万キロワットの原発17基分(稼働率80%)の発電量に匹敵します」

 優れた災害対策技術もある。「欧州と異なり、日本には巨大な台風が来ます。’03年には、宮古島で欧州製の風車が根元から折れてしまうということがありました。そこで我々は、台風・地震津波などさまざまな災害に耐えるための設計指針を’07、’10年にまとめました。それ以来、台風で破壊された風車はなく、今回の大震災でもほとんど被害はありませんでした。日本の風車の設計技術は高く、欧米やアジア各国からの問い合わせが相次いでいます」

 「洋上風力発電はコスト面からみて厳しいのではないか?」という疑問に対して、石原教授は次のように答えた。

 「確かに、陸上の風力発電所に比べて、洋上風力発電所の建設コストは高いです。着床式、つまり海底から立てる方式で1.5倍、浮体式で2倍のコストがかかるとみられています。しかし、陸上では風の強いところでも年平均風速6m/秒程度であるのに対し、洋上では7.5m/秒。障害物もなく、風が安定的に得られるのです。発電量に換算すると、洋上は陸上の約2倍、発電コストはほぼ同じです。洋上風力には、景観や騒音等を気にしなくてもいいことや、道路などの制約条件がなく、大型風車の運搬や設置が容易というメリットもあります」

 日本ではまだ主要電源として認識されていない風力発電だが、世界各国はどんどん風力に力を入れ始めていると石原教授は言う。

 「’10年末に世界の風力発電設備容量は1億9439万キロワットに達し、過去13年間の平均成長率は28%。風力発電への投資は全発電施設の新規投資の5分の1を占め、5兆円産業となっています」

 石原教授は「日本には風力資源も技術もある。あとは、国の目標と支援策」と指摘する。

 「外洋は基本的に国が管理しているので、日本も欧米のように政府が音頭をとらなくては民間が動けません。また、自然エネルギーによる発電を買い取るための『固定価格買い取り制度』を早期に導入すべきです。同制度を取り入れた国々では爆発的に自然エネルギーが普及しています。なにより、いつまでにどのくらいの風力発電設備を造るのかという国家ビジョンが必要。これらがそろってこそ、企業の参入や投資を呼びこむことができるのです。エネルギー対策はもちろんのこと、地球温暖化対策や新たな産業・雇用を生むためにも、今こそ政府は風力発電普及のため全力を尽くすべきではないでしょうか」

九州大学グループの洋上風力発電イメージ
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/electoric/electoric_wind01.htm
 こちらは国立環境研究所
http://www.nies.go.jp/event/kaigi/20071010/download.html


波力発電

 「日本は世界第6位の領海・排他的経済水域EEZ)を持っています。この膨大な海洋エネルギー資源を利用しない手はありません」と語るのは、東京都の波力発電検討会の委員長を務めている東京大学の荒川忠一教授だ。

 「日本の沖合の波パワーの賦存量(理論上潜在的に存在している量)は、3億キロワット(300ギガワット)以上とみられています。最近の先進的な波力発電装置のエネルギー変換効率は30%程度なので、3%を利用すれば3000万キロワット以上の波力発電設備を設置することができます」

 問題は、実用化して軌道に乗るまでは、設備の設置コストが非常に高いことだ。しかし、普及していけばどんどん安くなるという。

 検討会の報告書によると、米国のオーシャン・パワー・テクノロジー(OPT)社の2年前の分析では、普及時(年間400基量産ペース)の設備コストは、1メガワットあたり約3.9億円、発電単価は15円。風力は1.5億〜3.1億円のコストで発電単価8〜16円。太陽光は7.2億〜10.4億円のコストで、発電単価は50〜134円(現在はさらにコストが下がっている)。波力はほかの再生可能エネルギーと比べても遜色ない。米国をはじめ、英国、ポルトガル、オーストラリアなど、海洋エネルギーの利用に積極的な国は、さまざまな助成・優遇措置を設けて産業を育成しようとしている。

 例えば、OPT社と大手建設企業によるオーストラリアの波力発電プロジェクト(投資総額約186億円)には、連邦政府・州政府からの設備補助金45%、1キロワットあたりの買い取り価格は初年度32円、6年目以降16円、これに4円の『再生可能エネルギー証書』が付加されるという優遇ぶり。これは決して政府が損失を補填するというわけではなく、事業期間20年の高収益事業として計画されているのだ。また、スコットランドでは合計120万キロワットの波力・潮力発電所の建設計画があり、投資総額は7000億〜1兆円と言われているという。

