苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

イアン・ブルマ『近代日本の誕生』

 イアン・ブルマ『近代日本の誕生』という本を読んでいます。著者は現在、ニューヨークで大学の教員ですが、ハーグ生まれのオランダ人。外国人の視点から見ると、日本の近代はこう見えるのかと、大変興味深い。本文はわずか200ページほどで、開国、明治維新から、近代天皇制の成立、日清、日露戦争、昭和の戦争の前後、そして、小泉政権の時代にまで。
 右か左かという政治的意図もあってという気がしますが、我が国の中学・高校では、近現代史は手薄にしか扱われません。それで、私たちは近代日本の全体像がみえません。ですが、この本を読むと、全体像が割と冷めた目で見えてくる気がします。日本国内に視点を置いた場合、ほとんどの場合、自分自身が右か左かであるわけで、客観的な立場に置けないのに対して、この著者はまあリベラルではあるのですが、外国人であるゆえに、かなり客観的な視点を確保できているからでしょう。

 私たちは自分の姿を写真で見るか、鏡に映して見るかしなければ、見ることができません。同じことが日本の近代史を見るということについても言えるのではないかという気がしました。

 一読をお勧めします。