http://www.youtube.com/watch?v=3aAOtNDjEyw
2002年10月25日志なかばにして刺殺された民主党国会議員石井紘基さんのNHKの特集番組をyoutubeで見た。
石井氏は大学時代に学生運動にはいり社会党員となる。中央大学卒業後、5年余にわたってソ連に留学し、当時日本では社会主義者たちから理想国家であると思い込まれていたソ連が、実際には崩壊寸前であるという実情を知ることになった。ソ連の国家財政は、官僚と政治家によって食い尽くされていた。帰国後、彼は友人に「ソ連はまもなく崩壊する。いや、すでに崩壊している。官僚と一部政治家が情報を独占し、国民はなにも実態を知らされていない。そういう国は亡びる。」と話したという。
そして、石井の目には自民党政権が長期にわたって続いていた官僚支配国家日本は、ソ連と同じ滅亡への道を歩んでいることがわかった。
国会議員となった石井氏は、国政調査権をフルに活用して日本におけるお金の動きを調査した。結果わかったことは、当時国会で審議対象となる国の一般会計は85兆円だが、特別会計合計330兆円であることだった。この数字は当時、財務大臣も把握していなかったのである。
この特別会計は国会で扱われず、官僚と一部政治家がほしいままに特殊法人に配分している日本の裏帳簿である。官僚が天下る特殊法人の数は3000に及ぶ。しかも、会計検査院もこれら特殊法人が民間であるゆえに調査対象とすることができない。「このままでは、日本はソ連の二の舞いになってしまう」というのが石井氏の危機感だった。
石井議員は、国会議員の国政調査権を行使して、渋りに渋る役人たちをつき動かして資料を収集し、また全国各地のばかげた公共事業の現場に足を運んで調査して回った。そうして膨大な資料のなかから、ついに決定的なデータを見出した。これを国会で発表すれば、この国はひっくり返るという決定的なものだった。それをかばんに入れて出かけようとした日、石井議員は自宅の前で刺殺された。かばんからはその資料が持ち去られていた。
殺される半年前に石井議員が友人にあてた手紙のなかに、彼の本音が記されている。
「これにより不都合な人はたくさんいますので、身辺には注意しますが、所詮、身を挺して戦わねばつとまらないのが歴史的仕事ということでしょうから、覚悟はしていますが、それにしても、こんな国のために身を挺する必要なんてあるのかなと、自問葛藤なきにしもあらずです。・・・日本よ、滅ぶなかれ。」
数年後、民主党政権が成立するも早々に崩壊し、自民党が政権に返り咲き、このたび国会議員の国政調査権も阻む特定秘密保護法ができてしまいそうな寸前、石井紘基さんの成し遂げようとした仕事がいかに大切だったのかと思う。これまで特定秘密保護法については、集団的自衛権行使(米国の戦争の下請け)、国民の知る権利を奪うこと、といった観点から、危ないなあと思っていたが、この特集を見て、国家財政の危機ということからも、決して通してはいけない法案なのだということを思うようになった。
防衛官僚と軍需産業との癒着と汚職が数年前に取り上げられたことがあった。当時の事務次官は、軍需関係者と在任中500回もの接遇を受け、受注側が常時水増し請求するのをみのがしていたという。
かつて、官僚秘密主義国家ソ連は、米国との軍拡競争の果て財政破たんして滅びてしまった。秘密保護法案が通ってしまうならば、我が国はソ連と同じ道をたどることになるだろう。
日本の借金 現在1264兆円余。
リアルタイム日本の財政赤字カウンター
http://www.kh-web.org/fin/