 波のエネルギー密度は太陽のおよそ20倍、風のおよそ4倍。そのため、波力発電施設は設置面積が少なくて済む。

 「洋上風力発電の隙間を埋めるように発電設備を設置するなど、ほかの海洋エネルギーと組み合わせられるという経済的利点もあります。同一海域で一帯事業として実施し、海底ケーブルなどのインフラをシェアすれば、よりコストが下げられるでしょう」

 そのほか、浮き漁礁や養殖場として、漁業との共存も模索されている。

 日本ではまだ実用化されていないが、世界では再生可能エネルギーとして注目され、100を超えるプロジェクトが進行中だという。

 「欧州再生エネルギー評議会は、波力発電導入量を’20年には5テラワット(50億キロワット)と試算しています。日本も乗り遅れてはなりません。今後の目標は、’20年までに300メガワット(30万キロワット)以上、’30年までに20〜30ギガワット(2000万〜3000万キロワット)の導入です」


地熱発電

 火山国である日本では地下の高い温度を使い、蒸気タービンを回して発電する地熱発電も大きな可能性がある。産業技術総合研究所の安川香澄氏は「日本は世界の三大地熱資源保有国の一つ」と語る。

 「地熱資源量は、火山の個数に比例します。119もの活火山がある日本は、米国、インドネシアについで世界3位。2347万キロワット分もの地熱資源があります。ところが、昨年の日本の発電設備容量は約54万キロワット。まだまだ開発の余地があります」

 地熱発電関連の技術も、日本は世界トップだと安川氏は言う。

 「世界の地熱市場に占める日本製タービンのシェアは極めて高く、富士電機三菱重工東芝の3社の合計で、市場全体のほぼ7割を占めています。地熱発電に利用される地熱蒸気の中には、酸性物質を含む多くの化学成分が含まれるため、耐腐食性の高い機器が要求されますが、こうした部分でも日本の技術が評価されているのです。また地面を掘る掘削技術も高く、NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構)の深部地熱資源調査では’95年、深度約3700mで500℃を超える高温を記録。地下で測定された温度としては世界最高であり、この記録は現在も破られていません。さらに、地下の高温の蒸気や熱水を探し当てる技術にも優れています」

 こうした日本の技術を活用しているのが、火山国のアイスランドだ。富士電機の火力・地熱統括部プラント技術部長、山田茂登氏が解説する。

 「アイスランドは、20年前から脱化石燃料社会を宣言し、クリーンエネルギーの導入に力を入れてきました。同国での総発電量のうち約3割が地熱発電によるものです。安い電気を売り物に、電力消費の多いアルミ工場を誘致したりもしています。昨年は、アイスランド大使館の主催で日本アイスランド地熱エネルギーフォーラム2010が開催され、両国による地熱発電開発の可能性などについて議論されました」

 資源も技術もある日本の地熱発電だが、政府や電力業界には過少評価されているようだ。「日本では’00年以降新しい発電所の建設はなく、既存の発電施設もその出力を使い切っていません。これに対し、世界の地熱発電の設備容量は右肩上がり。各国の設備容量は、例えば米国では過去5年間に53万キロワットもの増加があり、昨年は約309万キロワット。同じくインドネシアも5年間で40万キロワット増加し、昨年は約120万キロワットと、1.5倍に増えました。そのほか、メキシコ、ニュージーランドなどでも、大幅な伸びが見られます」(安川氏)

 安川氏は、日本での地熱エネルギー普及の課題として、「許認可の円滑化、固定価格買い取り制度の改善、建設場所の規制緩和、温泉業界の理解などが必要」と指摘する。

 「電力会社が地熱発電に乗り気でない理由の一つに、コストの高さがありますが、これは建設にあたっての許認可に時間がかかり、稼働まで10年も必要だから。米国では4〜5年で建設されています。許認可のスピードが上がれば、コストも下がります。地熱発電による固定価格買い取り制度の導入も昨年7月に決まりましたが、その買い取り価格(15〜20円/キロワット時)は必ずしも導入促進に十分ではありません。立地については、規制や地元の合意などの課題もあります。国内の有望な地熱資源は、その8割が国立公園内にあり、建設が難しかった。昨年、規制の一部見直しがありましたが、さらなる規制緩和が必要です。今の技術ならば、国立公園の外から地下を斜めに掘ることで、自然環境への影響を最小限にすることもできるのです。温泉関係者には、地熱発電所が近くに建設されると温泉が枯れてしまうのではないか、という不安もありますが、大霧地熱発電所(鹿児島県)の近くの霧島温泉郷には、約130もの源泉があり、変わることなく利用されています。適切な規模であれば、地熱発電と温泉の共存は十分可能です。常に70%以上という安定した稼働率や、温室効果ガス削減効果など、地熱発電のメリットがより多くの人々に理解されることも重要ですね」


