苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

尖閣諸島問題でまた保険屋に搾り取られそうな日本

 『日米同盟の正体』著者孫崎亨と岩上安身対談からのメモ。
尖閣諸島での中国漁船衝突事件に際して、日米安全保障条約第5条が盛んに取り上げられた。第一項に次のようにある。「第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」
 ポイントは「自国の憲法上の規定および手続きに従って」という点である。中国が軍艦でもよこしたら、米国が安保条約第五条にのっとってただちに中国と戦ってくれるわけではない。米国議会がこれを取り上げて、中国と事を構えることをよしとした場合にはGOということになるし、米国議会がNOといえば、米軍は動きはしない。
 もう一つ知っておくべきことがある。2005年5月29日に交わされた「日米同盟:未来のための変革と再編」によれば、「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する。」とある。つまり、尖閣列島のような島嶼部の防衛は、自衛隊が担当しなければならない。尖閣諸島が有事となっても米軍には出撃する義務は無い。
 中国の軍事力が米国より圧倒的に劣る時代ならば、日米安保で米国が動いた可能性は高いが、すでに中国はもう一つのスーパーパワーとなって、今年GDPで日本を抜いた。米国は強い国とは戦争はせず、弱い国しか相手にしない。日本の有事の相手が中国である場合、米軍が出てくる可能性はかぎりなく低い。
 ところが、今回の尖閣諸島問題における日本人、特にM外務大臣の不安心理につけ込んで、米国は、沖縄の海兵隊を増強するとか、それに伴って思いやり予算増額を要求しようとしている。アメリカ本土に軍隊を置いておくよりも、日本に駐留させておいた方が安上がりだからである。ちなみに日本の米軍基地に対する思いやり予算は、イギリスのそれの20倍、ドイツの3倍、NATO全体の1.5倍、全体の50パーセント。2007年は6092億円で米兵一人当たり1800万円也。やたら保険料は高いけれど、実際に火事になったら、細かい字の約款を見せられて、「この場合は保険金は下りないよ」と説明されるみたいなものだ。
 いやいや保険に入るには、我々は保険料を支払う義務はあるが、本来、日米安保については支払い義務などない。米国の世界戦略のために、ただで土地を貸してやっているのだ。むしろ、大家として店子である米国に地代を請求する権利があるという話なのだ。「思いやり」もいい加減にしろといいたい。