きのう、東京からの帰りの新幹線で半分くらい読みました。こういう本を刮目の書というのでしょう。戦後から今にかけて、日本で起こってきたこと、起こっていること、これから起ころうとしていることについて、目が開かれます。一箇所、引用しておきます。
「一般に日米地位協定は、1960年に日本とアメリカという主権国家どうしが結んだ安全保障条約の細則だと考えられています。
しかしこれから本書を読んでいただければわかるとおり、そうではないのです。日米地位協定の本質は、そうした主権国家どうしが結んだ対等な条約の細則という側面にはなく、1945年、太平洋戦争の勝利によって米軍が日本国内に獲得した巨大な権益が、戦後70年たった今でも維持されているという点にあるのです。」
では、米国が日米地位協定によって得ている(日本が差し出している)巨大な権益とはなにか?といえば・・・
1.潜在的に日本全土は米軍の基地である。
日本全土(沖縄その他の特定地域でなく)を日本の法律に拘束されずに基地にすることができることが定められています。潜在的に日本全土は米軍の基地であるということです。
だからこそ、基地の外に米軍機が墜落した場合、米軍が機密のためその場所を制圧し、日本の警察の立ち入りを拒むことが、「合法的に」認められるのです。また、日本の航空法では認められていない軍用機の低空飛行が米国軍用機には認められるのです。
2.在日米軍基地の無期限自由使用
フィリピン、イラクなど他国に米軍が駐留するばあいには、何年までと期限が切ってあるのですが、日米地位協定では期限が切られておらず、無期限です。
3.米国軍人と軍属とその家族にかんする治外法権
日本政府はいったい日本に何人のアメリカ人が住んでいるかをまったく把握していません。米国軍人と軍属とその家族はパスポートなしで、日本に出入りすることができるからです。
米国兵士・軍属・家族が凶悪犯罪を犯したばあい、彼らを日本の司法はさばくことができません。実際、毎年毎年そういう事件が絶えません。
つまり、日本国憲法よりも、日米地位協定・日米安保条約という米国との関係における諸規定の方が上にあるのです。TPPと同じ状況です。日米地位協定は、日本を米国の属国にしているものです。
そうだと知って、日本の官僚や政治家が、日本国憲法よりも、また日本国民よりも、米国政府の意向に対して敏感に振舞う意味がようやくわかりました。あまり気持ちよくない現実ですが、事実です。
ちなみに、日米地位協定対訳版
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/pdfs/fulltext.pdf