評判の矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を手に入れました。結論を言えば、日本国憲法の上に、日米地位協定・日米安保条約・日米原子力協定ほか日米秘密協定が位置しているからだということです。原発・安全保障に関しては、法的秩序からして日本政府は自分で何も決めませんと、これらの条約において米軍に約束してしまっています。
独立した立憲国においては、ふつーは
憲法>条約>法律
というのが法の序列ですが、わが国は
という序列だということです。ほかのことではよく見えませんが、安全保障・原発がらみになると、その実情が表に見えてくるというわけです。
日米地位協定の具体的実施のためには、米軍高級士官と日本の高級官僚は、日米合同委員会を毎月二回、渋谷のニューサンノーホテルで持っているそうです。
この齢になるまでこういう基本的な事実を知りませんでした。
リチャード・ボウカム『イエス入門』の一節を思い出しました。
「帝国はなによりもローマ人と彼らを支える属州のエリートたちの繁栄のために存在していたという事実を。ローマはたいてい地方のエリート支配者たちと共同で属州を統治した。したがって、ローマがユダヤ地方で大祭司とその議会の協力を求めたのは自然ななりゆきだった。」(p39)
ボウカムさんの書いていることを見れば、戦後日本の置かれた状況は特別なことではなく、宗主国の下に置かれた国としては、古代から当たり前の平凡なことなのですが、そういう状況下にあることを、沖縄に住む人たち以外の国民の大半が知らないできたということが稀有のことだと言えるのかもしれません。
こちらも、どうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20131129/p2