苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

相続人

 このところ、聖書のいう救い、神の計画を理解するために「相続者」ということがもっとも重要な包括的概念であることが鮮明に見えてきました。キリストは世界の相続者であり、神がキリストのうちに聖徒たちを選び、召し、義とし、子とし、聖とするのは、共同相続者とするためでした。
 「神は、御子を万物の相続者とし、また御子によって世界を造られました。」(ヘブル1:2)
 「もし子どもであるなら、相続人でもあります。私たちがキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているなら、私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります。」(ローマ8:17)

 キリストは世界の相続人なので、神と世界の仲介の役割を果たします。その仲介の働きをさらに具体的に説明するなら、預言者・祭司・王ということですが、相続者とはすなわち王ですから、王が基本で、預言職と祭司職をもつ王というのが正確だと思います。そして、キリストの教会はキリストとの共同相続人として、世界においてキリストのお働きの手伝いをします。このように理解すると、教会とキリス者の任務を総合的にバランスよく把握することができます。

 

 

①神は御子を世界の相続者と定めた(ヘブル1:2)。

 

②世界を創造する前、神は御子にあって、神の民を選び(エペソ1:4,5)、御子との共同相続人に定めた(ローマ8:17)。

 

③神は、御子によって世界を創造した(ヨハネ1:3)。特に人間は御子(神のかたち)に似た者として創造した(コロサイ1:15、創世記1:26,27)。御子に似た者としての人間は、知と義と聖(コロサイ3:10、エペソ4:24)である。

 

④創造の契約。人間は、善悪の知識の木に表された神の主権の下において、地の相続人となり、栄光化されて地を治めるためである(創世記1:26‐28、同2:15‐17))。その際の三つの暮らしの秩序は、安息日と仕事と家庭である。

 

⑤ところが、人間は、蛇に誘惑されて善悪の知識の木の実を取って食べて神の主権に背き(創世記3章)、結果、死つまり神と断絶状態に陥り、悪魔の闇の支配下に置かれ(コロ1:13、エペソ2:2)、その原罪は全人類に及んだ。

 

⑥原福音:神は、悪魔の頭を踏み砕き(創世記3:15)、血を流して罪をおおう(創世記3:21)救い主の到来を予告した。その後の恵みの契約は、アブラハム契約は相続の契約、シナイ契約は幕屋と律法の契約、ダビデ契約は王国の契約であり、ことごとくキリストにあって成就する。

 

⑦御子は完全な神性に、完全な人性をまとわれた(ヨハネ1:14)。人間でなければ人間の代表たりえず、神でなければ人間の罪を償い、神の怒りを宥め、悪魔の圧制から救い出すことはできないからである。

 

⑧御子は預言者として、神と神のみ旨を教え(ヨハネ1:18)、祭司として神の民の罪の償いのために十字架でいけにえとなり(へブル7:27)、王として悪魔と戦って勝利を得て私たちを闇の圧制から救い出した(コロサイ1:13)。

 

⑨神の民(教会)はキリストのからだとして、預言者として福音を伝え、祭司として執り成し祈り聖礼典を執行し、王として罪と戦い教会を治める(1ペテロ2:9)。

 

⑩終わりの日、キリストは再臨し、王として最後の審判によって、悪魔と悪魔につく者たちを火の海に投げ込み、キリストにつく者たちに新しい地を相続させ治めさせる(黙示録20‐22章)。