太陽光・太陽熱・バイオマスマグネシウム・音力・振動力
 国産クリーンエネルギーはほかにもいろいろある。最もポピュラーなのは太陽光発電。余剰電力の固定価格買い取りや、住宅向け太陽光パネルへの補助金もあり、国内の累積導入量は’09年には前年比28%の伸び。電力各社も大規模太陽光発電所の建設に乗り出し、’20年までに計14万キロワットが導入される見込みだ。NEDOの予測では’30年までに最大1億3300万キロワットまで設備容量が拡大するという。NEDOを中心に、産学協同でのオールジャパン体制で「太陽光発電世界一」奪還プロジェクトが’10年度から5か年計画で実施されることが決定されている。

 また、太陽光を鏡などで集めてつくった高温で水などを蒸発させ、蒸気タービンを回転させて発電する「太陽熱発電」は、東京工業大学の研究チームが高効率の太陽熱発電の実験施設を山梨県北杜市に建設することが計画されている。

 森林大国である日本では、次世代エネルギーとしてバイオマス(生物資源)が期待されている。現在は319万キロワットの設備容量のうち、生ごみや家畜などのし尿を発酵させてのバイオガスや、建築廃材や木質ペレットなどを燃やしての発電が行われている。大阪市城東区森之宮地区の生ごみや下水汚泥からバイオガスを発生させる実験を’11年度から始める。廃熱の活用も含め同地区で消費する全エネルギーの8割、1万世帯相当分を創出する計画だ。

 そのほか、究極のエネルギーリサイクルと言えるのが「マグネシウム発電」。東京工業大学の矢部孝教授が研究を進めている。海水からマグネシウムを取り出し、それを燃やして発電する。そして残った酸化マグネシウムを太陽光レーザーでマグネシウムと酸素に分解、燃料として再利用するというもの。無尽蔵にある太陽光エネルギーを利用し、資源を循環させるという夢の技術だ。さらに、製錬、利用、リサイクルすべての過程で温室効果ガスを排出しない。高効率の淡水化装置と超高温レーザーの開発が、この技術を可能にした。

 また、都会のエネルギーとしてピッタリなのが「音力・振動力発電」。音や揺れのエネルギーで発電するという技術で、当時慶応大学の学生だった速水浩平氏(現在、「音力発電」代表取締役)が発明した。仮に首都高速の下に振動力発電機をつければ、都内の全家庭の電力をまかなえるという。

 この2つの発電技術はまだ実験段階だが、資源を外国に頼らない「国産エネルギー」は、着々と研究が進められている。

   以上、引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
貧乏ゆすり力
 地熱発電は、国立公園・国定公園の環境を破壊するという問題があると聞くし、温泉町の人々の生活圏をおびやかすという問題があると聞く。古いタイプではお湯を取りすぎて、温泉が運営できなくなるし、地震を誘発するとも聞く。ただ新しいタイプの地熱発電ならば、そういう問題はクリアしているともいう。
 風力発電低周波振動の問題や渡り鳥が巻き込まれることなどが課題とされているが、解決の工夫もされつつある。
 いずれにしても、原発にのみ注がれてきた莫大なお金をこれら多様なエネルギーの研究に用いていけば、実用できるものが見つかるだろう。振動力発電など、いすにつければ貧乏ゆすりの筆者のパソコン操作くらいはできたりして・・。パソコンはむりでもLEDランプを灯すことは十分可能だろう。自転車こぎの健康器具にダイナモをつけてテレビにつなげば、テレビを見ながら運動ができるし、疲れたらテレビは自動的に消えるので、くだらない番組は見ないですむ。からだと心の健康に一石二鳥だ。

 同じようなことを考える人がいた。自作貧乏ゆすり発電機⇒
http://amejam.com/archives/50789899.html

追記> 原発利権勢力によって、脱原発は非現実的な夢想だという固定観念を植え付けられてしまった人には、貧乏ゆすりの冗談は無益かもしれない。脱原発のための基本的な流れをメモしておく。
第一に、まず日本の原発をすべて停止しても電力は足りていることを認識し、原発を停止して地震に備えつつ廃炉にむけて行くこと。
第二に、環境に負荷の多い火力から、少ない高効率天然ガス火力に切り替えていくこと。
第三に、省エネ技術を総動員すること。
第四に、再生可能エネルギーの開発を進めていくこと。


小海夕景