苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

高層マンションと自家発電


 高層マンションの住民たちが会合を開き、大きな地震において、どのような課題があったかを話し合ったというニュースを聞いた。今回の地震で仙台でも千葉・東京でも高層マンションは倒壊しなかった。その建築技術はたいしたものだと思うものの、長期にわたる停電でエレベーターが動かないので、非常な不便を経験したという。炊き出しのおにぎりを30階まで階段で運ぶなんて、想像しただけでも足の筋がつりそうだ。
 また、便利な「オール電化」のために火を使えないという原始生活をしなければならなかったというのは皮肉なことである。電力会社は人口減少にともなう電力需要の落ち込みに対処するために、建築会社と提携して、「オール電化」の掛け声でライバルであるガス会社を排除してきたからこういうことになってしまった。(自動車会社と提携して電気自動車キャンペーンもしているが、停電になったらパニックだ。)まあ高層ビルでは火災が一番恐ろしいから、生火を使わせないというのもわからなくはないのだが。もっともこのごろはガス配給のコントロールも電気で制御しているとしたら、ガスも止まってしまうのかもしれない。なんでもかんでも電気というのでは、とにかく非常時に困ってしまう。高層マンションの住人は小型ボンベ式の卓上コンロを地震対策用品として、準備しておくことである。だが、生火使用禁止という規則があるかもしれない。それなら、なんでも生で食べるほかない。生肉食べて食中毒に注意。
 高層マンションは、電源を独自に持っているということ以外に停電対策はありえない。実際、超高層マンションは自家発電設備を備えているそうである。地震になったら、ご自宅の40階まで階段を歩いてくださいというのは、無理だから。六本木ヒルズは自家発電設備を備えていて、東電に電力をわけてやったのだそうである。しかし、「超」がつかない高層・中層・低層マンションで、自家発電がついていないばあい、冒頭に書いたようにおにぎりをもって階段の上り下りをしなければなかったようである。
 ちなみに、日本の電気料金が世界一高いので、多くの工場は自家発電設備を備えていて、その全国の自家発電の総電力量6000万キロワットは東京電力の総発電量に匹敵している。もちろん、それぞれの工場で使用しているのではあるが、それでも先日の広瀬隆氏の国会内講義では4000万キロワット余裕があるとのことである。2009年の原発の総発電量は4884.7万キロワットである。だが、電力会社は送電線を握っているので、そのありあまっている自家発電施設を国民は利用できていないというのが現状である。だから、送発分離(送電と発電を分離する)が必要である。「送電発電分離」という議論は、今回の地震で、東電の政治家やマスコミの口封じ用の資金力が弱くなったせいか、ようやく最近表に出てくるようになった。実際、上の数字を見ればわかるように、送電が自由化されるだけで、原発による発電分はほとんどまかなえてしまうのである。またさまざまな発電方法が試みられて、電気料金は劇的に下がることになろう。このあたりのプランは、以前、内橋克人さんがNHKで話されたことのメモを、当ブログに載せておいた。
 ぼんやりとこんなことを考えていて、「超高層マンションライフ」という超高層マンションの住人が書いたというサイトを見つけた。遠くの山並を見ることができる、花火も楽しめるといった長所とともに、毎朝新聞を取りに降りるのがたいへんとか、洗濯物を干すスペースの問題、台風のときベランダに出たら戸が開かなくなって恐怖だったとか、住んでみて初めて気付いたことが書かれている。へえっと思ったのは、高層マンションでは、上に住んでいる人に対して、下に住んでいる人は劣等感をいだくのだというくだりである。どうも高いほど値段も高いらしい。くだらないけど、面白い。そういえば、おじゃる丸に登場する大金持ちのキンちゃんは、超高層マンションのてっぺんの豪邸に住んでいたな。
 だが、このサイトには、地震そして電源喪失のことは書かれていない。半分、高層マンションの宣伝っぽいのでほんとうに恐いことは書いていないのか、あるいは、まだ筆者が経験していなかったから書いていないのか不明である。今回の地震にともなう高層マンション住まいの経験を、書き加えてくださると読者には役立つだろう。
 まあ、私が住む小海では一番高いので4階建てで高層マンションなんてない。でも、うちは標高900メートルくらい。六本木ヒルズは231メートル。ムフフ、勝った。

<参照>http://life.sumomo.ne.jp/life/