5月16日国会で自民党塩崎氏と菅総理の対論において、総理は福島原発事故調査委員会のメンバーの選任は総理が行なうとし、塩崎氏は国会が行なうべきであるとしている。要するに、自民党は今回の事故を総理の初動の間違いが原因であると追及したいので自分たちの息のかかった人々を委員としたいと考えており、民主党政権としては自民党、特に安倍政権が津波対策の備えを怠ったことが根本原因であると考えているわけであろう。
筆者として知る限りでは、過去にも書いたように、現政権の対応のまずさはあるものの、かつての自民党安倍政権の本件についての怠慢が一番大きな原因である。だが、それはそれとして、国民から見ると、自民党政府も民主党政府も、どちらも被告というか当事者の立場なので、調査委員任命権を持つには不適切であるといわざるをえない。客観的立場を持ちうるとすれば、自民党でも民主党でもなく、社民党や共産党といった原発について批判的な立場を取ってきた党派に事故調査委員の選任をさせるほかないのではないだろうか。
それにしても、被災地が苦しんでいるこの状況下にあって、政府と最大野党が自分の非を顧みず、「おまえが悪い」「いや、あんたが悪い」と相手に責任をなすり付け合っているようでは、国民の政治に対する信頼はますますなくなっていくばかりである。
「おれが悪かった」「いえいえ、わたしのほうこそ悪かったんです」と、国会でも家庭でも職場でも、お互いに言い合えたら、多くの問題は解決されるのであろうが。家庭はともかく、生き馬の目を抜く政治の世界ではありえない・・・のかなあ。
「人をさばくな。自分がさばかれないためである。あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。」(マタイ7:3-5)
庭のリラ(ライラック)