苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

前原誠司外相辞任へ・・・松竹新喜劇的観点から

 前原誠司という政治家は菅直人といっしょになって、小沢一郎を利用するだけ利用して、用が済んだらポイッという感じなので、あまり好きではなかった。けれども、今、外国人からの献金問題で苦境に立っている前原氏を見ると、元来、判官びいきな筆者はすぐ同情してしまう。
 今回の前原氏に対する「外国人からの政治献金」は、京都で暮らした中学時代から彼をわが子のようにかわいがってくれた近所の焼肉屋のおばちゃんからのものだ。このおばちゃんが、ここ何年か5万円ずつ誠司君がいい仕事ができるように応援した浄財だ。
 前原氏は中学二年で父を自殺で喪って、住む家も出なければならなくなって、母子で引っ越した。その引越し先の近所にあった焼肉屋のおばちゃんである。おばちゃんは、母を支えながら一生懸命勉強している親孝行な誠司くんに、「せいちゃん。さあ遠慮せんともっと食べーな。しっかり食べて勉強しいよ。」と焼肉を食べさせてくれた。奨学金をもらいながら一生懸命努力した甲斐あって一浪して京都大学法学部に合格したときも、嫁さんが決まったときも、前原氏はおばちゃんにあいさつにうかがい、おばちゃんはそれをわが子に起ったことのように喜んでくれた。前原氏が政界に出てからはポスターを貼って回ってくれたのだ。前原氏は自分がどんなに出世しても、過去にお世話になった人を忘れる男ではなかった。政界を渡り歩くにあたっては、細川、小沢を非情に見限っているけれども。
 そのおばちゃんが、汗水流してかせいで寄付してくれた何回かの5万円。前原氏は知らなかったそうだが、かりに名簿を見ておばちゃんの名を見つけたとしても、どうしてつき返せただろう。つき返せなかったとしても、仕方ない・・と私なんかは思ってしまう。だめですか。
 「かんにんな。せいちゃん。おばちゃんがアホやったから、あんたが外務大臣やめなあかんようになってしもうて。」今頃、焼肉屋のおばちゃんは、東の空を見ながらそんなふうに言っているんじゃないだろうか。
・・・ああ、昔の松竹新喜劇の世界やなあ。

 前原誠司という一見クールな政治家のこと、今まであんまり好きじゃなかったけれど、今回のことでちょっと興味を持った。また、国会で「あなたは大臣や国会議員の資格はない」などと、居丈高にまくし立てていた同じ京都出の自民党の議員と、この情報をリークしたという知り合い、それから尻馬に乗って、寄ってたかって叩くほかの議員やネットウヨクやマスコミ。やらしい奴らや。
 政治資金規正法で外国人からの献金は禁止されているという意図はわかる。しかし、もしこれを厳格に適用するとすれば、議員の事務所は献金者に履歴書や戸籍まで要求しなければならないわけである。たしかに多額の献金者については、そういうことが必要だろうが、献金額が1〜5万円というような庶民についてまで、こんなことを求められるとすれば、ちょっと非現実的な気がする。そんなことを実行している議員事務所は一つもないだろう。議員たちのホームページを開いて見られると良い。後援会入会、入金を薦めるところに国籍を書き込む欄はない。